作:◆RGuYUjSvZQ
――――それでは諸君等の健闘を祈る」
二回目の放送が終った。
放送が終わるとセルティはベルガーに紙を差し出した。
『一応確認しておく。今の放送で名前を呼ばれたアメリア、ゼルガディスの2人は
そちらが捜索を依頼してきた2人のことで間違いはないのだな?』
「間違いない。2人ともリナとかいう女の仲間だ。俺も捜索を頼まれた。」
沈痛な空気がその場を流れる。
『メールか電話で悔やみの気持ちを伝えたほうが良いのだろうか。』
「今はそっとしておいたほうが良いだろう。彼女もかなりのショックを受けているはずだ。
こちらの気持ちを汲み取る余裕はないはずだ。」
『そうか、わかった。残念だ。』
「ああ」
「会話」はそこで止まった。2人ともしばらく「無言」でその場に立ち続ける。
エルメスも今回は珍しく、空気を読んで静かにしている。
(どんどん、人数が減っていくな。私も誰かを殺してしまう時がくるのだろうか。)
セルティはこれからについて考えていた。
自分は保胤ほど平和主義者ではない(つもりだ)
必要であれば、人を殺すことも厭わないだろう。
自分が生き残るために他人を殺す、これは生存原理からすれば当然のことなのかもしれない。
だが無理やりこういう状況におかれて殺し合いをすれば、管理者の思う壺だ。
奴らの狙い通りに行動するつもりはない。
今まではその場その場でどう行動するかを保胤と話し合って判断してきた。
これからは長期的に何をすべきかを決める必要がありそうだ。
しばらく考えた後、セルティは再びベルガーに紙を差し出した。
『とりあえず我々は協力体制をとっている。そちらの目的を教えてくれ。』
ベルガーはセルティの言わんとしていることが良くわからなかった。
「当然、生き残ることだ。それは君も同じはずだ。」
セルティは今度は少し苛立たしげに紙を渡す。
『それは当然だ。質問の仕方が悪かったみたいだな。
生き残るために、そちらは最終的にどう行動するつもりなのか。それを知りたい。』
「ああ、そういう意味か。こちらも全員が全く同じ考えを共有しているわけではない。
このゲームに乗らないらない、という点では一致しているようだがな。
先ほどのリナという女は主催者を殺すことに執着しているようだ。
俺はこの世界から脱出することを最終目標と考えている。
だが、具体的に何をすべきかはまだわからないのが実情だ。
今は地道に各メンバーの仲間を探しながら、情報収集をしていくしかないだろう。
この呪いの刻印もどうにかしなければならないしな。」
ベルガーが首筋の刻印を指差しながら答える。
『なるほど、良くわかった。保胤の話ではこの刻印は魂自体に食い込んでいるらしい。
私もこの刻印をまずはどうにかしなければ、とは思っているのだが・・・
何にしても、保胤が起きたらこれからどうすべきか話し合ってみようと思っている。』
ベルガーは肯く。
「刻印についての情報は重要だ。俺も彼が起きたらもう少し詳しい話を聞いてみるとしよう。」
――――それから程なくして、慶滋保胤が目を覚ました。
【A−1/島津由乃の墓の前/1日目・12:20】
『ライダーズ&陰陽師』
【ダウゲ・ベルガー】
[状態]:心身ともに平常
[装備]:エルメス(停車中) 贄殿遮那 黒い卵(天人の緊急避難装置)
[道具]:デイパック(支給品一式+死体の荷物から得た水・食料)
[思考]:保胤に刻印について聞く。 ムンク組の知人捜し。
・天人の緊急避難装置:所持者の身に危険が及ぶと、最も近い親類の所へと転移させる。
【セルティ(036)】
[状態]:正常
[装備]:黒いライダースーツ
[道具]:デイパック(支給品入り)(ランダムアイテムはまだ不明)、携帯電話
[思考]:静雄の捜索及び味方になる者の捜索。ベルガーとの情報交換。
長期的には何をしていくべきか保胤と話し合う。
【慶滋保胤(070)】
[状態]:不死化(不完全ver)、疲労している(+貧血状態)
[装備]:ボロボロの着物を包帯のように巻きつけている
[道具]:デイパック(支給品入り) 、「不死の酒(未完成)」(残りは約半分くらい)、綿毛のタンポポ
[思考]:静雄の捜索及び味方になる者の捜索。 島津由乃が成仏できるよう願っている
[チーム備考]:しばらくしてから『目指せ建国チーム』と連絡をとる予定。