作:◆R0wLGL.9c
獣から危機一髪に長門を助け出したはいいが妙な女と対峙することになった。
明らかに殺るき満々な相手と対峙したからには、退治してやっても良いが心に秘める事は一つ。
(面倒臭えな)
殺戮は一日一時間だけ、とは言ってもそれは<殺人奇術の匂宮>としての仕事の時の話だ。
引退した今としては殺すのは面倒なだけだった。
問答無用で痛めつける、という手もあるが、そこまで露骨に手加減はできなさそうな相手だ。
それにまだ抱っこしている長門はかなりの疲労だ。お節介としての性格が出てきた。休ませたい。
先ほど降ろせと言われたが、長門の体重程度、抱えても全く問題にならなかった。
マージョリーと向き合いながらほとんど口を動かさずに長門に伝える。
──トンズラこくぜ 『それじゃあ』って言ったらしがみ付け
伝わったかどうかは確認せずにマージョリーに告げた。
「おいおいおねーちゃんよぉ!こっちは一日一時間しか殺戮できねぇっていったよな。
生憎こんな昼にもなってないところで貴重な一時間を使う気なんてねぇな。
どうしても戦いたいなら徒党でも組んでくるんだな!一時間で殺せるだけ殺してやるってーの。ぎゃははっ」
「…素敵な挑発ね。あんたの意思は関係ないの。強いんなら戦いなさい」
「そうかい。『それじゃあ』──」
言うが早いか、足元の土を蹴り上げ、盛大な土煙を上げさせた。
「ひゃっほうっ! あばよ、一喰い!」
土煙が収まらないうちにあたりの樹木を<一食い>でなぎ倒し、かく乱する。
そのまま荷物の重さを感じさせない速さで逃走した。
「ぎゃはははははっ! 長門! しっかり捕まってろ!」
「待ちなさい!」
マージョリーの叫びを無視して凄まじい速さで消えていった。
(なんか今回逃げてばっかりだな)
それもいいかも知れない。
殺しをライフワークにしていた殺し屋が誰も殺さずに逃げる。
おにーさん風に言えば──
「戯言だなっ!」
【残り88人】
【E-4/草原/1日目・07:40】
【匂宮出夢】
[状態]:平常
[装備]:シームレスパイアスはドクロちゃんへ。
[道具]:デイバック一式。
[思考]:生き残る。あんまり殺したくは無い。 とりあえず休める場所へ。長門を休ませた後、一緒に坂井を探す。
【長門有希】
[状態]:疲労が限界/僅かに感情らしきモノが芽生える
[装備]:ライター
[道具]:デイバック一式
[思考]:現状の把握/情報収集/古泉と接触して情報交換/ハルヒ・キョン・みくるを殺した者への復讐?
[備考]:疲労の回復のため昼あたりまで休ませられます(出夢君が強制的に)
【マージョリー・ドー(096)】
[状態]:肋骨を一、二本骨折 (ほとんど治りかけ)
[装備]:神器『グリモア』
[道具]:デイバッグ(支給品入り)
[思考]:シャナ探索。あいつ今度あったら戦う
※E-4の木が数本薙ぎ倒されました