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251:黒を求めて黒と黒が

作:◆1UKGMawNc

「何者かがいる」
「ええ、ようやく情報源に会えるかもしれない」
 耳の長い黒い肌の女性と、茫洋とした黒いコート姿の青年は小声で言葉を交し合う。
 街中の大きな建物――学校の前に二人は立っていた。
 今は明け方。彼方の空が白み始めているが、どうやら全ての明かりが点いているらしくこの学校は目立つことこの上ない。
 校庭の砂には足跡が残っていた。それも複数。
 それを辿って校舎前まで来たが、出る足跡より入る足跡のほうが多かった。
 他の場所から出たのでなければ、中にはまだ人がいる。

「それと、気づいていますか? ピロテースさん」
「わかっている。血の匂いだな」
 ピロテースの言葉に、秋せつらは頷いた。
 校舎内から、微かに血の匂いが漂ってくるのだ。
 中で殺人が行われた可能性が高い。
 その犯人が残っているとすれば。もしくは第三者がいて誤解が重なったら……
(これは、荒事になるかもしれないな)
 外面にはおくびにも出さず、せつらは内心でそう思う。
「気をつけたほうがいい。最悪の場合、戦闘になる」
 ピロテースが忠告してきた。
 同じことを考えていたと知り、内心で苦笑する。
「そうですね、気をつけます。ですが……」
 そう前置きして、時計を見せる。
「もうすぐ放送の時間です。とりあえず、それを確認してから入りませんか」

 時刻は5:58。
「わかった。……将軍の無事を確認してからとしよう」
 あえて、ピロテースはそれを声に出す。敬愛する黒衣の将軍――アシュラムが死したかもしれない可能性を否定するように。
 せつらは楽観する。自分の知る新宿の魔人たちはそう簡単に死することはないと。
 ピロテースは神妙な面持ちで、せつらは茫洋としたままで、死者の名を告げる放送を待った。

【残り88人】

【人捜し屋さんチーム】
【D-2/学校前/1日目・05:58】

【秋せつら】
[状態]:健康
[装備]:強臓式拳銃『魔弾の射手』/鋼線(20メートル)
[道具]:デイパック(支給品一式/せんべい詰め合わせ)
[思考]:ピロテースをアシュラムに会わせる/学校内の何者かと接触し、情報収集

【ピロテース】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ(支給品一式)
[思考]:アシュラムに会う/邪魔する者は殺す/建物内の何者かと接触し、情報収集

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