作:◆xSp2cIn2A
「かはは!やっぱりか!」
人間失格の殺人鬼は、茂みに飛び込み影を見た瞬間、確信したようにつぶやいた。
そこに居たのは中学生くらいの、やけにグラマーな少女だった。
その少女は、手に持った鉄パイプを杖のようにつきながら、左足を引きずっている。
「ぼ……ボクの…わっか……かえし…て」
「ぎゃはははは!何のことだかしらねーが、とりあえず寝てもらうぜ」
出夢はそう言うと、一瞬で少女に肉薄し、鳩尾に拳を叩き込む。
「ぼ…ボクのわっ……」
ドズン!
「うっ!」
ドズン!
すごく嫌な音が、僕の耳に響いた。
出夢くんの一撃を喰らって体が半分に千切れてなければいいけど……
物凄い音の後、肩に小柄な少女を担いだ零崎と出夢くんが、茂みの中から出てきた。
「凪、やっぱりあいつだったぜ」
あいつ?知ってる人かな?
「あー糞ッ!ここまで手加減するとこっちが気持ち悪くなる」
なんだかとんでもないことを言ってる出夢くんは置いといて。
「知り合い?それにしては随分乱暴に扱ってるけど」
放り投げるように少女を木の下に置いた零崎を見て、ぼくは凪ちゃんに聞いた。
「あぁ、さっき言ってた「ぴぴるぴ」のガキだ」
零崎が答える。
え?と言うことは、こんな風にしても意味が無いんじゃないのだろうか?
ぼくの思っていることを察したのか、零崎がさらに答える。
「あぁ、本当は殺っちまおうかと思ったんだが、今回はさっきと様子が違ったんでね」
「様子が違った?」
「あぁ、さっきは「ぴぴるぴ」しか言わなかったんだが、今度はわっかを返せだの何だの
言った上に、殺気が全く感じられなかった」
?どういうことだろうか?しかし、わっかをここまで取り返しにくるということは、
あの零崎が持っているわっかは、かなり重要なものなのだろう。そう、少女の生死にかかわるような。
そのとき。
「ん……うぅ………ハッ!」
さっき気絶させたばかりなの少女が、勢いよく立ち上がった。
「なッ!どういう体してんだよ!」
零崎が驚愕の声を上げる。
「チッ!」
再び駆け出そうとした出夢くんを、凪ちゃんが止める。
「まて、今のあの子なら会話が成立するかもしれない」
「ボクのわっか……かえして」
立ち上がった少女は、視界に零崎を捉えると、今にも泣き出しそうな声を出す。
うぅ!なんだか凄まじい罪悪感がっ!
「わかった、俺の質問に答えたら返してやろう」
凪ちゃんの言葉に振り向く少女。おぉかなりの美少女だ。
「こたえる……ボク答えるから……はや…く……うぅ!」
なんだかぼくたちが寄ってたかって、あの娘を虐めてるようだ。ていうかエロい。
「まず、なんでそんなに、あのわっかが欲しいんだ?」
「ぼ、ボク達天使は…うぅ!天使のわっかが無いと……」
そこで少女は顔を赤らめる……って!天使って言いましたか?あの娘は!
「げりぴーになっちゃうんだ……」
うわぁ………げりぴーって………
「「「「やな天使」」」」
ぼく達四人の声が見事にハモった。
【戯言ポップ】
(いーちゃん/零崎人識/匂宮出夢/霧間凪)
【F−4/森の中/1日目・05:45】
【いーちゃん】
[状態]: 健康
[装備]: サバイバルナイフ
[道具]: なし
[思考]:ドクロちゃんに質問。休息をとる
【霧間凪】
[状態]:健康
[装備]:ワニの杖 サバイバルナイフ 制服 救急箱
[道具]:缶詰3個 鋏 針 糸 支給品一式
[思考]:上に同じ
【零崎人識】
[状態]:平常
[装備]: 天使の輪
[道具]:デイバッグ(支給品一式)血の付いた出刃包丁
[思考]:惚れた弱み(笑)で、凪に協力する。
【匂宮出夢】
[状態]:平常
[装備]:???
[道具]:デイバック一式。
[思考]:生き残る。いーちゃんに同じ
【ドクロちゃん】
[状態]: 頭部の傷は軽症に。右手腱、左足腱は、杖を使えばなんとか歩けるまでに
天使の輪もない。
[装備]: 鉄パイプ
[道具]: 無し
[思考]: ボクの天使のわっか返して!
※能力値上昇中。少々の傷は「ぴぴる」で回復します。