作:◆E1UswHhuQc
「良かった……皆、生きてる」
「最悪だ……奴ら、生きてる」
対照的な二人の声を聞いて、ミズーもほっと息をついた。フリウ・ハリスコーは死んでいない。
至極無念そうに呟いた男――ガユス・レヴィナ・ソレルは、ウルペンが逃亡した後に遭遇した。
一悶着あったが、彼に特に戦意がなかったため、同行している。
ちなみに、マージョリーとの交換で手に入れた眼鏡――ガユスが言うには知覚眼鏡――は、持っていても意味がないので彼に渡した。もともと彼の持っていたものらしい。
代わりに持っているのは大振りのナイフだ。ウルペンとの戦闘時に乱入してきた少女――新庄・運切から受け取ったもので、ウルペンが彼女を襲った際に落としていったものらしい。腰に下げてあるそれを軽く叩いて、苦笑する。彼は、わざわざ鞘まで落としていったらしい。
森に入り、数時間の休息後に放送があった。誰の知人にも死者はおらず、禁止エリアは離れている。
(もしかしたら、運がいいのかもしれない)
思いながら、手に持った枝で焚き火をかき回す。火は念糸でつけた。日が出てきており、煙は枝葉で隠れるので見つかる可能性は低いだろう。
誰も彼もが戦うつもりが無いわけではない――いくら強固な障壁をつくる剣があるとはいえ、慎重に行動すべきだ。障壁を破れるものだって、いるだろう。
ミズーは持っていた枝も焚き火にくべて、顔をあげた。地図を見ている二人に、言う。
「――行き先は決まった?」
うん、と新庄が呟き、地図を示した。
「西、かな?」
「理由は?」
「このあたり、建造物がちらほらある。もしかしたら何か役立つようなものがあるかもしれない。……って、思う奴もいるはずだ」
「佐山君頭いいから、そういう風に動くんじゃないかなって」
「そう。……では、行きましょうか」
頷く二人を見てミズーは立ち上がり、焚き火に砂をかけた。
【B-6/森近くの平原/一日目/06:15】
【西=B-5へ移動】
【ミズー・ビアンカ(014)】
[状態]:健康
[装備]:グルカナイフ
[道具]:デイバッグ(支給品入り) 、
[思考]:フリウとの合流
【新庄・運切】
[状態]:健康
[装備]:蟲の紋章の剣
[道具]:デイバッグ(支給品一式)
[思考]:1.佐山達との合流 2.殺し合いをやめさせる
【ガユス・レヴィナ・ソレル】
[状態]:健康
[装備]:リボルバー(弾数ゼロ) 知覚眼鏡(クルーク・ブリレ)
[道具]:支給品一式
[思考]:二人に同行。あわよくばギギナとクロエが死んでますよーに。
【ウルペンはC-6に移動しています】