作:◆gfFjaqvHU
先ほど、目の前に転がる人間に止めを刺してからどれぐらいたったのだろうか。
あれだけ大きな声で鳴いてくれれば、勇敢な人間の一人や二人はすぐに駆けつけると思ったが・・・
このゲームに参加しているのは兎のような臆病者ばかりなのだろうか、
いや、ただこのまわりには誰もいなかっただけだろう。
首を軽く振るとゼロスは湖のまわりをなぞるように北へと歩き始めた。
数分もしないうちに、向こうから歩いてくる人影を発見する。
筋骨隆々の大男だ。背中には棍棒とバックを背負っている。
(力自慢の、いや力だけが取り得の筋肉ダルマといったところですか・・・)
ゼロスは心の中で嘆息した。これでは少しも遊べないだろう。
魔族である彼には物理的な攻撃など通用しないのだ。
湖にそって南下していたハックルボーン神父は、目の前に禍々しい気を発する男に気付いた。
人間ではない。そうは見えるが、そうでないことは神父からすれば一目瞭然だ。
「不浄なるもの・・・救えぬものよ」
神父は腰を落とすとゼロスに向けて地鳴りを上げて突進する。
(救えぬもの・・・か)
ゼロスはクスリと笑った。それはあなたのことですよと。
大男がまるで竜か何かのような勢いで迫ってくるがなんら脅威を感じない。
どのようにして傷め、歎かせ殺そうかと思案をめぐらせた時、
目前の大男がこの場所を真夏の昼間にするかのような光を放った。
(目くらまし!?・・・違う!)
ゼロスの体が光によって焼かれる。
神父の放つ聖光効果(ハローエフェクト)。
その圧倒的なエネルギー量から可視領域にまで達する聖なる気、魔族であるゼロスには効果覿面であった。
ゼロスが不味い、早く殺さねばと思った時にはもう遅かった。
神父のバスケットボール大の鉄拳が彼の胸にめり込んでいる。
まるでダンプカーに撥ねられたかのようにゼロスの身体が宙を飛ぶ。
(こ、これは私の中に・・・!!な、なんてことだ)
宙を舞うゼロスの全身を神父の聖なる気が巡り、魔力の連結を破壊し身体を分解していく。
ゼロスは湖の上に振る塵となった。
悪魔の滅殺を確認した超弩級聖人ハックルボーン神父は、万人に神の救いをもたらすべくその場を後にした。
【ゼロス 死亡(分解)】
【残り 101人】
【D-6/湖のほとり/1日目・03:15】
【ハックルボーン神父】
[状態]:健康
[装備]:宝具『神鉄如意』@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:万人に神の救いを
※ゼロスの持っていた装備・道具は湖の中(浅い)です。