作:&◆VhmYS2eXd2
「・・・・・・・・・」
高里要少年は一人、倉庫の奥で震えていた。
ついさっき、目の前で男の人たちが変な格好をした女の人に殺されたからだ。
声が出そうになった。でも出したら殺される・・・・・・・・必死で自分の口を押さえ、その口元からは歯と
唇がぶつかってできた傷跡ができていた。
「・・・・・・うぐっ、ひっっ」
この街に、心強い慶王や理知に溢れた慶麒はいるのだろうか。雁王や雁麒は何をしているんだろう。
そして主君は・・・・・・彼がもっとも敬愛する泰王はどこにいるんだろう
汕子はどこにいるんだろう・・・・・・・
永遠のような孤独。暗い倉庫に弱く小さな麒麟の鳴き声しか響かない。
「・・・・・・・助けて、助けてよう」
だれもいない倉庫。真っ暗な目の前。
しかしそのとき倉庫の扉は豪快に開かれた
ほんの数分前・・・・・・・・・
「いや、だから声が聞こえるんだって、ミリア」
「わあ、きこえないよー。アイザックだけ聞こえてあたしに聞こえないなんて変だよ。べラボーバッドだよ!」
「べラボーバッドだと・・・・・・べラボーバッドなのは良くないな。非常に良くない。」
「そう、良くないよ。変だよ、アイザック変、超変!でも私そんなアイザックも大好き!」
「よ・・・・・よせやい・・・・・・照れるぜ」
各地で殺し合いが始まっても相変わらずなアイザックとミリア。
何の幸運か彼らの支給品は意外と良く、アイザックの支給品は火乃香がジャンクから作ったカタナであった。
ジャンクから作られながらも通常のそれと比べて限りなく性能が高い
勿論彼らはそれを「すごいぞ、超絶勇者剣!」と名づけそれを戦闘用に使わず近くの畑から盗んだキャベツを
意味もなく千切りするのに使ったのだがそんなことはどうでもいい
ミリアの支給品もまた「森の人」
旅人キノが愛用する銃。使う人が使えば最高の性能を誇る名器である
勿論彼らはそれをエアガンか何かだと思い込み、「じゃあ当ててみなミリア!勇者剣を持った俺にはまったく効かないがな」
「すごいや!アイザック!」の台詞のあと光の速度で飛んできた弾丸がアイザックの頬をかすめたというのもまたどうでもいいことだ。
それはともかく・・・・・・・・
「でも聞こえるんだ、ミリア!なあ、ミリアどこから聞こえると思う?俺には分からないんだ!」
「わあ、アイザック、言ってること滅茶苦茶だね。うんそうだなあ・・・・・・・・・」
そして二人はそれぞれ腕を組み首を傾けて考え始めた。
・・・・・・・・・要少年がいる倉庫の前で
【E‐4/工場倉庫/一日目03:00ごろ】
【残り105名】
【高里要】
[状態]:健康。
[装備]:不明
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:アイザックとミリアに出会い多少心が落ち着いた。
【アイザック】
[状態]:超健康
[装備]:すごいぞ、超絶勇者剣!(火乃香のカタナ)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:「とりあえず要を元気付けたいぜ!」
【ミリア】
[状態]:超健康
[装備]:なんかかっこいいね、この拳銃 (森の人・すでに一発使用)
[道具]:デイパック(支給品一式)
[思考]:「そうだね、アイザック!」