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第202話:ホワイト隊員の思考

 ボクの名前はシロちゃんデシ。
 ほんとの名前はトレイトン・サブラァニア・ファンデュっていうんデシけど、ずっとずっと忘れてたんデシ。
 けど、その時出会った人にシロちゃんって名前を付けてもらったんデシ。いい名前デシ?
 最近ロシナンテとかホワイトとか、ファルコンとかっていろんな名前で呼ばれてちょっぴりしんどいデシ。
 でも、ボクはシロちゃんなんデシ。
 ボクは幸運の白い竜って呼ばれるホワイトドラゴンデシ。
 おっきくなったり飛んだりいろんなことが出来るんデシ。えっへんデシ。
 ボクは今ちょっぴり悩んでるんデシ。
 その原因は苦しそうに寝てるこのお姉しゃん。
 さっき変な赤い人がつれてきたんデシけど、きっと重い病気に違いないデシ。
 熱を出してすっごく苦しそうデシ。
 要しゃんが時々汗を拭いてあげてるんデシけど(優しいデシ!)後から後からとまらないんデシ。
 このまんまじゃ干からびちゃうデシ。
 ううん、干からびなくてもこのまま死んじゃうかもしれないデシ。


 アイザックしゃんとミリアしゃんも、

「どうしようアイザック、この人死んじゃうよお! 私たちが六人は困るって言ってたからかなぁ?」
「うわあ、死んでまで五人ヘンタイにしなくたっていいんだぞ!?」
「そうだよ! 責任感じちゃダメだよぉ!」
「別にいいんだぜ? 隊員じゃなくても博士とか色々あるんだしよぉ!」
「六人でもいいよぉ! 一生三食ポップコーンにするからぁ!」

 って、すっごく心配してるデシ。
 要しゃんも

「違いますってば……」

 って言いながら元気がないデシ。
 要しゃん、せっかく元気になってくれたのに……つらいデシ。
 そこでボクは考えたデシ。
 ボクはさっき言ったとおり、いろんなことが出来るんデシ。
 その中の一つに、ボクの「血」があるデシ。
 ボクの血を一滴でも飲むと、怪我や病気がたちどころに治るんデシ。
 きっとこのお姉しゃんも元気になってくれるに違いないデシ。


 だから、ボクがドラゴンだってことを打ち明けてしっぽをちょっと切ってもらうデシ。
 みんないい人だから大丈夫デシ。
 今は見回りに行ってるあの変な赤い人のことはよく知らないデシけど、ボクがドラゴンだってことは知ってるみたいだから大丈夫デシ。
 ファルコンしゃんっていうドラゴンしゃんと間違えてるみたいデシけど。

 だけど一つ問題があるデシ。

 ……誰に切ってもらえばいいデシか?


 
【E‐4/工場倉庫/一日目8:30】

【トレイトン・サブラァニア・ファンデュ(シロちゃん)】
[状態]:健康
[装備]:黄色い帽子
[道具]:無し(デイパックは破棄)
[思考]:お姉しゃんを助けたいデシ

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