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第八話 天秤宮・天秤座の衛

 

石田 「見えましたね!7番目の家、天秤座(ライブラ)の衛の家ですね!」

兄 「う〜ん、衛が僕と戦うとは思えないんだが・・・。」

石田 「なら素直にキーを渡してくれますかね?」

兄 「だと思うけど・・・」

?? 「うわぁ〜〜〜〜っ!!」

石田 「何だ、今の声は!?」

兄 「今のは・・・衛の声!一体何が!?」

石田 「な、なんですって?急ぎましょう!」

 ザザザァッ!!

兄 「うっ!?」

石田 「あ、あれはー!?」

 ドドン!

衛 「あ・・・あにぃ!今ボクが帰ってきたら、家の前にこんな大きな物が・・・。」

兄 「これは・・・山田!?山田が巨大な飴細工の中に閉じ込められている!?」

石田 「四葉ちゃんの家でいなくなったと思ったら、こんな事になっているとは・・・。」

兄 「だ・・・だが、誰が一体こんな超人的なマネで、山田を閉じ込めたんだ・・・?」

石田 「・・・おそらく、ここまで巨大な飴細工を作れるのは、あの妹しかいないでしょう・・・。」

兄 「ま・・・まさか!?」

石田 「そうです、水瓶座(アクエリアス)の白雪です!」

衛 「し、白雪ちゃん!?」

兄 「しかしなぜ白雪がこんなところで山田を・・・。」

山田 (ううぅ〜・・・・)

兄 「なに?今、かすかに山田の声が・・・!」

石田 「生きてますよ!山田はまだ息があります!何とかして助け出しましょう!」

兄 「う〜ん・・・でも、こいつを助けても何の得もしないし・・・ぶっちゃけ、いなくても何とかなりそうだし。」

石田 「う・・・そんな事いわずに助け出しましょう。」

兄 「内側から山田が飴をなめ続ければ、そのうち出れるんじゃないか?」

石田 「そんなことしたら、糖尿病になっちゃいますよ!」

兄 「う・・・それはまずいな。糖尿病は恐ろしい病気だ。生命保険の掛け金も跳ね上がるぞ。
   よし!助け出してやる!」

石田 「ですが、どうやってこの中から助け出しましょうか・・・。」

 ドドン!

石田 「ん?・・・何だこの物置は?」

兄 「この前遊びに来た時はこんな物無かったぞ。衛、一体いつの間に庭に物置なんて作ったんだい?」

衛 「それ?それは、レジャーグッズが最近増えちゃって、置き場所に困っちゃって・・・。」

兄 「うっ!物置が開くぞ!」

 カシャッ!

石田 「おお、これが衛のレジャーグッズですか!?」

 バッ!

石田 「なにぃ?レジャーグッズの一部が飛び出して、兄の手に握られた!?
     あれは・・・釣竿(フィッシングロッド)!!」

兄 「そうだ、衛のレジャーグッズは、釣竿、ボディボード、スノーボード、ローラーブレード、
   スポーツタオル、マウンテンバイクの六種類で、それぞれ一対ずつある。
   つまり全部で十二個のレジャーグッズになるのだ!!」

石田 「しかしなぜ一対ずつあるんですか?」

衛 「そ・・・それは・・・やっぱり、あにぃと・・・一緒に体を動かしたいから・・・えへへ。」

兄 「この中にひとつだけ山田を助けるのに最適な物があるはずだ・・・たぶん。
   よし、これだ!!このスノーボードで思いっきり殴れば壊れるはずだ!!」

石田 「だといいんですが・・・。」

兄 「今その中から救い出してやるぞ!!そして再びオレたちの前に・・・よみがえれ山田よ!!」

 ガカァッ!!!

兄 「うあぁぁぁ!!・・・・だ、ダメだ・・・ビクともしないとは!!」

石田 「割れるどころか傷ひとつついていないなんて・・・。」

兄 「くっ・・・一体どうすれば・・・。」

 ガシッ!

兄 「・・・ん、衛?どうしたんだ、衛までスノーボードを持って?」

衛 「あにぃ、ボクも一緒にやるよ!あにぃとボクが二人で叩けば、きっと大丈夫さ!!」

兄 「衛・・・よ、よし!行くぞ!!」

衛 「うん!・・・えいっ!!」

 ガカァッ!!!

衛 「うあぁぁぁ!!」

兄 「ぐっ・・・大丈夫か、衛!?」

衛 「う・・・うん、ボクは大丈夫。でも・・・。」

石田 「うう・・・二人がかりでもダメとは・・・何かこの飴細工を砕く方法は・・・。」

 キラッ!

石田 「ん?」

兄 「何だ?まだ物置に何か入っているのか?」

石田 「あれは・・・衣装?衛ちゃんがフラワーガールをした時の衣装ですか!?」

衛 「ええっ!?そんな・・・一番奥にしまっておいたのに・・・!!」

 ピカッ!!

兄 「なっ・・・ドレスが急に光った!?」

 シュン!

衛 「う・・・うわぁ〜〜〜っ!!な・・・なんで、こんな・・・!!」

石田 「な・・・いつの間にか衛ちゃんがフラワーガールの衣装に着替えている!?」

衛 「は・・・恥ずかしいよ、あにぃ・・・!ボ、ボクにスカートなんて似合わないんだよ〜〜っ!!」

兄 「おおっ、衛!スカート姿も似合うじゃないか!カワイイよ!」

衛 「そんな・・・!だ・・・ダメだよ、あにぃ!!こ・・・こ・・・このままじゃ・・・ボ、ボク・・・。」

 ボボボボボボッ!!

石田 「なっ、これは衛ちゃんが赤面すると同時に、萌えが膨れ上がっていく!!
     そ・・・そして、その熱で飴細工にヒビが!!これは!?」

 ドドドォォォン!!!!

兄 「や・・・やった!!あれほどビクともしなかった飴細工が一瞬にして粉々に砕かれたぞ!!」

石田 「・・・それにしても、なんと言う萌えの力だ・・・これが衛の秘められた萌え要素・・・うっ!?」

兄 「や・・・山田!!おい、しっかりしろ!!山田!?」

山田 「う・・・う・・・もう食べれない・・・。」

石田 「うっ・・・これはどうやら甘い物を食べ過ぎて満腹状態ですね・・・。」

兄 「そんな・・・せっかく飴細工から救い出したと言うのに、腹が一杯で動けないとは・・・。」

衛 「あ・・・あにぃ!ここは、ボクが何とかするから、あにぃ達は次の家に行って・・・!」

兄 「衛・・・?」

衛 「もう時間が無いんだ。急がないと・・・。」

石田 「本当です。もう、あと5時間しかありませんよ!」

衛 「ここから先は今まで以上に手ごわい妹が待ち構えているんだ!
   山田さんは、ボクが何とかするから・・・。」

兄 「わ・・・わかった、僕たちは次の家に行くよ!それじゃ、山田の事は頼んだよ!」

衛 「あ、ちょっと待って、あにぃ!」

兄 「ん?何だ衛?」

衛 「はい、これ。ボクの分のキーだよ。」

兄 「あっ、そうか。すっかり忘れてた。でもいいのか?衛は僕と戦わないのか?」

衛 「いいんだよ。ボクは別にあにぃと非血縁エンドなんて迎えたくないんだた・・・。
   だって、もしボクとあにぃが兄妹じゃないなんて事になったら、
   あにぃがボクと一緒に遊んでくれなくなっちゃうのかなって思ったら・・・怖くなっちゃって・・・。」

兄 「そうか・・・でも心配ないさ。血が繋がっていなくても、衛と遊べるなら僕は大歓迎だよ!」

衛 「あ・・・あにぃ!?」

兄 「また今度一緒に走ろうな!」

衛 「う、うん!楽しみにしてるね!!」

 タッタッタッタッ・・・

衛 「・・・あにぃ・・・がんばってね。」

 

 

 

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