第3話 金牛宮・牡牛座の春歌
兄 「見えた!あの庭の桜の木!春歌の家だ!」
石田 「時期的に丁度満開ですね。」
兄 「普段ならお花見といきたいところだが、今日はそんな余裕はない。このまま突っ込むぞ!」
石田 「しかしおかしい・・・人の気配が全くありません。」
兄 「考えている暇は無い!このまま不法侵入してしまえ!」
石田 「おいおい。」
バァーン!!
兄 「ぐわっ!!何だ今の一撃は!?」
春歌 「勝手にこの家の敷居をまたぐ事は、
この牡牛座(タウラス)の春歌が許しませんわ!」
石田 「やはり居たのか。気配を消していたとは・・・。」
カシャーン!
兄 「な・・・何だこの竹刀は?」
春歌 「いくらなんでも素手の兄君さまとお相手するわけには行きません。お取りになってください。」
兄 「この僕と剣道で勝負する気か?春歌が得意なのは、なぎなたじゃなかったのか?」
春歌 「今の兄君さまと私では実力が違いすぎます。不慣れな剣道でも充分ですわ。」
兄 「よ、よし行くぞ!春歌!」
お に い た ま 流 星 剣 !!
春歌 「せいっ!!」
グ レ ー ト 撫 子 ホ ー ン !!
兄 「ぐうっ!!」
ドガガガガーッ!!
石田 「な、なんという強大さ・・・竹刀の一撃であそこまで人を突き飛ばせるものなのか!?」
春歌 「もう一度いきますわよ!」
グ レ ー ト 撫 子 ホ ー ン !!
兄 「うわぁぁぁぁっ!!」
ドシャッ!!
兄 「・・・ううっ・・・だ・・・駄目だ全く歯が立たない・・・。」
春歌 「・・・がっかりですわ、兄君さま。もう少し骨のあるお方だと思いましたが・・・。」
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兄 (くっ・・・なんと言う萌えの力・・・これが妹達の力か・・・全身が麻痺してきた・・・
このまま僕は春歌と非血縁エンドを迎えてしまうのか・・・いや、そんな訳にはいかない・・・
しかしどうやったら、あの春歌の萌えの力に太刀打ちできるんだ・・・)
柿ノ本 (和服さ。)
兄 (・・・こ、この声は柿ノ本さん!?春歌の自称ライバルの柿ノ本さんか!?)
柿ノ本 (春歌の萌えの源はあの着ている和服。普段見慣れていない和服姿に男子はコロッっと来ちまうもんさ。)
兄 (う・・・だがどうすればそれを防げるんだ・・・?)
柿ノ本 (だから簡単だろ。あの春歌が着ている和服を、脱がすのさ。)
兄 (ええっ!?)
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春歌 「フ・・・どうやら兄君さまは完全に戦闘不能のようですわね。・・・石田様、私とお手合わせいたしますか?」
石田 「ううっ・・・。」
!?
春歌 「な・・・この小宇宙は一体!? 兄君さまの妄想力が見る見るうちに膨れ上がっていく!?」
スタッ!
兄 「・・・春歌・・・キミに勝つ方法がわかったよ。」
春歌 「兄君さまが立ち上がった!?バカな!!人体急所を突いたはず・・・!?」
兄 「春歌、キミの萌えの源はその和服だ。春歌の萌えを封じるには、その和服を脱がすしかないんだ。」
春歌 「・・・うっ・・・で、ですが、一体どうやって脱がすおつもりですか?
まさか、こんな屋外で実の妹を辱めるおつもりですか?」
兄 「・・・脱がせてみせるさ、行くぞ!」
お に い た ま 流 星 剣 !!
春歌 「・・・み・・・見損ないましたわ、兄君さま!
・・・ですが、そんな太刀筋ではこの春歌に当てる事など不可能。緩やかにかわすだけですわ!」
ポトッ
春歌 「ハッ!・・・あ・・・兄君さま、背中に何を入れたのですか?ま・・・まさか・・・まさかこれは!?」
け、毛虫!!
春歌 「キャ・・・キャァ〜〜ッツ!!い、嫌です!!取って〜ッ!!兄君さま、取ってください!!」
兄 「ハハハ・・・しょうがないなぁ。」
プチッ
兄 「あ!」
春歌 「あ、兄君さま・・・い、今の音は、な、何ですか!?」
兄 「ゴメンゴメン、潰しちゃったよ。」
春歌 「キャ・・・キャァ〜〜ッツ!!そ、そんな〜〜っ!!わ・・・私、着替えてきますわ〜っ!!」
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石田 「やりましたね。春歌ちゃんの和服を脱がす事に成功しましたよ!」
兄 「ああ、ちょうど桜の木があって助かった。花見に毛虫はつきものだからな。」
石田 「なるほど、冒頭の不自然な会話にはこういう意味があったんですね!」
ガチャ!
春歌 「兄君さま、お待たせいたしました。」
石田 「あっ、ブレザーですよ!制服の!やりましたね!」
春歌 「くっ・・・ですが、侮らないで下さい。和服でないといって剣の腕が衰えたわけではありませんわ。
いきますわよ!!」
グ レ ー ト 撫 子 ホ ー ン !!
兄 「うわっ!!」
ドサッ!!
春歌 (・・・ま・・・またですわ。確かに私の技は受けていますが、兄君さまの眼は何かを狙っていますわ。
まさか、また背中に虫を!?それは困ります!
最近の長雨で洗濯物が乾かず、もう着替えるものがありませんわ!それだけは避けないと・・・!)
兄 「・・・春歌、君の剣はもう見切ったよ。」
春歌 「な、なんですって!?」
兄 「今度こそ確実に決めてやる。こい、春歌!これが最後だ!!」
春歌 「ざ・・・戯言を!最後なのは、兄君さまの方ですわ!覚悟ォ!!」
グ レ ー ト 撫 子 ホ ー ン !!
兄 「今だっ!!」
シュン!
春歌 「えっ・・・あ、兄君さまが消えた!!兄君さまはどこへ!?」
兄 「こっちだよ春歌!」
石田 「うまい!春歌ちゃんの突き出した右腕で出来た死角に回り込んだ!!」
春歌 「し・・・しまった!!」
お に い た ま 流 星 剣 !!
春歌 「キャッ!!」
チッ!
春歌 「な・・・こ、これは・・・私の体には一撃も当っていない!?・・・兄君さま、お手元でも狂われましたか!?」
兄 「いや、もう勝負はついているよ。」
春歌 「そ、それは、どういう事ですか!?」
ブチッ!!
春歌 「こ、これは!?」
フワァ!
石田 「な・・・、春歌ちゃんのリボンがちぎれ、束ねていた髪が下ろされた!?」
春歌 「そ・・・そんな。」
兄 「春歌、これで和服に加え、キミの躍動感の象徴とも言えるポニーテールを封じたよ。」
春歌 「ま、まさか最初からこれを!?」
兄 「当たり前だろ。僕が春歌の体を竹刀で殴るなんて酷い事はできないからね。」
春歌 「あ・・・兄君さま・・・。」
兄 「どうだい春歌・・・これでも、まだ僕を萌えさせる事が出来るかい?」
春歌 「くっ・・・うう・・・。」
兄 「・・・・・・。」
春歌 「ウワーッハハハーッ!!・・・・参りました、兄君さま。」
兄 「それじゃあ・・・。」
春歌 「はい。キーはお渡しします。」
兄 「ありがとう、春歌。・・・それじゃ、僕は先を急ぐから。」
春歌 「兄君さま・・・私、兄君さまの事を惚れ直しましたわ。」
兄 「そ・・・そうか?」
春歌 「ですが、この先の妹達も同じように行くと思ったら大間違いですわ。
妹達を侮らないで下さいね。」
兄 「わかってるよ。春歌との戦いで妹達の萌えの凄さが嫌でもわかったさ。」
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石田 「しかし、あなたが剣道なんて出来たんですね。知りませんでしたよ。」
兄 「ハハハ・・・バカにしてもらっちゃ困るよ。なんてったって、僕は、
「 る ろ う に 剣 心 」 を 全 巻 持 っ て い る ん だ か ら。