アニメ「一休さん」最終回
母よ、友よ、
安国寺よ、
さようなら
−中央児童福祉審議会推薦−
文章起こし:蜷川新右衛門
登場人物
- 一休さん
- 蜷川新右エ門
- 足利義満(将軍様)
- 外観和尚
- 桔梗や親子
- さよちゃん
- 秀念さん
- その他小坊主(哲斎・哲梅・陳念・黙念)
- その他エキストラ
シーン1 安国寺
「いっきゅう〜。お〜い一休。いっきゅう〜。」
秀念の、一休さんを探す声が響く。一休さんは考え込んでいた。安国寺の草むらに隠れていたため、秀念らは見つけられなかったのだ。
一休さんは最近(1405年頃)、外観和尚の安国寺を離れてもっと厳しい境遇で修行しようと思案していたのだった。
「いっきゅうさ〜ん!」
そこへ腕利き寺社奉行の蜷川新右エ門 の登場である。和尚の部屋にやってきた蜷川新右エ門は、一休さんに、義満公(上様)がお呼びである事を告げる。修行中の身である一休さんは、いつもなら断るのだが、この日は気前良く引き受けた。
シーン2 金閣寺
そこで3代将軍義満のいる鹿苑寺金閣に赴いた二人。そこで将軍様の退屈しのぎとして問答があった。おなじみの光景である。
「一休殿。そもさん!」
「せっぱ!」
元気の良い受け答えである。そこで将軍、
「こんな小さい物で、部屋をいっぱいにする事が出来るものがある。それはなにかな?」
と、ジェスチャーを交えて問題をだした。一休さんは、心の中で、将軍様に別れを告げ、これまでのいろんなことに感謝していた。(将軍様、これまでかわいがって下さって有り難うございました。)
「どうじゃ、こたえられぬであろう。」
将軍様は得意そうに一休さんに答えを促す。
「とんでもございません。答えはロウソクでございます。」
一休さんは、感傷を悟られないよう努めて明るく答えた。
「やられた。さすがは一休どのじゃ。」
義満はいつも通りの一休さんのとんちに感心している。
「でも、将軍さま、いままでで一番難しい問題でしたよ。」
一休さんは将軍様への感謝を込めてそう言った。将軍義満も悪びれずうけとめた。
シーン3 帰り道
帰り道、一休さんは新右エ門 の馬の後ろに乗っけてもらっていた。
「ほんとは将軍さまに花をもたせて降参しようとおもったんですが、できませんでした。」
一休さんはシンエモンに心の一端を吐露した。新右エ門 はすこし驚いていった。
「あたりまえでござる。わざとまけるなんて、そんなの一休さんらしくないでござるよ。」
「そうですよね。」
一休さんはうつむき気味にそういった。
「これでよかったんですよね。」
この帰る道の途中、新右エ門 は一休さんに、夏バテで食欲がないともらす。一休さんはしんぱいそうであった。
シーン4 桔梗や
一休さんはかねてより自分のために写経していた経文をもって桔梗やのお店へ急いだ。すると、店番に弥生(やよい:桔梗屋利兵エの娘)がでてきた。一休さんは弥生さんに、買いたい物があるから自分が写経したお経を買って欲しいと頼んだ。話のわかる弥生は、「お父さまに聞いてみるわ」と言って、一休さんを奥に連れてはいる。
「では、これを。」
桔梗屋利兵エは、一休さんに品物を渡す。品物とは、胃腸が良くないともらした新右衛門さんにあげる胃薬だった。一休さんはうけとり、桔梗屋利兵エに最後のお願いをしてみるのだった。
「あ、そのお経(一休さんが写経したもの)、できれば売らずに、桔梗やさんご自身で使って欲しいんですが。」
桔梗やは、そんな願いはききいれず、即答する。
「いいえ、買ってしまったからには、私の物。好きにさせてもらいますよ。」
「そうですか・・・・では。」
うつむき加減で帰る一休さんを後目に桔梗屋利兵エは悪態をつく。
「ええ、忌々しい。なんだって買った後まで指図されなきゃならんのだ。」
弥生は心配そうに答えた。
「でも、今の一休さん・・・・なんだかいつもと違ってたわ。」
「うん?なにがだ。」
「何がっていわれても・・」
桔梗屋利兵エには分からなかったが、弥生は鋭い観察眼で一休さんの変化を読みとっていた。・・・これが一休さんと桔梗や親子、最後の対面であった。
余談
一休!
一休!
いっきゅう!
は〜い。あわてない、あわてない。一休みひとやすみ。
・・・・と、いう一連のキャッチフレーズは、最終回の思いの詰まった話にそぐわないためか、最終回だけは、なかった・・・と思った・・のだが、あったらしい。
(ビデオテープ等がないので、記憶で書いているので、ご了承を。)
一休さん最終回・後半につづく
|