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桃の子桃太郎(十)

 玄界灘の海の向こうに鬼ヶ島があって、そこでは将軍様と呼ばれる鬼の大将を筆頭に、大勢の鬼どもが住んでいます。
 鬼ヶ島は農業政策の失敗から恒常的に飢饉状態で、毎年大量の餓死者を出していました。そこで鬼ヶ島の鬼どもは、麻薬の栽培を国家規模で行ない、世界各国に輸出して、麻薬中毒患者を生み出し続けてはや数十年。ところがそうして得た金で米や小麦を買うのかと思いきや、秋葉原のパーツショップで部品を仕入れてせっせとミサイル造り。爆発的な数の餓死者など気にも留めません。
 しかもそのミサイルの矛先を日本に向けて、
「謝罪しる! 反省しる! 補償しる! 土下座しる!」
 と喚きに喚いて、日本政府から米や金を恫喝まがいにせびりまくるのです。
 それだけではありません。鬼ヶ島の鬼どもは、中国漁船に偽装した工作船に、テロリストの訓練を受けた工作員を載せて日本に潜入させ、若い男女を鬼が島へと拉致して行きました。
 しかし鬼どもはそんな国際的人権侵害を頑として認めず、ただひたすらに怒りの矛先を日本に向けて、
「謝罪しる! 反省しる! 補償しる! 土下座しる!」
 と喚きに喚いて、日本政府から米や金を恫喝まがいにせびりまくるのです。
 それに対して日本政府、鬼に逆ギレしてもよさそうなものを、何かヤマしいところがあるのか、何か弱みを握られているのか、ただひたすらに「やさしい政治」の土下座外交。今年もせっせと農業政策(減反)の失敗で余った米を鬼どもに貢いでいました。
 そんな日本政府の惰弱ぶりに鬼どもはつけあがり、ますます高圧的に
「謝罪しる! 反省しる! 補償しる! 土下座しる!」
 と喚きに喚き、叫びに叫び、吠えに吠えまくっていました。
(続く)

(C)IZUMI_Kawauso
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