桃の子桃太郎(二)
そに日の夕方、夕食は極薄味(年を取ると味覚が敏感になる)で、とても柔らかい(年を取ると歯が弱くなる)ものでしたが、その後でおばあさんはあの桃を切って皿に載せ、おじいさんに出しました。
おじいさんは人がいいのかボケているのか、何の疑問も持たずに口に放り込みました。おばあさんはそのさまをじっと見ています。
するとあら不思議、おじいさんがどんどん若返ってゆくではありませんか。いつお迎えが来てもおかしくない老体がナイスミドルに、ナイスミドルがナウなヤングになっていきました。
それを見たおばあさん、自分もバスに乗り遅れるなとばかりに、鬼神の形相をしてものすごい勢いで残った桃をかきこみました。おじいさんだけにいい思いをさせてなるものですか!
するとあら不思議、おばあさんもどんどん若返ってゆくではありませんか。鬼婆もかくやという老女がオバタリアンに、オバタリアンがピチピチギャルになっていきました。
これは一体、どうしたわけでしょうか。すっかり若返ったおじいさんとおばあさんには知る由もありません。読者はもちろん、作者にもわかりません。
(続く)
©IZUMI_Kawauso
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