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禁断のスプロケット交換
後編

とりあえず、ドライブ・スプロケ(フロント・スプロケ)交換の続きです。

もちろん事前作業として、先にアスクル・ナットとチェーン・アジャスティング・ナットを弛めて、
チェーンの張りを、一番、ダルンダルンに弛めてあります。
そちらの模様は、ドライブ・スプロケ(フロント・スプロケ)交換をご覧下さい。



リア・スプロケを交換する

ウチでは分かりやすいのでリア・スプロケと言っていますが、
正式にはドリブン・スプロケットと言うらしいです。

さて今回も、自分でやってしまいました…。
お金の惜しさもあったのですが、
コレも後々の経験になるかな?と思って、『やれるところまでやってみよう!』と思った次第です。
(もし出来なければ、最低限、走れるところまで直して、ショップに駆け込もうと思っていました…)

ちなみに、今回の交換方法は、ひでむら自身が作業しやすい方法なので、
正式な交換方法とは違うかもしれませんので、
あらかじめご了承を…。

注意
駆動系をイジるので、
ヘタに調整すると大惨事に繋がります。
自信がない人は、ショップに任せましょう…。
命はお金では、買えません…


とりあえず、ドリブン・スプロケを替える前のチェーン・アジャスターの位置は、こんな感じです。
コレは、レーシング・ワールドでチェーンを交換したときの調整具合のままです。


とりあえず、リア・スプロケのボルトを外すのに邪魔だから、左マフラーを外しました。


あと、チェーン・カバーも外しました。

そしてこの状態で、一度、センター・スタンド状態からサイド・スタンド状態に変え、リア・タイヤを接地させ、
ドリブン・スプロケの固定ナットを、一旦全部、弛めます。
ナットを抜くのではなく、弛めるだけです。
このナット、回し始めが固いから、この方がタイヤからカップリングを外してナットを弛めるよりも、
作業しやすいかな?と思いました。

もしかすると、タイヤのラバー・ダンパーを痛めるのかもしれませんが…。


ココで注意しないとイケナイのは、
マフラーを外してサイド・スタンド状態にすると、 跳ね上げたセンター・スタンドがチェーンに当たるので、
バイクに跨りセンター・スタンドの足掛けに足を掛けるなどして跳ね上がる勢いを殺して、
ゆっくりと上げてやって下さい。


ん〜、チェーンカバーの内側も、エライ泥汚れだ…。
もちろんマイナス・ドライバーでゴシゴシ落としました。

さて、ココからしんどい作業が始まりますっ!!
センター・スタンドを立て、スイング・アームからタイヤを抜くのです。

リア・タイヤ、けっこう重いです。
腰などを痛めないように、注意して作業を続けます。


アスクル・ナットを取り外し、アスクル・シャフトを抜き始めます。
ちなみにシャフトを抜く(引っ張る)のは、リア・スプロケ側からです。
リア・キャリパー側からは、押し込んでやります。

最初は、抜く感覚が固いかもしれません。
私の場合、庭の隅にあったコンクリートの破片をリア・タイヤの下に敷き、ちょっとしたジャッキの代わりにして
アスクル・シャフトに加わるタイヤの重さを殺しました。

それでもなかなか抜け始めそうにない場合は、
出ているシャフトの頭を、柔らかくて固いモノで少し叩いてやります。
(私の場合は、ラチェット・レンチのゴムの取っ手部分で叩いてやりました)

少しずつ、アスクル・シャフトを抜いてあげると、
最初にリア・ブレーキ・キャリパーが外れます。
(ボルトなどでは固定されていないので、
 シャフトが抜けると簡単に外れます)

同時に、ブレーキ・ローターのカラー(金属の輪ッカ)
が抜け落ちると思うので、
カラーが砂まみれにならないように、
外れる瞬間に取ってやりましょう。

そして外れたブレーキ・キャリパーは、
少し横にズラして、スイング・アームの上にでも
置いておきましょう。
(キャリパーを落とさないように注意してね!)

続いて、少しずつアスクル・シャフトを抜き、
最後に全部抜き終えると、そのシャフトを
砂の付かないような所に置いておきます。

まだ、リア・スプロケにチェーンが掛かったままなので、
それを外して、スイング・アームに引っかけておきます。

もしかすると、シャフトを抜いた時に、
カップリングとスイング・アームの間にあるカラー
抜け落ちるかもしれませんので
コチラも注意して、外しておきます。


さぁコレで、リア・スプロケを横へ水平に引っ張ると…


タイヤから、カップリングに付いたまま、リア・スプロケが外れます。

この部分は、タイヤにボルト止めされておらず、
水平に引っこ抜けば簡単に外れるようになっています。


ちなみにタイヤ側は、
こんな風にゴム製のラバー・ダンパーが
ハマっています。

この凸凹の間に、
先ほどのカップリングがハマるようになっており、
加速や減速時のショックから、
車体を守る仕組みになっているようです。

なるほど…、
もし、リア・スプロケが直接タイヤに付いていると、
加減速する度にチェーンやホイールに
急激で過度な負担が掛かるわけですね。

私は、今回の作業するに当たって下調べをするまで、
そんな仕組みになっているとは、知りませんでした…。


先にタイヤに付いていた状態で、スプロケの固定ナットを弛めておいたので、
簡単に古いドリブン・スプロケを外せます。

もし先に弛めておかなかったら、この状態では、ラチェット・レンチに大きなトルクを加えにくいと思ったので、
先に回し始めの固いところだけ弛めておいたワケです。


そしてやっと、新品のドリブン・スプロケの取り付けです。


ISA・COERCE(コワース?コアース?)製 『K−1 520−46T』です。
同じくレーシング・ワールドで定価7900円の20%OFFセールでした。
ちなみに純正と同じ47Tもありましたが、今回は実験的なテストも兼ねているので『46T』にしました。

リア・スプロケのコマ数が減るということは、いわゆる加速型→高速型に一歩進むと言うコト…。
(ちなみに新型のZZR250はドリブン44Tにまで減っているそうです)


果たしてこの選択が、吉と出るか凶と出るか…。


白銀のスプロケ…。(美しい…まるで、北欧の女性のような美しさだ…ウットリ…)
AFAMの金色のドリブン・スプロケもメジャーですが、
この美しさに惚れて、コワースのヤツにしました。

それに、チェーンもスプロケも両方ゴールドだったら、ちょっと変わり映えがしないかな?と思ったので…。


刻印ではなくシールですが、46Tの証です。


新旧を重ねてみました。
コマ数が違うわけですから(47Tと46T)、もちろん微妙に新旧のコマ間がズレています。
で、ちょっとだけ新しい方が、径が小さい。

こうやって見たら、
1コマ間って結構ありますね。

47Tの場合、360÷47=7.65度
46Tの場合、360÷46=7.82度

各1コマ間、0.17度ずつの差か…。


ちなみにタイヤ・GT501の
公式データーによると、
半径が627mmだから、
外周は2×627×3.14=3937mm

47Tは1コマで83.7mm進み、
46Tは1コマで85.6mm進むと…。

1コマで1.9mmずつの差だから、
46Tは47Tに比べ、同じ回転数なら
46Tの方が1回転で
87mm先に進むことになると…。
むむ…、
1回転(4m)で8.7cmってことは、
後輪が10回転(40m)進めば、87cm、
100回転(400m)進めば、
8.7メートルの差か…。

ん〜、微妙な差だなぁ…。


タイヤのラバー・ダンパー部分は、そんなに汚れていなかったので、
あえて手を付けずにそのままにしておきました。
正直に言うと、ヘタに外して、ゴムが傷むのが怖い…。

その代わり、アスクル・シャフトが通る穴に、グリスを塗ってあげました。


カップリングの裏、タイヤのラバー・ダンパーとの接点部は、こんな感じです。
この6つの出っ張りで、タイヤと言うかZZRを動かしているのですね〜。

で、そんな出っ張りの1つをよく見ると…、


ク、クモが…、こんなところまで…。
もちろん死んでいますが…。


カップリングの中央には、ベアリングのボールが見えていました。
ボールが見えていると言うことは、グリスが減っているのかな?と思ったので、ついでに手持ちのグリスを追加しておきました。
ん〜、こんなコトだったら、もっと品質のいいグリスを買っておくべきだったか…。
(復活計画の時に買ったグリスなのだが、もし計画に挫折した時のため、安いヤツを買っていたのだ…)


さて、ココから逆手順で元の状態に戻します。

とりあえず、カップリングに
ドリブン・スプロケの固定ナットを
ある程度強く締めておきます。
(仮締めってコトね)

もちろん基本的なコトですが、
固定ナットは対角線上に締めていきます。

←コレはあくまでも例ですが…。


これがタイヤ中央を貫いている、アスクル・シャフト。
けっこう長い…。

シャフト部に、グリスを塗っておきます。
あまりベトベトにしても、入れる時にほとんど削げ落ちるので、適量で…。

新しいドリブン・スプロケを装着したカップリングをタイヤに組み合わせ、チェーンを掛けておきます。

スイングアームの穴にシャフトを入れ、カラーカップリングタイヤカラーリア・ブレーキ・キャリパー→スイングアームまで、貫き通します。



こっちのカラーは、そんなに簡単には外れませんでしたが…、


こちらのカラーは、簡単に外れて落としやすいので、要注意!!


ちなみにカップリングのシャフト穴とタイヤのシャフト穴に微妙な段差が出来て、入れにくいかもしれませんが、
そこはグニグニと頑張って入れます。

もちろんタイヤの下には、コンクリートの破片などを咬まして、簡易ジャッキ代わりにしています。
でないと、タイヤを片手で持ち上げながらだと、抜くときよりも、かな〜り大変だよ〜。

反対側のスイングアームまで届いたら、
チェーンアジャスターの外板とワッシャー、そしてアスクル・ナットを仮締めしておきます。


マフラーとチェーン・カバーをまだ装着していないので、
この状態が、一番、よく見えます。

そしてこの状態の時に、外したときと同様、センター・スタンドをゆっくりと上げてリア・タイヤを接地させ、
ドリブン・スプロケの固定ナットを、増し締めしていきます。
対角線上に締めていかないとイケナイから、
締めてはタイヤをちょっと動かして、締めてはタイヤをちょっと動かしてと、
非常に面倒くさいです。

あと、もしかしたら、この方法は、タイヤのラバー・ダンパーを痛めているのかもしれません…。

チェーンの張りの目安は、
チェーンを真後ろから片目で見て、
真っ直ぐになるようにしました。

そして、スイング・アームに刻まれている
アジャスターの切れ筋を
左右同じ位置に合わせます。

そして、基準通りに
チェーンに3.5〜4cmほどの
たるみも出しました。

ちなみに、
左右の調整が大きく狂っている
高速走行中にチェーンが外れ、
大惨事に繋がりますので、
慎重に調整しました。


チェーン調整したあとのアジャスターの位置は、こんな感じです。
冒頭のアジャスター位置と比べると、1目盛り分くらい後退していますね。

ちなみにこのアジャスターの▲の切れ込みがある板(アジャスター・アウトサイドと言うらしいです)が、
微少ですが前後にグラグラと動きますので、
アスクル・ナットを仮締めするなどして、グラつきを殺してから左右の調整をしてやって下さい。
ちなみに調整は、チェーン・アジャスター・ナットを時計回りで『張り』、反対回りで『弛み』ます。
ロック・ナットを締めると、チェーンの張り加減も変わるので、要注意。

そして、アスクル・ナットを増し締めしてやり、
割ピンをセットしておきます。



ちなみに、アジャスター的には、あと1T分は落としても(47T→45Tと言うコトね)
チェーン108コマのままでも大丈夫そうですが…。
(ちなみに新型ZZRはドリブン44T・チェーンコマ数106だそうです)


さて、ドリブン・スプロケの取り付けは完了です。
あとは、作業時に邪魔になったパーツを装着していきます。
ゴールド・チェーンと白銀のドリブン…。
絶妙な美しさです…。

でも…、でも…、


マフラーとチェーンカバーを装着したら、
ほとんど見えなくなります…。


覗き込むと、伺えます。


ふぅ、作業が終わりました……。

初めての経験でしたが、なんとか最後までやり終えました。
感慨もひとしほです、

が…、

あぁ、しんど…、

そして、

面倒くさ…。

フロント・スプロケに比べて、
コチラ側は、出来ることならもう二度としたくありませんね…。
ドリブン・スプロケ交換工賃、某店では2000円です。
不思議なことに、Fスプロケよりも、Rスプロケの方が工賃安いのよね…。
いい経験になりましたが、今度からは、ショップに任せようかな??

でも、グリス・アップとかの整備はしてくれないからなぁ…。


作業時間は、前後のスプロケ合わせて2時間半くらい。
HP用に写真撮りながらだから、今度からは1時間半くらいでできるかな?
まぁ一番、時間が掛かるのは、左右のチェーン・アジャスターの調整なんですが…。


インプレッション

いい!!

1T落とし、最高!!


メチャ、最高!!!

コレは今までの挑戦の中で、大成功の部類です。
アーシングとイリジウムが同時に再来したかのような感動に身体が震えました。

これでこそ、真のZZR250です!!

ZZRでずっと懸念だった、2速の加速感と言えば、
アクセルを捻っても回転数だけが上がる感じで、車体がその回転音の割に前へ進みませんでしたが、
この46Tにすると、進みます!!
前へ前へ、進もうとしますっ!!!
コレでこそ、2速ギアの加速感ですっ!!!!

『あぁ…、コレが…、コレが真のZZR250の姿なんだ…』と、
運転しながら感涙しそうになりました。

正直、替える前までは『1T落としただけでは、そんなに感覚的に変わらないだろう…』と、高をくくっていました。
走っている最中に回転数を確認しましたが、速度と回転数の関係も、
47Tの時とほとんど変わりはありませんでした。
(同じスピードなら、タコ・メーターの針1本分、低い回転数くらいでしょうか?)
ですが、予想計算していたよりも、感覚的には1〜6速のすべてのギア域で早くなっており、
コレは嬉しい誤算です。

例えば今まで加速に10秒かかっていたスピードに、8秒で到達できるような、
今までよりも数秒早く目指すスピードに達する、そんな感覚です。

その代償と言いましょうか、
馬力と言うかトルク感が若干、ほんの若干ヌルくなりましたが、
ぜんぜん許容範囲です。
エンブレも若干弱くなりましたが、今までのが少しキツかったので、ちょうど良い感じになりました。
ですが、ちゃんとアイドリング回転数だけでも発進できるトルクはあります。
加速や坂道を登るときだけ、若干ヌルい感覚があるだけです。


と言うことで、総合判断として、1T落としは大成功です。
こんなに成功すると、もう一つ下げて45Tにすれば、どんな感じになるか気になるところですが、
おそらくの予想では、コレ以上トルク感が薄くなると、かえってイライラしそうな気もします。
だから、もし今度ドリブン・スプロケを替えるコトがあっても、私は46Tにします!!



旧型ZZR250にリア46T、コレ最高です!!

注:この感想は、マタ〜リZZRライダーひでむら独断の感覚ですので、
  人によってはトルク感が薄すぎると言う感覚になるかもしれません…。
  悪しからず…。

追記:03年06月11日時点で、交換後50kmほど走りましたが、
    やっぱり、いい感じです。
    2速で加速する度に、その違いに感動します。
    気になっていたチェーンの左右調整も合っているみたいで、
    異音無くスムーズに加速し、60km/h巡航でも、若干、振動・騒音が減ったような気がします。
    文句無しです!!!

    予想していませんでしたが、駐輪時の取り回しが軽くなっていました。


旧式・新式のギアレシオの違い

旧式(90〜99) 新式(02〜) ご覧の通り、新式と旧式では1速と4速、
そしてドリブンのギア比が変更になっています。
新式のZZR250に乗ったことがないので、
どんな乗り味に変わっているのか分かりませんが、
ドリブンが3つも減っているので、
旧式に乗っている人は、かなり変わっていると感じると思いますが…。
1速 2.600(39/15) 2.857(40/14)
2速 1.789(34/19) 1.789(34/19)
3速 1.409(31/22) 1.409(31/22)
4速 1.160(29/25) 1.120(28/25)
5速 1.000(27/27) 1.000(27/27)
6速 0.892(25/28) 0.892(25/28)
ファイナル 3.357(47/14) 3.142(44/14)



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