「日本は侵略認めず謝罪拒否」
賠償要求「3500万人殺害」
【ワシントン4日=古森義久】中国政府の公式代表であるサンフランシスコ駐在
総領事が地元での公開のシンポジウムで日本政府が中国その他のアジア諸国
への過去の侵略を認めず、謝罪もすべて拒んでいるとする、事実に反する言明
をしたことが四日までに明らかになった。同総領事は日本が戦争中に中国人三千
五百万人を殺したという根拠のない数字をあげる一方、日本政府に中国側への
賠償支払いまでを求めた。
中国のサンフランシスコ駐在の王雲翔総領事は四月二十二日にサンフランシスコ
大学で開かれた「日本の戦争記憶問題と対決する」と題するシンポジウムで基調
演説者の一人として発言した。王氏の発言内容は複数の参加者による録音報告
で一般にも明らかとなった。
王総領事はまず日本の対中侵略についてとして(1)一九三一年の中国東北部の
占領から四五年の終戦まで日本軍は中国人民に対しホロコーストを働き、合計
三千五百万人の中国人を殺した(2)三七年に南京を占領した日本軍は六週間で
三十万人の中国人を殺した(3)その際、日本軍将兵は殺人の競争をした(「百人
斬(ぎ)り」への言及)−などと述べた。
王氏はさらに日本はフィリピンその他の近隣諸国をも侵略し、残虐行為を働いた
と述べたうえで「こうした残虐や長年の経過にもかかわらず、日本の政治家も政府
も現在にいたるまで近隣諸国への侵略を認めず、残虐行為を否定し、中国、韓国
を含むこれら諸国に対し口頭でも法的にも謝罪することを一切、拒んでいる。日本
政府は犠牲者への賠償支払いも拒否した」と言明した。
王総領事はまた日本政府が戦争中の侵略や残虐の記述を教科書から削除し、
国際社会への責任を果たしていないため、近隣諸国の間には日本がまた侵略戦争
を始めるのではないかという懸念があると非難したうえで、「中国政府としては日本
政府に対し(侵略の)犠牲となった諸国に対し公式、かつ法的に謝罪し、犠牲者への
賠償を支払うことを厳粛に要求する」と述べた。
このシンポジウムは中国政府ともきずなのある「中日戦争真実保存同盟」など
中国系米人の活動家組織の共催で開かれ、「ザ・レイプ・オブ・南京」の著者のアイ
リス・チャン氏や韓国のサンフランシスコ駐在副総領事も基調演説者として発言した。
主催者側では日本のサンフランシスコ総領事も招待したが、辞退したと述べている。
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