【モスクワ27日=高木桂一】露有力紙イズベスチヤが複数の情報筋の話やデータをもとに報じたところによると、ロシア軍が撤退を決めたキューバ・ハバナ郊外のルルデス軍事基地内の電子情報収集施設の利用について中国国防省が昨秋、カストロ・キューバ国家評議会議長に要請、同議長もこれに応じる意向を中国側に伝えた。基地提供をめぐるキューバ、中国間の協力の動きは米国を強く刺激しそうだ。
同紙によれば、ロシアは今年一月末までにルルデス基地からの撤収を完了される予定だったが、賃貸料の未納を理由にキューバ側が電子情報収集施設の無線装置や機材の持ち出しを認めず、それらはキューバ側の徹底監視のもとで現地に残されたままになっている。
キューバは、賃貸料などの収入源を失うことになるためロシア軍のルルデス基地からの撤退に難色を示してきた。イズベスチヤ紙は、プーチン露政権が昨年十月、冷戦時代から米国の軍事情報などをキャッチする拠点としていた同基地からの撤退方針を発表した後、中国国防当局代表団がハバナを訪問、カストロ議長に「ロシア後」の電子情報収集施設の賃貸などでの提供を求め、カストロ議長も同意する考えを伝えたとしている。
キューバ側はそのためにロシアの装置や機材を事実上差し押さえた形で米国の裏庭への軍情報機関の進出を狙う中国と、ロシアに代わる収入源の確保に躍起となるキューバの利害が一致したものとみられている。
米国は中国のキューバ進出の動きを強く警戒しているが、イズベスチヤ紙によると、カーター米元大統領が今月中旬にハバナを訪問した際、カストロ議長に翻意を促したものの、議長はこれを突っぱねたため協議は決裂したという。
ロシア軍関係筋は昨年十二月、産経新聞に対し、中国が同基地の電子情報収集施設の譲渡をロシア側に書簡で求め中露間で交渉が行われていることを明らかにしていた。
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