北朝鮮の実状が漏れ伝わって来たからである。
思想から生活までのすべてを統制される北朝鮮社会で、日本からの帰国者がどのような扱いを受けたかは容易に想像できるだろう。彼らは日本ばかりか敵国である韓国にも人脈があるため、スパイ分子とみなされ厳しく監視されたと言う。
また住環境は劣悪で労働は過酷であり「約束が違う」と訴えれば強制収容所に送られたり、最悪の場合には銃殺されることもあったのだ。
日本が復興するにつれ、日本に残った者のもとに北に渡った親族から金や物資を送れという手紙が届くようになり、親族の身を案じて仕方なくこれに従うという構図が作られてしまった。朝鮮総連は9万3千人の人質をとられ、現在でも活動まで支配されている状態である。
北朝鮮への帰国船は1985年の出航を最後に事実上途絶えている。
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