神戸市出身の有本恵子さん(当時23)が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に連れ去られたとされる事件で、拉致に関与したと供述したよど号ハイジャック事件のメンバーの元妻(46)が警視庁の調べに、「よど号グループの会合で、メンバーの妻たちが欧州での連れ去りの成功例を報告していた」と話していたことが分かった。警視庁は有本さん失跡前にスペインで行方不明になった2人の男性のことを指している可能性もあるとみて、関心を寄せている。
調べによると、元妻は「グループのメンバーの妻らは以前、欧州から北朝鮮へ日本人を連れてくることができた話を成功例として報告会で発表していた」と話しているという。報告会は北朝鮮で開かれたという。
欧州では80年、札幌市出身の男性と熊本県出身の男性が旅行中にスペインで失そうしている。88年、札幌市出身の男性から家族あてに「有本さんら3人と平壌で暮らしている」との手紙が届いたことで、有本さんも拉致された疑いが表面化した。
「成功例」として話されたのは男性2人のケースだったとみられる。
2人の男性は警察庁が認定した「北朝鮮による拉致容疑事案」の8件、11人には含まれていない。男性のうち1人は行方不明になる直前、スペインでよど号グループの妻たちと一緒に写った写真があることなどから、捜査本部はよど号グループが他の日本人を欧州から北朝鮮に連れ出した疑いを示す有力な手がかりと見て調べを進めている。
調べによると、去年、北朝鮮から帰国し、旅券法違反の罪に問われているよど号グループメンバーの妻の一人、赤木恵美子被告(46)は、外国の治安機関によって北朝鮮工作員とみられる男性と接触していたことが確認されている。
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