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572 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:46:09 ID:Lw0FArFD
バンッ!!
机を叩く音が部屋中に響く。
「予算が……足りません……」
声を発したのは、私立宮上学園に所属する高校一年生、極上生徒会会計担当『市川まゆら』
会議の際、毎回のように嘆きの声を上げる彼女は、毎日のように懐から算盤を出しては事ある毎に勘定をしている。
しかし、毎日のように勘定をするのにも当然理由がある。
この宮上学園特有の極上生徒会という組織、教職員よりも上位の権限を持つという特性から、学園内の治安維持等も一手に引き受けている。
それ故、その活動費たる予算も余りが出るくらい潤沢に配分されている。
はずなのだが、生徒会の面々の一挙手一投足が湯水の如く予算を消費する結果に繋がってしまい、余るどころか赤字になる月もしばしばというのが現状なのである。
しかもまゆらの頭を悩ませるのはそれだけでは無かった。
まゆらを除いた生徒会のメンバー全員の金銭感覚が、ことごとく麻痺しているのも彼女の頭痛のタネだった。
彼女達は、一万円を十円のように使うのだ。
唯一、まともに近いのは遊撃の『飛田小百合』くらいだろう。
それでも、まゆらと比べたら雲泥である。
定例のまゆらの嘆きが終わると、始まるのは隠密と遊撃の水掛論。

573 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:47:10 ID:Lw0FArFD
>>572
「遊撃が予算を使い過ぎなのですわ」
「それはこちらのセリフだ、久遠。学園の平和に多少の犠牲は付き物だ」
「あら、あれが遊撃の多少ですの?」
「そうだ。被害は最小限に止めてある」
「ハァ……なら、学園の壊滅は近いですわね……」
「何ぃッ!?」
ぶつかりあう皮肉と怒声の雨。
それを止める為に室内に響く声。
「ふ、副会長!!待って!!wait!!落ち着いて〜!!」
「おい、れいん……」
「えぇい、邪魔だ!!」
「わっ!!」
「うわっ!!……メガネ……メガネ……」
「あらあら……奈々穂さ〜ん、少し抑えて下さいね〜、久遠さんもですよ〜」
「あら、聖奈さん。私はいつも通りですわよ?」
「そうだ、聖奈さん。止めないでくれ!!私は今日こそこいつを!!」
「Oh!!Stop……」

バンッ!!
「いい加減にして下さい!!」
またも机を叩く音が部屋中に響く。
音を出した主は、またもまゆら。
しかし、彼女の表情はいつもの様な穏やかなそれでは無くて、激昂しきったそれであった。
いつもと違う彼女の表情に、他のメンバーも何かを感じたのか表情が凍った。

574 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:48:44 ID:Lw0FArFD
>>573
「いつもいつも、予算の話になると責任のなすり付け!!全く反省の色も見られませんし……今までは会長の手前でしたけど、今日は言わせて頂きます!!」
あまりの覇気に皆口を開けない。
今日会長が居ないという事実も、それに拍車をかけていた。
「いいですか!?今日は火の車となった財政を立て直す為の案を出してもらいますからね!!」
『は……は〜い……』
「いい返事です。では、副会長からどうぞ」
突然指名され、困惑したような表情を浮かべる奈々穂と久遠。
「え……私達……ですの?」
「そうです」
「そうだな……ファンシーグッズを……」
「そ、それがいいですわ」
「却下します。予算を稼ぐ為に予算を使うなんて愚の骨頂です……全く……次!!」
指名されるれいん。
「あっし!?あっしは……そうだ!!カジノで!!ドーンと!!荒稼ぎ〜!!」
「却下!!犯罪よ!!もう……次!!」
小百合を指名するまゆら。
「え……私……ですか?そうだな……」
「ハ〜イ、ちょっといいですかぁ?」
小百合が悩んでいると、聖奈が突然手を挙げた。
「なんですか、聖奈さん?」
指名された聖奈は立ち上がって説明を始める。
「生徒会のイメージビデオを作るっていうのはどうでしょう?」
「イメージビデオ?」
世俗に疎いのか、小百合が聞き返す。

575 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:49:46 ID:Lw0FArFD
>>574
「そうよ〜、小百合ちゃん。みんなの事をビデオでグラビアみたいに撮影して、ネットで通販をするの」
「しかし、聖奈さん。そんなモノが売れるのか?」
訝しげに尋ねる奈々穂。
それも当然だろう、彼女達は総じて容姿も極上なのだが、周りがみんな極上な人間である為に一人一人が自信を持てないような環境なのだ。
しかし、その気取らない様子が世の男性諸氏の心を鷲掴みにしていた。
「大丈夫ですよ〜、皆さん可愛いし綺麗だから絶対売れますよ〜」
聖奈には更にもう一つ確信があった。
宮上学園はその機密を保持する為に、万全のセキュリティ体制を敷いており、盗撮のようなモノは一切報告されていない。
欲望の温床と言うべきか、そんな側面も宮上学園は持っていた。
そんな学園が自らイメージビデオを販売、更に出演は宮上学園のトップ中のトップ『極上生徒会』のメンバーとなれば、売れない方がおかしいというものだ。
「まあ、そういう事ならいいんじゃないかしら?」
久遠も賛成を告げる。
「Good idea!!」
ビシッと親指を立てて、シンディも賛成の意を示す。
「副会長が言うなら……」
「あっしも!!ついに!!女優デビュ〜!?」
小百合とれいんも賛成をした。

576 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:52:16 ID:Lw0FArFD
これで聖奈の案は、この部屋にいるまゆら以外のメンバー全員の賛同を得る事が出来た。
「そこまで言われちゃったら、やるしかありませんね」
まゆら自身もこの意見の有益性を確認し、賛意を示す。
そこで、れいんがある事に気付いた。
「あれ〜?そういえば香はどこ行ったの?」
同じ遊撃である香の行方を尋ねるれいんに、隠密の参謀的存在である聖奈が答えた。
「は〜い、香ちゃんはりのちゃんと会長とみなもちゃんと一緒にいま〜す」
「なんなんですか?そのメンバーは……?」
「実は、会長とりのちゃんと香ちゃんはみなもちゃんの為に学園を案内してくれてるんで〜す」
「なるほど」
「I see」
シンディにもそれは疑問だったらしく、今の言葉で把握したのか声を上げていた。
場が一段落したところで、聖奈がまたも声を上げた。
「ちょっといいかしら〜?」
「なんですか?」
場の流れから事実上の議長になっていたまゆらが、またも聖奈の事を指名する。
「あのね。今回の主役を誰にするかなのだけど……」
「どういう事だ、聖奈さん?一回じゃないのか?」
今度は奈々穂が疑問の声を上げた。
「奈々穂さ〜ん、一杯種類を出せばたくさんお金を稼げるんですよ〜」
「な、なるほど……」

578 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:54:41 ID:Lw0FArFD
>>576
「それで、主役の件ですけど……次にこの部屋に入って来た人……っていうのはどうでしょうか〜?」
『異議な〜し』
全会一致で可決された、聖奈案。
その結果は思いの外、早く巡ってきた。


「なかなか来ませんね……」
「Too late……」
「まあまあ、まだ二十分ですよ」
……タッタッタッタッ
「誰か来ましたわ」

ガチャ……
「あの!!会長達来てませんか!?」
『おめでと〜!!』
パンパンパンッ!!
部屋中にクラッカーの音が響く。
入って来た少女、香はこの状況に困惑していた。
「な、なんなんですか?」
「実は、かくかくしかじか……」
「ふむふむ……えぇ〜!!私が主役〜!?」
聖奈の説明に混乱をする香。
中学一年生の身では仕方ないのかも知れないが。
「香が!!主役で!!女優デビュ〜!!」
「頑張って」
「小百合先輩、れいんちゃん先パ〜イ!!無理ですよ〜!!」
泣きそうになりながら、なんとか役を逃れようとする彼女に奈々穂が声をかけた。

579 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/23(火) 23:55:51 ID:Lw0FArFD
>>578
「香!!この仕事が、学園の為、ひいては会長の為になるんだ!!頑張ってくれ!!」
「会長の……た……め……?」
それが決定打だったのだろう。
「やります!!やらせて下さい!!」

こうして、私立宮上学園イメージビデオ第一弾の主演は和泉香となった。

587 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:53:47 ID:tCSYt2LO

>>589
会議終了後、撮影準備が行われた。
撮影は、奏のいないこれからの短時間で行われる事になった。
いずれバレる事ではあるのだが、『今回は試験的な意味もあるので会長には内緒』という事が満場一致で決定したからである。

「香、準備はいいか!?」
「OKです!!」
「よし……聖奈さん、お願いします」
「は〜い、香ちゃ〜ん始めますよ〜」
撮影は聖奈、監督は奈々穂、演出は久遠、脚本はれいんといったメンバーで撮影が開始された。
まさしく生徒会謹製といったメンバー、しかし理由は簡単で人を雇う予算が無かったからである。
撮影は三十分を目安に行われた。
これは演出の久遠の案である。
最初の十分で仕事風景、中の十分で魅せて、最後の十分はトークで締める計画になっている。
つまり現在は、彼女の仕事、つまり格闘風景が撮影されていた。
といっても、やはり予算と時間の都合上相手役を組めるハズも無く、香の専門である空手の型の披露となっていた。
今回の披露でわかった事だが、彼女の空手はどうもアウトローなものらしい。
普通の空手家だったら、天地上下の構え等は最初に披露はしない。

588 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:54:24 ID:tCSYt2LO
>>587
だからかは知らないが、最初彼女は演舞を見せる事に難色を示していた。
しかし、全員に押し切られて最下級生の香は渋々承諾せざるを得なかった。
足刀、手刀、正拳、下段回し蹴り。
流れるような華麗な動きで、彼女はギャラリーの奈々穂達を魅せた。
そして、あっという間に予定の十分は過ぎた。
演舞というのは意外に体力を使うのか、彼女は汗だくになっていた。
しかし、何故か演舞が終わるまで彼女は上段と中段の回し蹴りを見せなかった。
やはりそれを疑問に思ったのか、武道に明るい小百合が口を開いた。
「香、何故下段だけだったんだ?」
すると、香は頬を少し紅くして恥じらいの色を濃くして答えた。
「え……だ、だって、スカートですし……撮影されてるんですよ……?さすがにそれは……パンツ見えちゃうし……ねぇ?」
「パンツを!!公開!!全国に〜!!」
「れいんちゃんセンパ〜イ!!」
「それは私も嫌だな……すまない、香」
「いや……小百合先輩にそこまでかしこまられても……」
ギャアギャア騒ぐ三人の中学生を見つめる高校生。
先輩という立場から、優しい目で後輩のやりとりを見つめる彼女達。

589 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:55:19 ID:tCSYt2LO
>>588
時々やり取りを聞きながらクスクスと笑う彼女達の中に、一人だけ笑わずにジッと黙っている少女がいた。
まゆらである。
彼女は、何故か天井に焦点を合わせ、ボーッとしていた。
「香ちゃんの……パンツ……?」
上を向いて何やら想像でもする様に眼を瞑った。
どうやら、相当淫猥な想像だったのか口の端から、だらしなくヨダレなんかも垂らしている。
「エヘ……エヘヘ……香ちゃぁん……」
どんどんエスカレートしているのか、彼女は変な笑いまで上げ始めた。
どうやら、彼女以外の七人は笑い声で異変に気付いたのか、話をやめてまゆらに注目を集めた。
「香ちゃぁん……だぁめ……」
「まゆら先輩?」
「どうした、まゆら?」
「……どうしたんですの?」
「Oh……」
「どうしたのかしら〜?」
「先輩!!一体!!どうしたの〜!?」
「センパイ!!ていうか、なんで私〜!?」
七人が言葉は違えど質問を投げ掛ける中であっても、まゆらの意識は遠くだった。
「エヘ……カァオリちゃ〜ん……」
「……どうしますの?」
困り果てたのか、久遠が奈々穂に尋ねる。
他の人間も、その答えに期待をした。

590 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:56:04 ID:tCSYt2LO
>>589
その場にいるまゆらを除く全員が息を飲む中、奈々穂はゆっくりと口を開いた。
「香に……まかす!!」
責任転嫁にも採れるその言葉。
当然、香からは不満がこぼれる。
「ちょ、ちょっと待って下さい!!なんで私が……」
しかし当然と言うべきか、彼女以外の人間はその言葉を聞き入れない。
「香を!!ご指名!!行って来〜い!!」
「うむ……適任だ……」
「香ちゃん、頑張って〜」
「ま、任せましたわ」
「カオリ……Fight!!」
障らぬ神に祟り無しというやつだろうか、全員が香に責任をあてがった。
そうなってしまえば、最下級生の香に反抗する術は無い。
「もう!!わかりましたよ!!」
やけくそになったのか、彼女はそう叫ぶとツカツカとまゆらに近付いた。
「ハァ……まゆらセンパイ?」
「……香……ちゃん?」
香の呼び掛けに、遂に意識を取り戻すまゆら。
「そうですよ、落ち着いてください!!まゆらセンパイ!!」
「おお!!香!!」
「やっぱり香ちゃんがキーだったのね〜」
「カオリ……Good Job!!」
「これで、話も通じますわね」
「副会長の人選に狂いは無かったですね……」
「今ので!!香を!!見直した〜!!」

591 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:56:51 ID:tCSYt2LO
>>590
香を称える声が部屋中に響く。
先輩達に褒められて悪い気はしないらしく、香も後ろを振り向いてVサインを見せる。
その瞬間、香は肩に手を置かれるのを感じた。
前に六人はいるが、いささか遠い。
という事は後ろである。
「どうしたんですか……?」
香が顔だけ振り向くと、そこには先程見せた表情とは全然違う表情のまゆらがいた。
その表情はどう評すればよいのだろうか。
例えば、正気があるとは思えない。
あるいは、発情しきったとでも言うべきか。
「ヒッ……」
生理的に危険を感じたのか、思わず悲鳴を上げる香。
必死に肩の手を振り払おうとするが、何故か彼女の手はガッチリと肩を掴んでいて振り払えない。

592 名前: 名無しさん@ピンキー 2005/08/24(水) 00:57:23 ID:tCSYt2LO
不思議に思っていると、まゆらはギャラリーの六人に向かって口を開いた。
「この娘……香ちゃん……いただいて行きますね……」
あまりのまゆらの変貌ぶりに、六人は引きつった笑顔を浮かべてコクコクと頷くしかなかった。
「……ありがとう……ございま〜す」
「ふぇっ!?ちょ、ちょっと!!先輩!?」
彼女は香の腕を無理矢理引っ張り、生徒会室から出ていった。
「た、助けて〜!!」
部屋には香の悲痛な叫びが響いた。
部屋の中にはポツンと六人が残された。
全員が、あまりの事態にボーッとしてしまった中、奈々穂が自戒の念を含み口を開いた。

「すまぬ……香……」

654 名前: 1/11百合 2005/08/27(土) 00:03:55 ID:O59yRrHP

>>592
香がまゆらに連れて行かれてから、生徒会室は二人の話題で持ち切りだった。
《宮上学園の極上生徒会》と音に聞こえていても、やはり彼女達は極普通の中学生高校生なのだ。
「しかし、全然素振りも無かったが……」
「……いつからなんでしょうか?」
「香と!!先輩!!両想い〜!?」
遊撃の三人が会談をしていると、隠密の二人がその話題の中心とも言えるまゆらについての報告を始めた。
「聖奈さん」
「は〜い、説明しちゃいま〜す」
底抜けの明るい声で、懐から取り出した用紙を読み出す。
その内容は驚くべき、少なくともシンディや奈々穂、小百合にれいんといった、まともな貞操観念の持ち主には驚くべき事だった。
「実は……」


「どうしよう……」
誰もいない閑散とした極上寮の一室に、香の声が響いた。
その部屋の持ち主はまゆら。
香は、彼女のであろうベッドに両手を挙げた姿勢で、鉄の手錠を用いて繋げられていた。
まゆらによって香がこの部屋に連れて来られた時に、もちろん抵抗はした。
したのだが、タガの外れた人間の力の前に、あれよあれよと言う間にベッドに繋げられてしまったのだ。
無理矢理外すにも、鉄は硬すぎる。

655 名前: 2/11百合 2005/08/27(土) 00:04:50 ID:O59yRrHP
>>654
「センパイどっか行っちゃうし……」
そう、さらに困ったことに、外してもらうにしても件のまゆらがいないのだ。
彼女は、香をベッドに繋げて何をするわけでも無く、ただ一言『ちょっと待ってて』と残して消えてしまったのである。
そのちょっとが長い。
もう20分は経っているであろうか。
仕方がないので、動けない香は、その間天井の木目を眼でなぞっていた。
「はぁ……まゆらセンパイ……遅いなぁ……」


『えぇ!!両刀!?』
生徒会室に四人の叫びが響く。
「しかも、困ったことに……女の子メインのなんです」
「まゆら……」
「まゆら先輩はそんなコトに……」
「さすがにあっしも何も浮かばないわ……」
「Oh……Why?」
「聖奈さん……理由は……あるんですか?」
「は〜い。説明しま〜す」
先程に続いて、またも聖奈が懐から用紙を取り出す。
「皆さん、栗須四門さんを覚えてるかしら?」
栗須四門、隣町の工業高校に通う三年生。
軟派な男であった彼が、まゆらに付き纏っていたのを生徒会の総力を挙げて追い払ったのだ。
「覚えてはいますが……それが関係しているのですか?」
奈々穂が神妙な面持ちで尋ねる。

656 名前: 3/11百合 2005/08/27(土) 00:05:26 ID:O59yRrHP
>>655
「大有りなんで〜す。実はまゆらちゃん、あの事件以来男の人を信用できなくなっちゃったみたいなの」
極めて軽い口調で放たれた、とても重い言葉。
なにせ、女性にとって男性不信に陥るというのは、その先の人生の方針をガラリと変えてしまう。
そんな重たい話を誰が予測し得ただろうか。
「しかし、何故香なんだ?」
当然の疑問を奈々穂が投げ掛ける。
「奈々穂さんは和泉さんが栗須四門になんて言ったか覚えてるかしら?」
すると、聖奈に変わって、今度は久遠が奈々穂に問い掛ける。
しかし、いくら考えても思い出せないのか、頭を抱えていた。
他の三人も共に考えていると、突然れいんが手を打って叫んだ。
「あ〜!!あっし思い出した!!確か『嫌です〜!!無理です〜!!キモいんです〜!!』だ!!」
何故かれいん語に翻訳されてから放たれたが、確かに香はそう言っていた。
「その通りですわ、れいんさん。どうやら、その言葉がまゆらさんの心を捉えたらしくて……」
そこまで言われれば得心いったらしく、今度は奈々穂が大きく手を打った。
「なるほど……自分の心にキリをつけてくれたからか……」
久遠と聖奈もその言葉に首肯するのだった。

657 名前: 4/11百合 2005/08/27(土) 00:06:15 ID:O59yRrHP
>>656
「香ちゃ〜ん、お・ま・た・せ〜」
入口から、まゆらの声が少しウトウトしかけていた香の耳に届く。
その声を聞くや、香の意識は覚醒する。
「ちょっ!!まゆらセンパイ!!早く外して下さいよ〜!!」
「だ〜め」
寝室に入って来ると、まゆらは変な格好をしている事がわかった。
変な格好、すなわち下着だけの格好になっていたのだ。
香にとってすれば、いくら同じ女性だとしても、下着だけで人前に出るという行為は唖然である。
「な、な、な!?」
それ故か、すっとんきょうな声を彼女はあげる。
「んふふ〜、どう?」
クルッと回ってみせるまゆら。
髪がそこまで長くも無い、さらに服も下着だけなので、あまり華やかなモノでは無いのだが、何かの薫りが香の所まで漂ってきた。
どこかで嗅いだコトのあるその薫り。
「それって……」
「ピンポ〜ン!!香ちゃんのシャンプーよ!!エヘヘ……使っ・ちゃっ・た」
「まさか……私の部屋に!?」
「さすがにそこまではしないわよ……、あなたがりのちゃんと話してるのを聞いて、買って来ちゃったのよ」
それでこの薫りか、と納得する香だったが、これから何をされるかはイマイチ理解していなかった。

658 名前: 5/11百合 2005/08/27(土) 00:06:58 ID:O59yRrHP
>>657
彼女がまだ中二であり、この学園の性質という事も鑑みると、それも当然と言えよう。
しかし、香の無知とは裏腹に、まゆらの心には桃色の欲望が渦巻いていた。
「じゃあ、香ちゃんも脱ぎ脱ぎしましょうね〜」
その欲望が彼女の手を動かした。
ワキワキと指を動かしながら、段々と近付ける。
「セ、センパイ!!脱ぎ脱ぎって!!」
が、時すでに遅く、まゆらの手は香の服にかかっていた。
手始めとばかりに、まず襟元のリボンを外す。
そして、上着のボタンを一つずつ丁寧に外していく。
香も身体を揺らしながら抵抗するが、手を上に挙げさせられたままの体勢では力もあまり入らない。
ボタンを全て外したまゆらは、上着の前の合わせを開く。
そこには、セーラー服の核とも言うべき上衣があった。
「これを脱がせば……」
そう、これを脱がせばまゆらの念願である下着のお目見えである。
「センパイ!!さすがにこれ以上はヤバいですよ!!」
ガチャガチャと手錠の鎖を鳴らしながら、香は先以上の抵抗を見せる。
しかし、やはりと言うべきか、それはまゆらにとってさしたる障害にはならなかった。
「さぁ……香ちゃ〜ん……ンフフ……」

659 名前: 6/11百合 2005/08/27(土) 00:07:39 ID:O59yRrHP
>>658
胸元を開いた流れで上衣も脱がそうとするが、その段階になってからまゆらは大変な、それこそ天地を揺るがすような事実に気付いた。
この上衣には、上着のような前の合わせが無いのだ。
普段だったら、両の手を抜いてから頭を抜けば済む問題だが、この場合そうはいかない。
香は腕を手錠でベッドに繋がれているのだ。
つまり、頭は辛うじて抜けても腕は抜けない。
ここに来て、まゆらは八方塞がりの状況に追い込まれてしまったのだ。
「どうしましょう……」
腕を組みながら、まゆらがボソリと呟いたその言葉を聞いて、ここぞとばかりに香が攻勢に転じた。
「ま、まゆらセンパイ!!あきらめましょうよ!!ね!?」
しかし、あきらめの悪いまゆらは、この香の言葉に何かを閃いたらしい。
「……ちょっと待っててね」
またもどこかに行ってしまうまゆら。
だが、先程とは違って、今度はすぐに戻ってきた。
「お待たせ〜」
何をしてたのだろう、と香がふと彼女の手元を見ると、そこにはなんと裁ち鋏が握られていた。
「ま、ま、まさか……」
「香ちゃん!!私が中学に通ってた頃のあげるから……ね?」
「イヤ〜!!やめて下さい!!」

660 名前: 7/11百合 2005/08/27(土) 00:08:31 ID:O59yRrHP
>>659
鋏は徐々に徐々に香の服に近付いていく。
「エイ!!」
ジャキンと豪快に布を切る音が、二人しかいない部屋に響く。
その一太刀で、まず香のスベスベのお腹が露になる。
「や……っ!!」
武道を修めている彼女のお腹は、武道家らしく引き締まっていた。
まゆらは、そんな彼女のお腹に人差し指を這わせる。
「く……ふ……ぅっ……セ、センパイ……くすぐったいですよ……」
「そうやって身悶える香ちゃんも、かわいいわよ」
くすぐったさに身を捩るが、その行為はまゆらの欲望をさらにヒートアップさせた。
先程の上衣の切れ目の先に鋏の刃を当てがい、今度は小刻みにチョキチョキと生地を切っていく。
小刻みに切っていたとはいえ、半分近くまで刻まれていた切れ目を最後まで切り終わるのには、そう長い時間はかからなかった。
上衣の前部に一つスリットを入れられ、香のセーラー服はついに拓かれた。
そこには、まだ未成熟な胸を覆う、可愛らしいスポーツブラが鎮座していた。
「セン……パイ……もう……ヒック……やめてぇ……」
香は、あまりの恥ずかしさに、頬を真紅に染めて泣き出してしまう。

661 名前: 8/11百合 2005/08/27(土) 00:09:14 ID:O59yRrHP
>>660
だが、不幸にも涙を流しながら懇願をする彼女の姿が、まゆらにさらなる嗜虐心をもたらした。
「じゃあ、ブラジャーを……」
香のブラジャーに、まゆらの手がかかる。
「そ、それは……ダメ〜!!」
おもいきり抵抗するも、それは徒労と終わり、彼女の細やかな胸は晒されてしまった。
「か、香ちゃんの……おっぱい……」
「ふっ……ぐっ……ふぇぇぇっ……セ、センパイの……ひっ、ひぐっ……ば……かぁ……ふぇぇぇ……」
涙を拭おうにも、腕が動かせない。
お腹を晒した時と同じように、胸にも指を這わせる。
クルクルと回すような動きに、いやがうえにも香の身体が反応してしまう。
「やっ……そ、そんなとこ……ふあぁ……触らないで下さい……」
少女とはいえ、女としての性なのか、神経が集中している胸への刺激を過敏に受け止めてしまう。
「ほらほら、香ちゃ〜ん。素直になりなさい?」
執拗に胸を責めるまゆらだったが、何故か乳首までは責めるコトは無かった。
そのおかげで、何とか嬌声を上げずに済んでいたのだが、それが終わろうとしていた。
「じゃあ、メインディッシュを……」
「ハァ……ハァ……メイン……ディッ……シュ?」

662 名前: 9/11百合 2005/08/27(土) 00:09:54 ID:O59yRrHP
>>661
「そうよ〜、メインディッシュ。いただきま〜す」
まゆらは、自身の小さな口を開いて、香の乳首へと近付ける。
それを見て香も気付いた様で、その表情が凍った。
「ま、まさか……」
「そ・の・ま・さ・か」
ハムッと効果音が鳴りそうなくらい、まゆらは勢いよく香の小さな乳首にしゃぶりつく。
咥えられた香の方は、堪ったモノでは無い。
周辺への愛撫で高められた性感が、舌のザラツキを増幅して脳へと伝える。
「んっ……くあぁぁッ!!」
もちろん香は処女であり、乳首を舐められた事など当然一度も無い。
そんな彼女にとって、彼女の責めは苛烈なモノだった。
対するまゆらも、どこで覚えたかはわからない絶妙のテクニックでその責めを加速させる。
舐め、吸い、甘く噛む。
緩急を付けて行われるそれは、すぐに香を頂点へと誘った。
「セ……ンパイ……あたし、なんか……きちゃいますッ!!」
「いいのよ、香ちゃん。思う存分イッちゃいなさい!!」
一瞬、口を放してから言葉を紡ぐと、まゆらは先以上に責めを強くした。
その刺激に、香は絶頂に達してしまう。
「ふああぁぁぁぁッッ!!」
初めて味わう絶頂に、ベッドの上でグッタリしてしまう。

663 名前: 10/11百合 2005/08/27(土) 00:10:34 ID:O59yRrHP
>>662
だが、そんな彼女にもまゆらは容赦を見せない。
口を放した彼女は、スカートを捲って香のパンツに目をやる。
「ふぇ……ま、まゆらセンパイ……?」
「この染みは……なぁに?」パンツの中心に出来てしまった女の印を、指でなぞるまゆら。
香にしてみれば身に覚えの無いコト。
その言葉を聞いても、彼女はポカンとしていた。
「何……のこと……ですか?」
「教えたげるわ」
少しだけ布をずらして、まだ無毛の秘裂に溢れる淫水を人差し指で掬う。
その際に少し身体をビクッと震わせるが、構わずに二、三度掬いとる。
「んっ……くぅっ……」
噛み殺すような声を上げる香。
まゆらは、そんな彼女の眼前に掬った蜜を晒す。
「ほ〜ら、こんなん出ましたけど〜」
親指を合わせ、人差し指との間に糸を作りだすまゆら。
それでも理解できないのか、ポカンとしている香。
「そ、それが私の……その……アソコ……から?」
コクリと頷くまゆら。
カァッと、頬が林檎よりも紅く鮮やかに色付く。
「いいのよ、香ちゃん。これは気持ちイイと出てくるんだから……気持ち良かったの?」
またも頷くまゆら。
「そう……じゃあ、もっと気持ち良くさせてあげるわね」

664 名前: 11/11百合 2005/08/27(土) 00:11:40 ID:O59yRrHP
>>663
そう言いながら、下着を脱いで生まれたままの姿になるまゆら。
その姿のまま、香の上に覆い被さり、彼女の唇を奪う。
さしたる抵抗も無く、まゆらは自らの舌を彼女の口腔に入れて、彼女の舌と絡める。
対する香もオズオズと舌を絡める。
時間にして、一分も経ってはいないのであろうが、長い長い時間が経った。
「んっ……」
まゆらが唇を離すと、二人の舌と舌の間に光る唾液の橋が出来ていた。
「センパイ……」
「それじゃ……香ちゃん、始めるわね」
「はい……」


結局、二人が部屋から出てきたのは、夕食の時間になってからだった。
手を繋いで、仲良く食堂に現れた二人は全員の好奇の目に晒され、食事も食べた気がしなかった。
さらに、こんな事態に陥ってしまったため、イメージビデオ計画は一作目から中止に追い込まれてしまい、極上生徒会はさらなる財政難となるのであった。