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お便り&情報BOX

●第42回 安倍晴明逸話集2●

今回はユウさんから寄せられた陰陽師、安倍晴明についての逸話の紹介第2弾です。



こちらは『金烏玉兎集』の「由来」より抜粋したもので、完全に物語の世界だそうです。
その後の本や浄瑠璃などでいろいろ脚色されているので、見る人によっては
「話が違う」とか「私の知っているのはこうです」というのがでてくると思います。



 ◆近衛天皇は玉藻前という絶世の美女を后とした。
だが天皇は、長い間病気の床に臥すことが続いた。晴明は天皇の病気を原因を占って、
「玉藻前が『化来ノ者』で、その祟りによるものであり、
その者は周の幽王に捧げるため祈祷によって狐を美女に造り上げたもの。
その後夏の梁王、殷の紂王の后となって国を傾け、そうして日本へ逃げてきたのです。」と語る。そして
「泰山府君の法を行なえば、本性を現わすでしょう。」とも語る。
玉藻前は、晴明の種々の秘法の前についに正体を現わし、狐の姿となって逃げ去った。


【化生の者】

 ◆晴明の父、保名が助けた狐が、美しい女の姿に化けて保名を訪ねた。
2人の間に晴明が生まれるが、晴明が3歳のとき保名が他の女性に心を移したのを恨んで、
一首の歌を残して、行方知らずになってしまった。

恋しくば尋ねても問へ和泉なる 信田の森の恨み葛の葉

不思議に思って和泉へ行って信田の森の社に祈ったところ、どこからともなく老狐が一匹出てきて、
「自分こそは『恋しくば尋ねても…』と歌った者である。尋ねて来てくださったことがうれしい。」
と言うと、姿を消してしまった。この狐は「信田明神」であるという。
 晴明は、13歳のときに信田の神に参詣した。そのとき、明神が夢のように現われて、
水晶のような玉を与えてくれた。この玉を耳にあてると、鳥や獣の言うことがはっきりとわかったという。
しかし、晴明の妻がのちにあやまってこの玉をこわしたそうだ。


 ◆晴明がまだ安倍童子と称していたとき、蛇を助けて竜宮へつれていかれたことがあった。
また童子は鳥のさえずりを理解でき、そのさえずりから天皇が病気であることを知った。
病気の原因は、去年造営した寝殿の丑寅の柱の礎の下に、蛙と蛇が取り篭められていて、
蛇は蛙を飲み込もうとし、蛙は蛇に飲み込まれまいとする戦いの炎があがって、
ちょうどその上にいる天皇が病気になっていうのだという。

 晴明はそのことを言上し、寝殿の礎を掘ってみると、まさしく蛇と蛙がいた。
これを取りのぞくと天皇の病気は少し平癒のきざしが見え、晴明に
「さらなる祈祷をせよ。」との命令が下った。


【蘆屋道満との対決】

 ◆道満が晴明の評判を聞いて、法力争いをしようと都に上がってきた。
晴明は道満が上洛することは占いで二十日以前から知っていた。
道満は大柑子(だいこうじ:今の夏ミカン)を加持すると、殿原・中間となり、
木の枝を加持すると太刀・長刀に変えることができた。そうしてその者たちを連れて晴明を訪ねてきた。
晴明と道満は内裏の白洲(原文では「大裏の白洲」)で争うことになり、負けたほうが弟子になることを約束した。
「禁中より大柑子を十六箇入れた長持を持ち出し、中になにが入っているかを占え。」
との天皇の命令であった。道満は長持を見て、
「大柑子が十六」と答える。一方、晴明は加持をして、「鼠が十六」と答える。
大臣・公卿らは晴明に勝たせたい。しかしこれでは負けてしまう。
大臣らが躊躇して長持の蓋を取れずにいると、道満も晴明も蓋を開けるよう急がせる。
やむなく開けてみると、中からは鼠が十六匹出てきて走り回った。
そして、約束通り、道満は晴明の弟子となった。


 ◆晴明は、陰陽の道理を極めるために、帝の命令で唐(もろこし)の国へ行く。
留守番として弟子の道満と妻の利花は残していくことにした。
唐では伯道上人の弟子となり、伯道の命令で三年三月の間、萱を刈った。
伯道は文殊の像を造って、萱で仏閣を造った。
やがて晴明は帰朝したが、唐にいた十年の間に道満は利花を愛するようになっていた。
道満は利花に、晴明の唐での修業の成果を尋ねる。利花は
「石の箱の中に何かが入っている。」と語る。
中には『金烏玉兎集』が入っており、道満は急いでこれを写し取る。そして晴明に
「夢の中で『金烏玉兎集』を得た。」と語り、
「そんなことがあるはずがない」という晴明と言い争って命をかけることになった。
道満は写し取った『金烏玉兎集』を懐から取り出して見せ、晴明を殺し、首を取った。
そして利花と不義の関係を結んだ。

 その頃、唐の伯道の文殊堂が焼滅、不思議に思った伯道が泰山府君の法を行なうと、晴明の死相が見えた。
ただちに日本へ渡り、晴明の消息を尋ね、晴明が死んでいることを知った。
晴明の塚を掘ると、散乱しているものの十二の大骨と三百六十の小骨すべてが残っており、
伯道は術法で晴明を蘇生させた。伯道は道満と会い、
「晴明と会った。」と告げると、道満は
「晴明は三年前に死んでいる。もし生きているというのならば、自分の首を取っても良い。」と答えた。
そこで伯道は晴明を呼び寄せ、道満の首を斬り、書き写した『金烏玉兎集』を焼却した。


KAZ / 今回も引き続き安倍晴明についてです。
色々な逸話を読んでいくと安倍晴明が理解できる…と思ったらますます理解できなくなってきました。
う〜ん、本当に謎めいた人物ですね。

ところで、今日(4/3)から安倍晴明のドラマがスタートします!

「陰陽師 −ドラマ Dモード−」
2000年4月3日(火) 23時00分〜23時45 NHK総合(毎週火曜日 連続10回)

原案 : 夢枕 獏 「陰陽師」(文春文庫刊)
音楽 : H.GARDEN 主題歌:「記憶の空へ」 歌:canna
脚本 : 小松江里子、長川千佳子、田中江里夏、渡辺美穂子
出演 : 稲垣 吾郎、杉本 哲太、本上まなみ、寺尾 聰 ほか

何だかんだでタイミング良く番組の宣伝になってしまったみたいですね。
番組についてもっと詳しく知りたいか方はこちらで!!


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