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お便り&情報BOX

●第41回 安倍晴明逸話集1●

今回はユウさんから寄せられた陰陽師、安倍晴明についての逸話の紹介です。



こんにちわ、ユウです。
KAZさんのいう晴明の逸話の中で有名な話を2、3紹介しようと思うのですが
道満との対決以外ではどれを指すのかわからないので、書きまくります(笑)。
そちらで「これだ」と思うものをピックアップしてください。


【鬼が見える】

 ◆晴明が師の賀茂忠行に随って下京あたりに行ったことがあった。
晴明は徒歩で車の後を歩いていたが、忠行は車のなかで寝込んでしまっていた。
ふと前方を見ると鬼が歩いてくる。(原文に「鬼共」とあるから、おそらく百鬼夜行であろう)
晴明は忠行を起こして、このことを伝えた。
忠行は術で自分や共の者たちの姿を隠して、無事に通り過ぎたのであった。
それから忠行は晴明を手放し難く思い、陰陽の道を教えたので、
晴明はこの道で大変尊い存在になったという。


【前世を見通す眼】

 ◆花山院が天皇の位にいたとき、頭風(頭痛であろう)を病んでいた。
特に雨季にはどうしてよいか分からぬほどに苦しんだ。さまざまな治療も全く効果がなかった。晴明は
「花山天皇は前世では尊い行者で、大峰の某宿で入滅されました。
前世の行徳によって天子の身と生まれましたけれど、前世の髑髏が岩のはざまに落ち挟まっていて、
雨の時には岩がふくらんで間がつまるものですから、今生ではこのように痛むのです。
大峰にある首を取り出されて、広い場所に置かれたならば必ず治癒いたします。」
と言い、髑髏のある場所も指摘した。さっそく花山天皇は人を遣わして調べさせたところ、
晴明の言うところに相違なく、以後頭の痛むことはなくなったという。


【占術と算術】

 ◆安倍晴明が宮中に参内した。晴明は、天文博士で算術を得意としていた。
おりしもその日は庚申の夜(この夜に眠ると身体の中にいる三戸(さんし)が
その人の罪を天帝に告げ、命を縮めると考えられた。
人々は物語をしたり、念仏としたりして夜を明かした)であったので、
若い殿上人たちが多く参集していて、眠らない夜のためにさまざまな余興をもよおしていた。
殿上人たちは晴明を召し出して「なんぞ面白いことをして見せよ。」という。
晴明は「それでは今夜の余興に、皆様を笑わせてみせましょう。」
「算術で人を笑わせることなどできるものか」という彼らの前に、
晴明は算木(さんぎ:易で爻(こう)を組合せて卦の形を表す道具。9cmくらいの正方柱体の六本の木)
を取り出して、置き並べたところ、何も見えるものはないのに、その場にいた人々はおかしくなって笑いだした。
笑いを止めようとしてもますます増すばかりでどうすることも出来ず、人々は涙を流して晴明に許しを乞う。
「それでは急いでお止めしましょう。」と算木をしまったところ、おかしさは覚めて、なんのこともなかった。


【式神を使役する】

 ◆藤原道長が法成寺を建立しているとき、白い犬をつれて毎日見に出掛けた。
ある日のこと、どうしたことか、犬が道長の前を遮るようにして走り回り、内へ入れさせまいとする。
道長は不審に思い、「なにかわけがあるのだろう。」と晴明を呼ぶよう使いを出した。ただちに晴明が来て、
「こういうことがあるのだが、なにかわけがあるのか。」と道長が聞く。晴明はしばらくの間占い、
「道長様を呪う物が、道のなかに埋められております。踏み越えなされたならば、大変危険な状態でございました。
犬は神通力を持っておりますから、お知らせしたのでございましょう。」と申し上げる。
「それを見付けだせ」という道長の言葉に、晴明はまたしばらく占い、道の1ヵ所を指摘する。
掘ってみると、地面を五尺ほど掘ったところに、土器(かわらけ:素焼きの陶器)を二つ合わせて、
黄色いこよりで十文字にからげてあるものが出てきた。
中にはなにもなく、朱砂(しゅしゃ:深紅色の鉱石)で一文字を書いてある。
「この術は晴明以外に知る者はおりません。いるとすれば道摩法師あたり。問いただしてみましょう。」
晴明は懐より紙を取出し、鳥の形に結んで呪文をかけて空に投げ上げた。
それは白鷺(式神であろう)となって南へ飛んで行き、落ち入った家には老いた法師(道摩)がいた。
呪咀したわけを問うと、
「堀川左大臣藤原顕光公の要請で術を仕掛けました。」と白状した。
「本来なら流罪とすべきことだが、道摩の罪ではない。」と道摩を播磨へ追い返した。
道長が道摩を罰しなかったのは陰陽の術を恐れたからだと思われる。

 忠行の死後、晴明は土御門大路よりは東にあった邸に住んでいた。
そこに播磨の国から一人の老僧が訪ねてきて「陰陽道を習いたい」と言う。
晴明は、老僧が自分の力を試すために来た者であること、
また、共の二人の童子が式神であることを見抜き、術で老僧の式神を隠してしまった。
やがて老僧は共の式神がいないことに気付いて、晴明を試そうとしたことを謝罪した。
 式神を使うことは容易なことだが、それを隠すことはできない。そこで老僧は晴明の弟子になったという。
人の使役する式神を隠す―これは、晴明が並の陰陽師ではないことを物語っている。

 晴明が広沢の寛朝(かんちょう)僧正のもので談合の間、若い公達(きんだち)や僧から、
「人を殺すことができるか」と問われ、また、池のそばの蛙を殺して見せるようにと言われて、
草の葉を摘み切って呪文を唱えて蛙に投げかけると、蛙はぺしゃんこに潰れて死んでしまった。

 ある日のこと、蔵人の少将がはなやかに行列をつくって内裏に向かっていた。
そのとき、烏が少将に糞をかけた。その瞬間晴明は、その烏が式神で、
少将の命が今夜限りであることを見てとった。少将は、陰陽師に呪いをかけられ、式神に打たれたのだ。
実は同じ邸に住む妻の姉妹の夫が、舅が少将ばかりを大切にするものだから、
陰陽師に相談して式神を使って少将を調伏しようとしたのだ。晴明は一晩中呪文と祈祷で守護した。
その結果、呪った陰陽師のもとに式神が逆に帰っていき、戻ってきた式神に打たれて死んでしまう。
呪咀を返したのである。


KAZ / かの有名な安倍晴明についてのレポートが寄せられました。
「安倍晴明が有名だ」と言うことは知っているのですが、漫画や文献を読んだことがなく、
どんな逸話があるのかを殆ど知らないので教えて欲しいとお願いしたところ
本当にたくさんの逸話を送って下さいました。
ユウさん、ありがとうございます。


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