よし、思い切って頼んでみよう。 ガンバレ、俺! 「あのー…… ヒッチハイク、頼んでいいですか?」 「ああ、乗りなさい」 「あ ありがとうございます!」 なんだ、別に恐い人じゃなさそうだ。 やはり、人は見た目だけでは判断できないな。 車に乗り込むと、おっさんは言った。 「君たち、弓を持っているね」 「は はい。 よくこのケースの中身が弓だってわかりましたね」 「実は、私はアーチェリーショップ・“Mアーチェリー”の店長でね。 これから畠瀬卯総合運動公園での高校生の大会を見に行くんだよ。 ……君たち、遅刻したんだろ?」 偶然ってあるもんだ。 今日はついてないと思っていたが、そんなことはなかった。 「は はい! それでどうしようかと思っていたんです」 「心配いらない。 近道を知ってるから、バスなんかで行くよりも早く着けるよ」 「あ ありがとうございます!」 俺達は心底安堵した。 これで大丈夫だ……怒られることもない。 不安から解放され、外の景色も明るく見えた。 車は快調に走る。 目的地はどんどん近づく。 と、そのとき何か視線を感じた。 ふと、足下を見る。 ……何かが座席の下にいる。 →もっとよく確かめたい →無視しよう |