「タクシーで行こう」 少々財布がイタいが、仕方ない。 あの恐怖を味わうよりはましだ。 ワリカンだからなんとかなるだろう。 俺達は駅前に停まっているタクシーに乗り込んだ。 「どちらまで?」 「畠瀬卯総合運動公園まで」 運転手は不気味に笑った。 目つきはするどく、右側の頬が黒ずんでいる。 俺は背中に少し寒いものを感じた。 そしてタクシーは動き出す。 無言で進むタクシー。 どうも様子がおかしい。 進む方向も、なんだか違う気がする。 橋野も不思議そうな顔をしている。 →ここで降りよう →気のせいだ、降りることはない |