ここからはより勝手なことを書いていきます。 表題のとおり、僕は転調というものが大好きなのです。 嫌いな曲でも、うまく転調してると「おっ」と反応してしまいます。 転調とは、曲の途中で調性が変わることです。 つまり、I度の音がずれるのです。 これが、たまらない。 今まで当たり前に流れていた世界が変容を遂げるのです。 一粒で二度おいしい、といった感じで……ちょっと違うか。 そこで、転調についてどう語ろうかということですが、 転調が気になる曲について語ることにします。 まずは、ゆずの岩沢厚治氏(声高い方)の曲。 ゆずというと、興味のない人から見れば、 青春でさわやかで素直な歌という印象でしょうか。 しかし岩沢氏の曲はけっこうひねくれた感じです。 といっても、音と声がさわやかだし、 ぱっと聞きでは何がひねくれてるの?と思うかもしれませんが。 ここではあまり歌詞について語るつもりはないですが、 歌詞も岩沢氏はけっこう外ではなく内に向かっています。 それに、回りくどかったり意味不明だったりします。 歌詞は置いといて楽曲ですが、 ちょっと変わってるなあと思いますね。 何かがひっかかるのです。少なくとも僕にとって。 いろんな要素があるのだと思います。 それは一言では表わせないと思いますが、 その要素のひとつに「転調」があるように思うのです。 岩沢氏の曲は、しばしば転調します。 初期の頃、路上の頃は転調なんてそんなにしなかった。 ところが、「ゆずえん」というアルバムにある「灰皿の上から」、 この曲で転調を用いて以来しばらく、本当に転調ばかりしていたのです。 転調していないほうが珍しいという時期がありました。 下に、岩沢曲とそれぞれのキーを載せておきます。(オタクやな) 岩沢曲とキー この頃は、本当に変なコード進行をしていました。 こりゃ無理矢理やなーというものから、うまいと思わせる見事なものまで。 わかっててやってるようでもあり、天然ボケみたいなもんかとも思えたり(笑)。 このコード進行・転調を考えるのがおもしろいのです。 この春に出た「すみれ」というアルバムでは 全く転調はしていませんでした。 コード進行も比較的簡単になっています。 新しいシングル「歩行者優先/濃」もわかりやすいコード進行です。 転調ブームは去ったようです。 その代わり、変拍子というリズムに関するひねくれが…… これはまたできれば別のところで見ていきましょう。 (※この文章は'03年10月に書いたものです) 余談ですが、日本の音楽雑誌ってほとんどが、 歌詞とかキャラクターとかについてばっかり書いてる気がします。 さらには、生い立ちとか……。 楽曲を好きになった→そのアーティストのことを深く知りたい、 という興味が湧くのも自然な流れだと思うし、 もちろん歌詞も重要だし、 まあ需要があるんでしょうが、 インタビューとかでもそればっかりというのはどうも…… 音楽的っていうと語弊があるかもしれないけど、 そういう音楽雑誌に音楽的なことが書いてあるのを見たことは少ないです。 たまにインタビューとかでコードの話とかが出てくると嬉しい。 でも、インタビュアーはたいていそんな話には興味がないのか、 話がもとに戻っちゃうんですよね。 ゆずにしたって、僕はけっこう音楽的に見てもおもしろいと思いますが、 記事にはそんなことめったに書いていません。 (ゆずなんて音楽的にもおもしろくねーよ、とか言わないでね) この状況にはやや業を煮やしているのです。 誤解が生じるのもなんなんで言いますが、 僕は歌詞とかキャラとかはどうでもいい、 コード進行とかメロディしか興味ねえよ! っていうんじゃ決してないですからね。 もちろん、全部ひっくるめてみてますきいてます。 歌詞とメロディが絶妙にカラんでるなあ、 と感動することなんかもありますよ。 ただここではそういう楽曲にまつわる要素のうち、 コードやメロディなどに特化して書いていこうというもくろみなのです。 歌詞とかキャラとかはもうさんざん語られてますし。 では、次はこれらの転調曲について考えたいと思います。 |