言わずと知れた、DQシリーズの序曲です。 マリオ1地上BGMと並んで、ゲーム史上最も有名な曲のひとつでしょう。 普段ゲームをしない人でも、この曲は知っているのでは。 04/3/25現在も、リメイク版DQ5のCMで流れまくっています。 実に堂々とした曲です。 ファンファーレ以外はシリーズを通して同じ序曲であり、 これぞドラクエ、と思わせる曲です。 しかし、アレンジは各シリーズごとに異なっており、 ファン(マニアともいう)にはその違いも楽しみのひとつです。 5の序曲は、1のオーケストラ版序曲の2回目のループとほぼ同じです。 スネアドラムが刻むマーチの細かなリズムは、 例えば前作の4の序曲の3連のリズムとは大きく異なり、 軽快な印象を与えます。 弦楽器と金管楽器による主旋律と対旋律の絡み合いは絶妙であり、 さらにその後ろで木管楽器がはね回る様は、 すぎやま氏のオーケストレーションの真骨頂であり醍醐味です。 主旋律を奏でる楽器はめまぐるしく変わります。 それぞれがお互いを引き立て、 そして楽曲の魅力をさらに引き出しています。 冒頭の「♪ソーソドーレーミーファーソードーーー」の部分、 (G→)C→G/B→C/Bb→F/A→C/E→F という進行ですが、 上昇していくメロディに半音で下降していくベースライン、 単純なメロディなのに、和声的にユニーク。 いきなりすぎやま的です。 続く「♪シーララーーーソ #ファ#ファラソーミーーー」では C→C/G→Cdim7→C→C/E→C/G→C という進行になっています。 もう、最初4小節から、なんというか、スゴいです。 こういうのはマネできそうでできないという感じがします。 その後も、うまく効果的にスケールから半音ずれた音を生かして 全体の楽曲が構成されています。 バックで楽曲を支えるベースラインも、 主旋律が主張するときは控えめに4分のリズムを刻み、 伸びやかに主旋律が引くときには8分のリズムで盛り立てます。 実に絶妙です。 このベースラインだけを聴いていても心地良い様に出来ています。 主旋律を聴くのが楽しいのはもちろんのこと、 ベースラインに注目するのも楽しく、 木管だけを聴いていても面白い。 各パートがそれぞれ印象的で、耳に心地よく残ります。 ゲーム音源も味のあるものです。 スーパーファミコン版の5が発売された当時(もう12年以上前にもなるな)、 ファミコンの音源との圧倒的な差に驚いたものです。 僕は、スーファミ版序曲のマーチを初めて聴いたとき、 その華やかなアレンジに打ち震えました。 タイトルをバックに流れる序曲は、 オープニングイベントが終わった後初めて流れます。 思えば、あのような演出は5だけです。 ファミコン版3はエンディングでこの曲が流れましたが、 それとはまた違った形で印象に残る演出です。 確実にゲーム音楽史に残る名曲と言えます。 そして、この曲なくしてDQはDQたり得ないとさえ言えるでしょう。 堀井雄二の言葉、鳥山明のイラスト、 そしてすぎやまこういちの音楽、 これらが揃って初めてDQは本当のDQなのです。 もしこれらのどれかが欠けてもDQはDQでしょう。 しかし、現在の大長編ドラえもんに感じる違和感のように、 「何かが」違うDQとなるはずです。 脱線しましたが、 とにかく序曲はDQの顔です。 これを聴くとワクワクする、 そんなDQファンも多いことでしょう。 このような曲に恵まれたDQは幸運だった、 そう信じて疑いません。 |