以前、呪文の比較級の話を書いた。 同種の呪文では、効力が上であることを 接頭語・接尾語をくっつけて表していた。 例えば、「ベホイミ」「マヒャド」「イオナズン」などである。 そこで、効果が強力なことを表すために 何か接頭語なり接尾語なりをくっつけるのは当然の流れだ、 と書いたわけだが、 これは、我々が普段使っている言葉でも同様に、 意味を強調するとき言葉に何らかの接頭・接尾語を添えている、 というところからの連想で、「当然」だと感じたのだった。 まっさきに思い当たるのは「ど」である。 「ど真ん中」「どえらい」「どでかい」などの単なる強調と、 「どあほ」「どけち」「どぶす」「ど田舎」などの 罵りの意味での強調だ。 これは形容詞・形容動詞・名詞につく接頭語である。 動詞につく強調の接頭語に「ぶっ」がある。 「ぶっぱなす」「ぶっとばす」「ぶったおす」 「ぶっちぎる」「ぶっころす」 ……といったところだ。 これらは、「とても」や「ものすごい」などのように、 副詞や、副詞的な形容詞ではないが、 短い言葉で強調の意味を表すとともに、語調を整えている。 これをDQの呪文風に言えば、 「アホ」が基本的な下位呪文で、 その上位の呪文は「ドアホ」なのだ。 ところで、「とても」という副詞は、 日本各地でそれはそれは多様な方言が存在する。 その中でも、名古屋弁の「でら」に注目したい。 これは副詞だが、接頭語っぽい語感と短さを持っている。 そして、なんとなくドラクエっぽいのだ。 例えば「ホイミ」につけてみると、 「デラホイミ」だ。 なんとなくしっくりくる気がする。 他にも、大阪・神戸近辺で使われる「バリ」とかもそうだ。 非常に個人的な話で恐縮だが、 僕が大学進学時に田舎(滋賀)から大阪に出てきたとき、 大阪では周りは皆「バリうまい」たら「バリうぜー」たら、 やたらバリバリ言っていたものだ。 僕はどうも「バリ」になじめず、 「めっちゃ」や「すごい」、「かなり」などを使って ここ数年乗り切ってきた。 どうも、「バリ」からはキツい感じを受けるのである。 大阪! って感じを必要以上に感じて違和感ありまくりだったのだ。 我が故郷、滋賀北部の言葉は、 なんとなく柔らかい感じなのである。 関西弁の変形なのだが、 キツい感じがしない。 僕はどうしても滋賀の湖北人であり、 大阪人にはなれなかったのだ。 そういう意味での「違和感」である。 べつに大阪が嫌いとかいうわけじゃないです。 柔らかいから滋賀が上、とかとんでもないことを言ってるのではありません。 あしからず。ま、どうでもいい話だが。 とにかく、DQの呪文と接頭語について以上のような妄想を抱いたのです。 |