予防接種法
衆議院HPより引用
法律第六十八号(昭二三・六・三〇)
◎予防接種法第一条 この法律は、伝染の虞がある疾病の発生及びまん延を予防するために、予防接種を行い、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とする。
第二条 この法律で「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されている免疫原を、人体に注射し、又は接種することをいう。
2 この法律の定めるところにより予防接種を行う疾病は、左に掲げるものとする。
3 この法律で「保護者」とは、親権を行う者又は後見人をいう。
第三条 何人も、この法律に定める予防接種を受けなければならない。
2 十六歳に満たない者及び禁治産者については、前項の規定にかかわらずその保護者において、その者に予防接種を受けさせるため必要な措置を講じなければならない。
2 前項各号に掲げる者は、同項に規定する児童、生徒その他の者に予防接種を受けさせることができる。
第六条 都道府県知事は、疾病のまん延予防上必要があると認めるときは、予防接種を受けるべき者の範囲及び期日を指定して、臨時に予防接種を行い、又は市町村長に行わせることができる。
2 厚生大臣は、必要があると認めるときは、前項の予防接種を、都道府県知事に行わせることができる。
第七条 市町村長は、予防接種を受ける定期にある者の予防接種を受ける期日を指定しなければならない。
第八条 市町村長は、前条の規定により指定した期日に予防接種を受けないか、又はこれを受けた証拠の不明な者があるときは、さらに期日を指定して、又は直ちに、予防接種を行わなければならない。
2 前項の規定により定期外に受けた予防接種は、これを定期の予防接種とみなす。
第九条 疾病その他の事故のため、指定期日に予防接種を受けることのできなかつた者又はその保護者は、その指定期日後七日以内にその事由を添え、市町村長に猶予を申請することができる。
2 前項の規定により予防接種を猶予したときは、市町村長は、その証明書を交付しなければならない。
3 第一項の規定により予防接種を猶予した場合において、その事故消滅後受けた予防接種は、指定期日から省令の定める期間内に受けたものに限り、これを定期の予防接種とみなす。
第十条 痘そうの予防接種(以下種痘という。)は、左に掲げる定期においてこれを行う。但し、痘そうにかかつている者又はかかつたことのある者については、保健所長の証明書により、これを免除することができる。
2 前項第二号又は第三号の定期前二年以内に善感した種痘は、それぞれこれを同項第二号又は第三号の定期の種痘とみなす。
3 市町村長は、定期の種痘を行つたときは、期日を指定して種痘の検診を行わなければならない。
4 定期の種痘を受けた者又はその保護者は、前項の規定による検診又は第六項の規定による医師の検診を受け、又は受けさせなければならない。
5 前条第一項及び第二項の規定は、第四項の検診に、これを準用する。
6 医師は、定期の種痘を受けた者を検診したときは、種痘証を交付しなければならない。
7 前項の場合において、種痘証の交付を受けた者又はその保護者若しくは第四条第一項各号に掲げる者は十日以内に市町村長にその旨を届け出なければならない。
8 第四項又は第六項の検診の結果、免疫の効果が得られなかつたと判定された場合には、その後直ちにさらに一回種痘を受けなければならない。
第十一条 ジフテリアの予防接種は、左に掲げる定期においてこれを行う。
二 前号の定期の予防接種後満六十歳に至るまでの間において毎年
第十三条 百日せきの予防接種は、左に掲げる定期においてこれを行う。
但し、百日せきにかかつている者又はかかつたことのある者については、保健所長の証明書により、これを免除することができる。
二 前号の定期の予防接種後満三十歳に至るまでの間において毎年
2 この法律の定めるところにより、結核の予防接種を行うときは、あらかじめツベルクリン反応検査を行わなければならない。
第十五条 この法律で定めるものの外、予防接種の実施方法に関して必要な事項は、省令でこれを定める。
第十六条 市町村長は、第十条から第十四条までの規定により定期の予防接種を受けた者に対して、省令の定めるところにより、定期の予防接種済証を交付しなければならない。
2 都道府県知事又は市町村長は、第六条の規定により臨時の予防接種を受けた者に対して、省令の定めるところにより、臨時の予防接種済証を交付しなければならない。
3 種痘については、前二項の予防接種済証は、種痘の検診を受けない者に対しては、これを交付してはならない。
第十七条 当該吏員の請求を受けた者は、自己又は十六歳に満たない者の予防接種済証を提示しなければならない。但し、省令で定める者については、この限りでない。
第二十条 この法律の定めるところにより、予防接種を行うため必要な経費は、市町村(第六号の規定による予防接種については、都道府県又は市町村)の支弁とする。
第二十一条 都道府県は、政令の定めるところにより、前条の規定により市町村の支弁する額の三分の二を負担しなければならない。
第二十二条 国庫は、政令の定めるところにより、第二十条の規定により都道府県の支弁する額及び前条の規定により都道府県の負担する額の二分の一を負担する。
第二十四条 東京都の区の存する区域にあつては、第二十条から第二十二条までの規定にかかわらず、予防接種を行うため必要な経費は、東京都の支弁とし、国庫は、その額の二分の一を負担する。
2 前項の場合において実費の徴収については、前条の規定を準用する。この場合において同条中「市町村長」とあるのは、これを「東京都知事」と読み替えるものとする。
第二十六条 左の各号の一に該当する者は、これを三千円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項若しくは第二項又は第四条第一項の規定に違反した者
第二十七条 第十条第六項又は第七項の規定に違反した者は、これを千円以下の罰金に処する。
第二十八条 この法律は、昭和二十三年七月一日から、これを施行する。但し、第十三条及び第十四条の規定施行の期日は、昭和二十四年六月三十日までの間において、各規定につき政令でこれを定める。
第二十九条 この法律施行の際、生後三十六月以上の者で、陽チフス又はパラチフスの予防接種を受けたことのある者は、第十二条第一項第一号の予防接種を受けた者とみなす。
2 この法律施行の際、生後四十八月から六十歳に至るまでの者で、腸チフス又はパラチフスの予防接種を受けたことのない者は、省令の定めるところにより、腸チフス又はパラチフスの予防接種を受けなければならない。
3 前項の予防接種を受けた者については第一項の規定を準用する。
第三十条 第十三条施行の際、生後六月から生後二十四月に至るまでの者は、省令の定めるところにより、百日せきの予防接種を受けなければならない。
2 前項の予防接種を受けた者は、第十三条第一号の予防接種を受けた者とみなす。
第三十一条 第十四条施行の際生後六月以上の者で結核の予防接種を受けたことのある者は、同条第一項第一号の予防接種を受けた者とみなす。
2 第十四条施行の際、生後六月から三十歳に至る迄の者で結核の予防接種を受けたことのない者は、省令の定めるところにより、結核の予防接種を受けなければならない。
第三十二条 種痘法(明治四十二年法律第三十五号)は、これを廃止する。但し、この法律施行前になした違反行為の処罰については、なお従前の例による。
2 この法律施行前種痘法第一条の規定により行つた第一期種痘は、これを第十条第一項第一号の規定により行つたものとみなす。
3 この法律施行の際、小学校に入学している者で、種痘法第一条の規定による第二期種痘を受けていない者に対して、市町村長は、期日を指定して種痘を行わなければならない。
第三十三条 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。
第二十一条第二号中「市町村ニ於テ施行スル清潔方法、消毒方法及種痘ニ要スル諸費」を「市町村ニ於テ施行スル清潔方法及消毒方法ニ要スル諸費」に改める。