外征部隊及び居留民帰還輪送等に関する実施要領
昭和20年9月7日 閣議了解
昭和二十年九月六日閣議決定に基く外征部隊及居留民の帰還輸送等に就ては、現地の悲状に鑑み、内地民生上の必要を犠牲にするも、優先的に処置すると共に他の一切の方途を講じ、可及的速かに之が完遂を期するものとす。
要領
第一、我方に於て独立輸送する立前の下に左の措置を講ず。
一、外征部隊及居留民帰還輸送の為差当り現有稼動船腹量の大部分を之に充当することとし、之が割当船腹量は速かに別に之を定む。
二、我方に於て全稼動船腹量の運航計画案(帰還輸送を含む。)を策定し、連合軍の許可を受くること。
三、現在未稼働船腹の修理及建造中の船舶を速に竣工すべき具体計画を樹立し連合軍に交渉其の許可を受くること、尚新造に付ては極力許可取付方に努力するものとす。
第二、連合軍に対する協力要請
一、前各号に依るも、帰還輸送に長年月を要するべき事態を明確にし、連合軍に於て輸送協力の必要あることを絶えず認識せしむることに凡ゆる努力を払うこと。
二、現地残留民及内地帰還輸送完遂迄の外征部隊及居留民の現地保護特に越冬期に於ける特別の保護に付連合軍に要請すること。
第三、外征部隊及居留民の帰還輸送に関する基本計画及根本方針の策定及実施に関する連絡調整を図る為内閣に委員会を置く。
備考
一、民生物資輸送上の調整等に付ては別途内閣に委員会を設け、策定するものとす。
二、内地到着後の外征部隊及居留民の保護輸送等に付ては関係者之に当るものとす。