昭和20年度物資動員計画第2四半期実施計画並昭和20年度第2四半期物動計画運営要領
昭和20年7月6日 閣議決定
昭和二十年度物資動員計画第二、四半期実施計画
(表省略)
昭和二十年度第二・四半期物動計画運営要領
一、方針
本土戦場化ニ伴フ緊急諸施策ヲ百難ヲ克服シテ第二、四半期末迄ニ完成スルヲ目標トス
二、今期物動計画運営上施策ノ重点概ネ左ノ如シ
(一)石炭(亜炭ヲ含ム)ノ増産ト増送トニ寄与スル方策ハ優先強行シテ戦力増強ノ根基ヲ培養ス
(二)交通防衛特ニ鉄道輸送力ノ強靱化ヲ全巾支援ス
(三)塩増産ノ必成ヲ期ス
(四)戦争遂行上必要ナル食糧ノ最低量確保ノ為ノ施策ハ戦力資材整備ニ優先セシム
(五)戦局ニ伴フ緊急要請タル航空機特攻兵器液体燃料、火薬爆薬、電波兵器、地上兵器ノ生産目標ヲ確保ス
(六)在庫 退蔵物資等ノ戦力化ヲ促進ス
(七)防衛生産態勢ノ整備ヲ推進ス
諸施策遂行ニ方リテハ戦局ノ要請ト地域ノ特性トニ即応シ食糧確保ト直接戦力造出トノ節調保持ニ関シ慎重考慮スルモノトス
三、生産需給ノ指導輸送処理等ニ関シ今期計画遂行上特ニ着意ヲ要スル事項概ネ左ノ如シ
(一)石炭ノ配給調整ハ産業ノ比重決定ノ主要ナル要素ナルヲ以テ特ニ慎重ヲ期シ従来ノ惰性ニ捉ハレ大口消費工場ヲ偏重スルコトナク真ニ戦局ノ要請スル生産ヲ確保スル如ク処理スルコト
本州西部並四国ニ於ル製□用石炭ハ全部門ニ優先確保セシムルコト
(二)九州炭並北海道炭ノ本土向輸送減少ニ対処シテ自給燃料タル亜炭ノ増産ニ関シテハ責任生産態勢ヲ確立スルト共ニ強力ナル援助ヲ行フコト
(三)液体燃料ノ生産ハ航空揮発油ノ得□増強ニ徹底スルコト 之ガ為天然石油、人造石油ノ中間製品ノ輸送処理ヲ特ニ迅速ナラシムルモノトス、又製品配給輸送計画ヲ確立シ製品ノ偏在ニ基ク配給ノ不円滑ヲ極力是正スルコト
尚酒精原料用糧穀ノ最低量ハABC協力之ヲ確保スルコト
(四)火薬類増産ハ硝酸、硫安、グリセリン、塩素酸塩類ノ確保ニ重点ヲ指向スルモノトシベンゾール、トルカールノ補填ヲ目的トスル、八幡製鉄所ノ骸炭炉稼働強化ヲ万難ヲ排シ推進スルコト 広畑ニ関シテモ自給燃料ニヨリ遊休機帆船等ヲ活用シ八幡ニ準シ措置スルコト
(五)鉄鋼類ハ原則トシテ在庫品等ヲ以テ当面ノ需要ヲ充足スルニ努メ新規生産品種ハ弾丸鋼油性管線材其他戦局ニ鑑ミ特ニ緊要ナル特定工場ノ限定生産品種並ニ需給ノ均衡ヲ失シアル二次製品等ノ生産ニ重点ヲ指向スルコトトシ単ナル重量的目標達成ハ第二義トシ緊要品種ノ生産ヲ優先確保セシムル如ク指導スルコト
(六)大陸トノ連絡輸送力ハ戦局ノ進展ニ伴ヒ愈々低下シ、今期ニ於テ既ニ軍需物資 特殊物資ノ僅少量ヲ取得シ得ルニ止リ下期以降ハ大陸トノ交通遮断セラルルコトアルヲ覚悟シ大陸資源依存ヲ完全ニ脱却スル態勢ヲ確立スルコト
(七)国内海陸輸送ニ関シテモ計画的一貫輸送ノ実施ハ逐次困難ニ陥ルコトアルヲ考慮シ重要物資ノ繰上増総ヲ図ルコト之カ為貨車、艀等ノ回転率向上ニ関シテハ総力ヲ挙ケテ輸送力極限発揮ニ協力スルモノトス
七月ニ於ル九州炭及北海道炭ノ本土向増送計画ハ之ヲ完遂スル如ク策応スルモノトス
下期ニ於テハ空襲ノ苛烈化ニ伴ヒ海陸輸送ハ局地輸送力化スル虞アルヲ以テ地域毎ノ独立セル防衛生産態勢ノ迅速ナル確立ヲ促進スルモノトス
四、物動編成並之カ実施ノ権限ヲ地方ニ移譲シ非常事態生起ノ場合ニ処スル独立運営態勢ヲ整備セリト雖モ通信連絡ノ可能ナル限リ中央地方ノ連繋ヲ緊密ナラシムルニ努メ中央ノ意図ノ地方滲透ヲ計ルモノトス