国宝、重要美術品ノ防空施設整備要綱
昭和18年12月14日 閣議決定
第一、方針
国宝、重要美術品中特ニ貴重ナル御歴代ノ宸翰、勅願ノ建造物等ヲ始メ我ガ光輝アル国史ノ徴証ナル諸物件ニ対シ速カニ防空施設ヲ実施シ、或ハ分散疎開セシメテ空襲ニヨル被害ヲ最小限度ニ防止スルコトハ啻ニ我ガ尊厳ナル国体ヲ擁護スルタメノミナラズ大東亜ブノ文化建設上必須ノ要務タルニ依リ国宝、重要美術品中其ノ危険地域ニ所在シ特ニ貴重ト認ムルモノニ付緊急防護措置ヲ講ゼントス
第二、措置
一、建造物ニ対シテハ偽装、貯水池、防火防弾壁ノ築造等防護設備ヲ施スコト
二、宝物ニ対シテハ安全ナル地帯ニ分散疎開セシメ収蔵庫等ニ厳重保管スルコト
三、右諸設備ト共ニ万一ノ被害ニ備フル為各物件ニ関シ記録、写真及図面ヲ作製スルコト
備考
本要綱中危険地域トハ防空特別地域及京都市、奈良市並ニ其付近ヲ指称ス