満洲国緊急農地造成計画ニ対スル協力援助ニ関スル件
昭和18年11月22日 閣議決定
第一 方 針
刻下ノ緊迫セル食糧ノ需給情勢ニ鑑ミ満洲国ニ於ケル既定食糧増産計画ノ強力ナル遂行ニ期待スルハ勿論更ニ此ノ際同国ノ緊急農地造成計画(以下計画ト称ス)ノ達成ニ積極的ニ協力シ確実ニシテ効率的ナル主要食糧ノ増産ヲ図リ以テ日満ヲ通ズル主要食糧ノ自給態勢強化ニ資センコトヲ期ス
第二 要 領
一、計画ニ包含サルベキ農地ノ造成面積ハ第二松花江地区田五〇、〇〇〇陌及東遼河地区田二〇、〇〇〇陌竝ニ既着手計画中繰上実施スルヲ適当トスル地区田三、九〇〇九陌畑七〇、八六二陌総計一七九、八八一陌トス
計画ハ昭和十九年度ヨリ事業ニ着手昭和二十年末迄ニ完成セシムルヲ目途トス
二、開田開畑後ノ生産物ハ生産者ノ自家消費ヲ除キ全部ヲ対日供給量ニ追加スルモノトス
三、所要資材及機器中日本側ヨリ供給スベキモノハ左ノ通トス
イ、農地造成改良用資材及機器ニ付テハ昭和十八年度分ハ別表第一ニ計上セラレタル数量ニ概定ス
昭和十九年度以降ノ分ニ不テハ別表第一ニ計上セラレタル数量ヲ斟酌シ別途検討ノ上之ヲ決定スルモノトス
ロ、別表第二ニ掲ゲラレタル開墾用資材及機器ニ付テハ機械開墾又ハ畜力開墾ノ可否ヲ検討シタル上毎年度物動計画策定ノ際特ニ考慮スルモノトス
ハ、営農用資材ハ一般営農用資材ニ含メ毎年度物動計画策定ノ際考慮スルモノトス
四、農地ノ造成改良費ニ付テハ日本側ヨリモ約五割程度迄ノ補助ヲ為スコトトスルモ其ノ負担率竝ニ援助方法ハ現地側ヨリ詳細ナル資料ノ提出ヲ俟ツテ関係庁ニ於テ別途協議決定スルモノトス
五、日本側ヨリノ技術者ノ供出ハ極力現地側ノ要望ニ副フコトトシ派遣方法ニ付テハ関係庁ニ於テ考究スルモノトス
六、農地ノ造成改良ニ必要ナル労力ハ原則トシテ現地側ニ於テ調達スルモノトス
第三 措 置
一、所要機器中揚水機(口径一、五〇〇粍)及原動力(六〇〇馬力)各一二基ハ明年末迄ニ完成セシムル要アルヲ以テ其ノ素材(別表第一ノ昭和十八年度ニ計上セルモノ)ハ本年度物動員計画ヨリ追加配当シ明年早々ヨリ製作ヲ開始シ得ル様特別ノ措置ヲ講ズルモノトス
二、所要機器中一般工事用竝ニ貯水池工事用機材ニ付テハ可及的現有機器ヲ動員シ得ル様措置スルモノトス
(別表) 省略