国政処理ノ戦時態勢化ニ関スル件
昭和16年7月25日 閣議決定
国際情勢ノ緊迫化ニ対応シ速ニ国内諸般ノ態勢ヲ刷新強化センガ為ニハ先ヅ国政処理ニ関スル政府機構ヲ戦時態勢化シ戦時国政ノ運用ニ高度ノ一体性、敏速性並ニ弾力性ヲ発揮セシムルコト緊要ナル仍テ左ノ措置ヲ講ズ
第一 要領
一、 戦時業務ノ体系ヲ確立シ部内組織ノ戦時態勢化ヲ図ルト共ニ之ニ伴ヒ必要ナル行政機構ノ改革ヲ断行スルコト
二、 戦争目的完遂上不急事務ノ停止若ハ縮小、事務処理手続ノ単純簡易化其ノ他部内事務各般ニ亘リ其ノ能率化、敏速化ヲ徹底的ニ断行スルコト
三、 挺身垂範ノ官吏精神ヲ振作シ協力精神ノ作興、規律ノ振粛、能率ノ増強ニ努メ以テ官庁戦時勤務体制ヲ確立スルコト
第二 実施方策
一、 高度ノ重点主義及効率主義ニ則リ戦時行政ヲ再編成スル為不急不要事務ノ徹底的整理又ハ縮小ヲ断行スルコト
二、 六月三日ノ閣議決定ニ基キ速ニ認可、許可事項並ニ各庁間ノ協議事項ノ整理ヲ行フト共ニ更ニ必要ニ応ジ法令ノ一時停止又ハ改廃ヲ行フ等事務処理手続各般ニ亘リ其ノ簡捷化ヲ断行スルコト
三、 各庁及各部局課ニ分属シ事務ノ敏活、統一ヲ欠クモノハ此ノ際之ガ整理ヲ行フト共ニ必要ニ応ジ事務ノ移管統合ヲ断行スルコト
四、 官庁事務ノ停止、縮小又ハ簡易化ニ伴ヒ極力局部課ノ廃合整理ヲ断行スルコト
五、 戦時緊急用務処理ノ為新ニ増員ヲ必要トスルトキハ以上各項ノ措置ニ依リ生ジタル余剰人員ヲ以テ之ニ充ツルコト
六、 官庁戦時勤務態勢ノ確立ニ付テハ内閣並ニ各省ニ於テ速ニ適宜ノ措置ヲ講ズルコト
備考
一、 中央各官庁ハ遅クモ八月十日迄ニ之ガ具体案ヲ作成スルコト
二、 地方官庁ニ於テモ中央ノ改革ニ伴ヒ之ニ即応スルゴトク措置セシムルコト
各課別行政事務運用状況
(表省略)
備考
一 調査ハ昭和十六年七月二十五日現在トスルコト、但シ其ノ八月五日迄ニ分課規程ノ改正ヲ行ヒタル省ニアリテハ八月五日現在トスルコト
二 分課規程欄ニハ其ノ課ノ所掌事項ヲ列記シ且昭和十五年以降ニ改正シタルモノアルトキハ其ノ内容経過ヲ備考欄ニ簡単ニ記入スルコト
三 予算ニ於テハ人件費ヲ除キ本年度ニ於ケル事務費並ニ主要事項別事業費ヲ記入スルモノトシ区分明確ナラザルモノニ付テハ推定ニ依ルコト
四 法令欄ニハ各課ニ於テ其ノ実施ヲ管掌シツヽアルモノノ外特ニ関係深キ諸法令ヲモ列記スルコト(但シ後者ニ付テハ△印ヲ附スルコト)
五 委員会欄ニハ各課ノ直接運用シツツアル委員会審議会調査会等ノ外特別ナル関連ニ基キ課職員ノ参加協力シツヽアル委員会等ニ付テモ列記スルコト(但シ後者ニ付テハ△印ヲ附スルコト)
六 所属官庁欄ニハ所属ノ試験所研究所練習所等例ヘバ内務省計画局防空課ニテハ防空研究所商工省鉱山局総務課ニテハ地質調査所等ノ如キヲ記入スルコト
七 関係団体欄ニハ其ノ課ノ監督ニ属シ且事務上ノ関係密接ナル団体例ヘバ厚生省生活局保護課ニテハ中央社会事業協会同住宅課ニテハ住宅営団等ノ如キヲ記入スルコト