官庁事務再編成ニ関スル件
昭和15年9月10日 閣議決定
昭和十五年七月二十六日閣議ニ於テ決定セラレタル基本国策要綱ノ趣旨ニ則リ、国防国家体制ニ即応スル如ク官庁ノ機構及事務ヲ再編成シ、現下緊要ノ戦時対策遂行ノ円滑ヲ期スル為ニ、左記要綱ニ依リ、各庁ニ於テ新ナル観点ニ立チ広ク事務ノ緩急要否、執務方法等ヲ再検討シ、時局ニ鑑ミ比較的不要不急ト認メラルル事務ヲ停止又ハ縮小スル等官庁事務ノ整理統合ヲ行ヒ、因ツテ生ジタル余力ハ之ヲ新ナル緊急重要事務ノ為確保スルコトトス
官庁事務再編成実施要綱
一、左ノ標準ニ依リ比較的不要不急ト認メラルル官庁事務ヲ停止若ハ縮小シ又ハ定員(官吏ノ外、雇、嘱託、待遇官吏、傭人等ヲ含ム以下同ジ)ヲ減少スルコト
(イ)停止又ハ縮小ニ因リ国防国家体制確立上及ボス影響甚大ナラズト認メラルル事務ハ停止又ハ縮小スルコト
(ロ)時局トノ関係稀薄ナル調査研究ハ一時停止スルコト
(ハ)国際関係其ノ他諸般ノ情勢ノ変化ニ伴ヒ重要性ノ低下セル事務ハ停止スルコト
(ニ)各局部課所管事項中重複セルモノハ整理スルコト
(ホ)各局部課ニ分属セル為事務ノ敏活及統一ヲ欠ケルモノハ可及的統合スルコト
(ヘ)事務分量比較的僅少ニシテ一局部課ヲ設クルノ要ナキモノハ之ヲ他ノ局部課ニ合併シ定員ヲ減少スルコト
二、官庁事務ノ停止又ハ縮小ニ伴ヒ極力局部課ノ整理及定員ノ減少二力ムルコト
三、前号ニ依ル定員減少ノ外、尚各庁一般ニ事務ノ簡単化又ハ合理化ニ依リ、定員ノ減少ニ力メ、前号ニ依ル定員減少ト合シ、定員減少ノ程度ヲ各庁毎ニ概ネ左ノ標準ニ迄達セシムルコト
(イ)中央官庁ニ在リテハ昭和十五年度予算定員ヲ標準トシ其ノ二割減
(ロ)地方官庁ニ在リテハ昭和十五年度予算定員ヲ標準トシ其ノ一割減
(ハ)外地官庁ハ(イ)及(ロ)ニ準ズ
四、官庁事務ノ停止又ハ縮小ノ期限ハ事変中トス但シ情勢ノ変化ニ即応シ停止又ハ縮小ノ範囲ヲ拡大シ又ハ復旧スルコトアルベキコト
五、本件ハ左ノ各号ノ順序ニ従ヒ之ヲ実施スルコト
(イ)各庁ハ別紙官庁事務再編成案ヲ参考トシ且之ガ趣旨ニ則リ具体案ヲ作成シ、九月三十日迄ニ之ヲ内閣ニ提出スルコト
(ロ)前号ノ具体案ヲ基礎トシテ内閣、法制局、企画院及大蔵省協議ノ上閣議提出案ヲ作成スルコト
(ハ)閣議提出案ノ決定ヲ見タルトキハ其ノ都度閣議ノ決定ヲ経遂次実行ニ移スコト
備考
(一)各省間ニ渉ル行政機構ノ改正ニ付テハ別途之ヲ考究スルコトトシ、本件ニ於テハ之ニ触レザルヲ例トスルコト
(二)定員ノ減少ニ因リ生ジタル過剰人員ハ成ルベク之ヲ新ナル緊急重要事務ニ振向クルコト
(三)官制定員ニ付テハ応召者及被徴用者ハ之ヲ定員外トスルノ制度ヲ考慮スルコト