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国鉄があった時代
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国立国会図書館から引用

昭和15年度資金統制計画綱領ニ関スル件

昭和15年7月18日 閣議決定

  第一章 総則
第一 本綱領ハ「昭和十五年度以降国家総動員計画設定方針」(昭和十四年六月十六日閣議決定)ニ基キ昭和十五年度資金統制ノ基本方針及根本方策ヲ設定シ、昭和十五年度ノ総合的資金需給、公債ノ発行及消化、事業資金ノ所要及調達、満洲(関東州ヲ含ム-以下同ジ)及支那ニ対スル資金供給並ニ資金蓄積等ニ関スル計画ヲ概定シ、之ガ実施上必要ナル措置ノ大綱ヲ定ムルモノトス
第二 昭和十五年度本計画ノ基本方針ハ左記ニ依ルモノトス
 イ 物資動員計画等ニ照応セシメ物価ノ騰勢ヲ阻止スル為前年度ニ比シ相当ノ緊縮ヲ為スコト
 ロ 公債所要資金、事業所要資金及対満支供給資金ハ専ラ蓄積資金ヲ以テ賄フノミナラズ日本銀行ノ手持国債及貸出ノ減少ヲ図リ、以テ兌換券ノ流通高ヲ現在以下ニ止ムルヲ目途トスルコト
 ハ 公債所要資金ト事業所要資金トノ間並ニ日満支所要資金ノ間ニ適正ナル均衡ヲ保持スル如ク留意スルコト
 ニ 資金ノ蓄積ニ関シテハ資金需要充足ノ点ノミナラズ国民生活ノ戦時水準確保ニ留意シツツ更ニ有効適切ナル措置ヲ講ズルコト
 ホ 計画ノ実現ヲ確保スル為資金統制ニ於ケル官民協力体制ノ整備強化ヲ促進スルコト
第三 昭和十五年度資金統制ハ本綱領ニ準拠シテ之ヲ実施シ実施ニ当リテハ関係庁ノ協議ニ依リ資金蓄積状況、金融情勢等ニ鑑ミ適当ナル期間別実施計画ヲ設定スルモノトス
第四 各実施担当官庁ハ本計画ノ実績ヲ適宜企画院ニ報告スルモノトス
  第二章 資金需給総合計画
第五 昭和十五年度資金需給総合計画ヲ左ノ如ク画定スルモノトス
       記           (単位 百万円)
 一、資金需要
  公債所要資金            五、六六〇
   国債               五、五一〇
   地方債                一五〇
  事業所要資金            五、四〇三
   株式払込金            二、〇〇〇
   会社債増加額             四四六
   借入増加額            二、八三七
   調整準備金其他            一二〇
  対満供給資金            一、〇〇〇
  対支供給資金              三三〇
     計             一二、四一三
 二、資金供給(資金蓄積)      一二、四一三  (第六章参照)

  第三章 公債計画
第六 昭和十五年度国債消化額ヲ五十五億一千万円ト画定シ日本銀行手持国債ノ減少額三億円以上ヲ之ニ含マシメ、国債発行額ヲ五十二億円以下ニ止ムルコトヲ目途トスルモノトス
第七 国債発行額ヲ五十二億円以下ニ止ムル為現在ノ予算ニ於ル国債発行予定額六十億二千七百万円トノ間ニ生ズル差額ハ歳出ノ節減及留保、租税及其他一般歳入ノ自然増加等ニ依リ之ヲ処理スルモノトス
第八 別ニ決定スベキ資金蓄積計画数額ニ基キ昭和十五年度国債消化額ヲ左ノ如ク画定スルモノトス
       記           (単位 百万円)
一、諸金融機関          二、七四四
 (一) 銀行           二、二五〇
  特別銀行             二五〇
  普通銀行           一、四五〇
  貯蓄銀行             五五〇
 (二) 信託会社            三〇
 (三) 無尽会社             四
 (四) 保険会社           二六〇
  生命保険             二四〇
  損害保険              二〇
 (五) 産業組合関係         二〇〇
二、官庁             一、九三六
 (一) 預金部          一、八〇〇
 (二) 簡易生命保険         一一八
 (三) 郵便年金             六
 (四) 共済組合             二
 (五) 地方公共団体          一〇
三、其他               七〇〇
  各種事業会社           一〇〇
  其他一般公衆           六〇〇
四、外地               一三〇
  朝鮮               一二五
  台湾                 五
  樺太                ――
  南洋                ――
  総計              五、五一〇
 備考 実際ニ金融機関ヲ指導スル場合ニハ本計画額以上ノ目標ヲ定メシムルコトアルモノトス
第九 右ノ国債消化計画額ハ必ズ達成スベキ最少限度ノ金額ニシテ之ガ成否ハ物価政策ノ遂行ニ重大ナル影響ヲ有スルモノナルニ鑑ミ実施担当ノ各部局ハ右計画額以上ノ実績ヲ挙グル為□□ノ具体的措置ヲ講ズルモノトス、特ニ
 イ 各種金融団体等ニ国債消化目標額ヲ樹立セシメ之ヲ更ニ地域別等ニ細分化シ目標額達成ノ為官民協力ニ基ク団体的組織的活動ヲ促シ一層強力ナル消化方策ヲ講ズルコト
 ロ 各種事業会社ヲシテ努メテ資金使用ヲ能率的ナラシメ依テ生ジタル余裕資金ヲ以テ国債ヲ保有セシムル如ク措置スルコト
 ハ 個人ノ国債保有額ヲ更ニ増加セシムル為郵便局売出国債ノ目標額ヲ六億円ト定メ之ヲ更ニ各地域別ニ細分化シ、目標額達成ノ為官民協力ニ基ク国民的運動ヲ展開スルコト
第十 昭和十五年度地方債増加額ハ最高限一億五千万円ノ範囲内ニ止ムルコトトシ、之ガ為関係当局ハ起債事業ニ対シ一層厳重ナル検討ヲ加フルト共ニ之ガ財源ハ出来得ル限リ起債以外ノ収入ニ依ラシムル如ク措置スルモノトス
  第四章 事業資金計画
第十一 昭和十五年度産業資金計画ヲ左ノ如ク画定スルモノトス
       記          (単位 百万円)
 資金所要
  イ 直接事業資金         四、七九〇
     設備資金          三、五七六
     運転資金          一、二一四
     新設分             七一四
     既設増加分           三〇〇
  ロ 間接事業資金         二、二四五
     借入金返済         一、二九一
     社債返還            二三四
     関係会社投資          七〇〇
     合計            七、〇三五
 資金調達
  イ 株式払込           二、〇〇〇
  ロ 社債発行             七〇〇
  ハ 金融機関ヨリノ借入      二、二三六
  ニ 其ノ他ヨリノ借入         二九九
  ホ 手持資金、留保益金等自己資金 一、八〇〇
    合計             七、〇三五
第十二 産業資金ノ計画ハ前年度ノ過剰投資ノ実情ニ鑑ミ昭和十五年度ニハ前記ノ範囲ニ緊縮スルモノトス
第十三 産業資金ノ所要ハ原則トシテ緊要ナル軍需産業及生産力拡充計画産業ニ付キ之ヲ認ムルコトトシ、其他ノ産業ニ付テハ特別ノ例外以外ハ之ヲ認メザルモノトス
第十四 産業所要資金ノ調達ハ可能ナル限リ多額ヲ手持資金及留保益金等ノ自己資金ニ依ルコトトシ、自己金融ノ原則ヲ一層徹底セシムルモノトス
第十五 株式社債及借入金ニ依ル調達ハ原則トシテ緊要ナル軍需産業及生産力拡充計画産業ニ付キ之ヲ認ムルコトトシ、其他ノ産業ニ付テハ特別ノ例外以外ハ之ヲ認メザルモノトス
第十六 産業資金計画ニ於ル緊縮方針ノ遂行ニ依リ各業別及各企業別重点主義ヲ強行シ、非能率経営及企業ノ整理統合ヲ断行スルト共ニ之ニ依リ生ズル影響ニ付テハ別途対策ヲ講ズルモノトス
第十七 企業ノ経理監査ノ為必要ナル方策ヲ速ニ確立シ之ガ運用ヲ担当スベキ監査機構ヲ設クルモノトス
第十八 金融機関等ノ資金運用ニ対スル統制ヲ更ニ徹底強化シ運転費用ニ付テモ一層厳密ナル統制方策ヲ講ズルモノトス
第十九 国債消化計画、社債計画、貸出計画等ノ遂行確保ノ為金融機関等ノ資金運用ヲ一層計画的ナラシムルニ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス
  第五章 対満支供給資金計画
第二十 昭和十五年度対満支供給資金ヲ左ノ如ク画定スルモノトス
       記            (単位百万円)
 対満供給資金           一、〇〇〇
  公社債               七〇〇
  株式払込金其他           三〇〇
 対支供給資金             三五〇
  社債                二五〇
  株式払込金其他           一〇〇
  合計              一、三五〇
第二十一 対満供給資金ハ別ニ定ムル日満国際収支計画(対満投資ヲ除ク)ニ基ク日本側受取超過分ヲ対満投資ノ形ニ於テ補填スルモノニシテ別ニ定ムル対満輸出入計画ノ数量及金額ノ統制ニ関シ特別ノ措置ヲ講ジ日満国際収支計画ヲ確保スルモノトス
第二十二 満洲国ニ於テモ亦資金需給計画ヲ樹立シ国債ノ発行及産業資金ノ供給ヲ原則トシテ国内ニ於ル蓄積資金及本邦対満投資ノ合計額ノ範囲内ニ止メ且物資需給供給状況ト照応セシメ以テ資金需給ノ均衡ヲ保持スル様要望スルモノトス
第二十三 対支供給資金ハ別ニ定ムル日支国際収支計画トノ関連ニ於テ之ヲ画定セルモノニシテ一般産業ハ勿論北支開発会社及中支振興会社関係事業ニ対シテモ投資対象ヲ一層厳選シ重点ニ集中セシムル如ク措置スルモノトス

  第六章 資金蓄積計画
第二十四 昭和十五年度資金蓄積額ヲ百二十四億円ト設定スルモノトス
第二十五 右蓄積目標額ニ到達スル為各機関別ノ蓄積目標額ヲ左ノ如ク画定スルモノトス
       記            (単位 百万円)
   銀行預金            五、九〇〇
   特別銀行              三〇〇
   普通銀行            四、七〇〇
   貯蓄銀行              九〇〇
  金銀信託               三二五
  銀行及信託積立金其他          六〇
  無尽会社資金             一二五
  保険会社資金             六五〇
   生命保険              六〇〇
   損害保険               五〇
  産業組合関係資金           八〇〇
  郵便貯金(振替貯金ヲ含ム)    一、七〇五
  預金部資金
 (郵便貯金及振替貯金並ニ簡易保険及郵便年金ノ余裕金ヲ除ク)
                     三九〇
  (内 支那事変貯蓄債券及報国債券   二九六)
  簡易保険積立金            二五〇
  郵便年金積立金             四〇
   諸金融機関 計        一〇、二四五
  私人有価証券投資         一、七七六
  外地                 三九二
   朝鮮                三二二
   台湾                 六七
   樺太                  二
   南洋                 ――
  総計              一二、四一三
  備考 実際ニ金融機関ヲ指導スル場合ニハ本計画額以上ノ目標ヲ定メシムルコトアルモノトス
第二六 右ノ資金蓄積計画ハ必ズ達成スベキ最少限度ノ数額ニシテ之ガ成否ハ公債ノ消化生産力拡充資金ノ調達及満洲及支那ヘノ資金供給並ニ一般購買力ノ吸収ニ至大ノ影響ヲ及シ延テハ現下ノ財政金融政策ノ円滑ナル遂行ヲ左右スルモノナルニ鑑ミ、実施担当ノ各部局ハ右計画額以上ノ実績ヲ挙グル為諸種ノ具体的措置ヲ講ズルモノトス、特ニ
 イ 各種金融団体等ニ蓄積目標額ヲ樹立セシメ之ヲ更ニ地域別等ニ細分化シ、目標額達成ノ為官民協力ニ基ク団体的組織的活動ヲ促スコト
 ロ 貯蓄組合ヲ一層整備拡充シ都市殷賑産業及農山漁村ノ好況部面等特ニ購買力吸収ノ必要アリト認メラルル方面ニ対シ重点ヲ置クト共ニ一般ニ戦時国民生活ノ合理的切下ニ照応スベキ購買力吸収方策ヲ講ズルコト

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