財産運用の確率学・番外版
補足
実は、この手の株への投資も 結構 リスクがあります。
本文中で「4万円の入った金庫を3万円で買うようなもの」と書いたのですが、最大のリスクは その現金が 「何時になったら株主に還元されるか」という点です。
株を買っただけでは、何にもなりません。
経営陣が
有り余る現金に物を言わせて他企業を買収して回ったり
多角化を進めたりすると、株主の見込み利益はどんどん食いつぶされます。
株主側としては 自社株の償却や配当の増額で
手持ち資金を還元して欲しいのですが、経営者のプライドに反するでしょう。
また、この手の株は どんなに値上がりしても
質の良い成長株のような収益はあげられないでしょう。
超有名な投資家が述べているように、この手の株は「せいぜい5割引のバーゲン品」でしかありません。
限られた収益しか望めない株であれば、利益が実現するまでの期間が重要です。
利益実現が遅くなれば遅くなるほど、現金価値が目減りする可能性は増していきます。
おまけに、300円の株が
600円になったとしても、それが10年後のことでは
リスクに見合ったリターンとはいえないでしょう。
アメリカあたりだと 専業の乗っ取り屋がいて
利益の実現は早いようですが、日本では随分待たされることが多いようです。
ま、今では日本でも こんな人たちが経営陣とバトルする時代ですから、そう企業側も異常な株価を放置できないようになるのでしょうが。
筆者が調べた時 キヤノンNTC社の株以外にも「時価総額≪現金資産」となっている会社が結構
存在していました。
東証二部に数社、東証一部にも 実は
そのような企業が存在しています。(正確には「いました」)
それでも この手の会社を どんどん買い漁る気にはならないんですよね。