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禁じられた電池遊び
ニッケル水素電池編
ジャンクで お着替えできるかな?

 ある晩のことです。
 筆者が帰宅すると 何事か、嫁が工具箱を持ち出しているではありませんか。

 分解しようとしているのは、この掃除機。

 4年前に購入したハンディ掃除機で、購入価格は3980円。
 「TOSHIBA」ブランドで売られていましたが、製造元は東芝電池株式会社

 粗悪品が多い この手の掃除機にしては珍しく長時間の酷使に耐えてきた古強者です。

 何しろ 当家、食事の度に汚れを撒き散らす小型生物が生息しておりまして、いちいち大きな掃除機を持ち出すのは骨が折れるのなんの。


小型生物が 汚れを撒き散らしている現場

 嫁が言うことには、働き者のこの掃除機、その日 突然 充電できなくなったというのです。

 コレは我が家の一大事、食残の処理もままなりません。

 私が試してみても 症状は同じ。
 充電台に乗せると 数秒で警告灯が点滅し、スイッチを入れても動くのは一瞬だけ。

 典型的な 電池ご臨終の兆候です。

 ま、いくら電池とはいえ 4年もこき使われれば 働きたくもなくなるでしょう。
 むしろ 標準的な寿命を考えると かなり長持ちしたとも言えるはず。


 で、嫁の代わり分解してみると、中に入っていたのが これ。

 この手の安物家電には 使い勝手の悪いニッカド電池が使われていることが多いのですが、さすがは電池会社 より高価なニッケル水素電池が入っています。

 注意書きには分解するなとか書いてありますが、構わずシュリンクラベルをはがします。

 すると中身が これ。

 自社製の汎用電池が四本 束になっています。

 配線は 「赤-黒」の線がモーター側、「青-赤」の線が充電器側です。

 ラベルの外からは 青がマイナス極充電用で 赤がプラス極充電用かと見えたのですが、裸にしてみると 赤のラインにはサーミスタが繋がっているだけ。
 どうやら充電コントロール用のラインで、電池本体の温度を元に 充電時間を制御している様子です。

 更に もうひとつ、青ラインには白く見えるヒューズが付属。
 おそらく 温度ヒューズで、175という数字が付けられています。

 この程度の工作であれば シロートでも どうにか太刀打ちできそうです。 


 モチロン、一番 安全で簡単な解決方法は 新しい電池を注文することですよ。

 この電池も、製造元には在庫があって 取り寄せ可能とのお返事。
 ただし、値段は4000円。

 予想通り 本体購入価格より 電池単体の方が高いんですよ。
 在庫のリスクと流通量を考えると仕方が無いんですが、ニッケル水素電池も単三規格なら 4本1000円程度ですからねえ。

 いっそのこと、掃除機を丸ごと買い換えるのも手なんですが、こいつほど働き者の製品に当たる保証はありません。
 大体、電池ひとつで モーターから何から 新しいものに入れ替えるのは ちょっと抵抗があるんです。


 ココは 環境保護筆者の娯楽と お金の節約のため、敢えて苦難の道を行くことにいたしましょう。

 そう、使われている電池は汎用品に過ぎません。
 同等品を4本集めれば 中身だけ新品に交換できるはず。


右端が単三電池

 使われている電池は「4/5A」という規格の大きさで、単三電池を一回り太く短くした形状です。

参考資料
松下電池工業
OEMユーザー向けのページ

 早速 代替品を探し始めた筆者ですが、なかなか 同等品が見つからないんです。

 コジマや石丸電気で売られているはずはありませんし・・・
 電子工作の専門店を探しても ちょうど良い製品が出てきません。

電子工作 専門店のリンク
秋月電子通商 通なら知らぬ者の無い 電子工作の聖地
千石電商 秋葉原の超有名店
共立エレショップ 関西の有名店なら こちら
ツクモ ロボコン館 大手も 取り扱っています

 単3ニッケル水素電池は どこにでもあるんですけどね。


 色々彷徨って見つけ出したのが、このお店
 典型的なジャンク屋で、もう怪しいモノが 山と売られています。

 そこで取り寄せたのが この部品。

 昔のノートパソコン用でしょうか?
 IBMのバッテリーパックです。

 警告がうるさく書いていますが、速攻で分解です。

 すると、中身は・・・

 はい、この通り。
 必要な電池が6本 直列繋ぎでコンニチハ。

 写真の真ん中に写っている 黒い四角の部品が温度ヒューズ。
 右端の赤いリードはサーミスタで、こちらは充電管理用。

 温度ヒューズの配置は東芝と異なり、直列繋ぎの真ん中に組み込まれています。
 こちらの方が より理にかなった場所なんですが、部品の表記は「75」。
 溶断温度は低めのようです。

 ニッケル水素電池を使ったバッテリーパックは、この構成が一般的なのでしょう。
 このページで取り上げられている NEC・PC9821用のバッテリーパックも ほぼ同様の設計です。

 肝心の改造ですが、出来るだけ加工箇所が少なくなるよう両脇の電池を落とす計画です。
 温度ヒューズは設定温度が異なりますから、オリジナルを残すことに。

 これだと半田付けは たったの3箇所。

 早速、温度ヒューズとサーミスタをニッパでちょきん。

 オリジナルの部品を順番に半田付け。

 ここまで来ると、それらしくなったでしょう。
 後は 温度素子を電池本体に接着し、電極を保護すれば完成です。

 IBMの電池パックでは普通のセロハンテープが使われていましたが、念のために耐熱テープでグルグル巻き。

 格好はイマイチですけど、隠れて見えないものですから 嫁もうるさく言わない筈。

 元の場所に組み込んで、はい 完成。

 ちゃんと充電できるようになりました。

 この掃除機、改造電池でも順調に稼動しておりまして、今のところ 火や煙を噴いたりしていません。


警告

 ここまで色々な電池を分解してきましたが、電池改造はリスクを伴う行為です。

 工作方法の不備で 火災や重大事故が起こりえます。
 経験と知識と技術の範囲で お楽しみください。

 当サイトは 改造に伴う一切の損害を担保いたしません。


 ここまで書いてくると、他の電池にも応用できると思いません?

 そう。

 殻に包まれた専用バッテリーも、一皮剥くと 汎用品が出てくることが多いのです。
 質の良い二次電池を作れる会社は 世界でも限られますからね。

 これは我が家のデジカメに入っているバッテリーパックですが・・・

 殻割りすると、中にあるのは やっぱり汎用品。
 筒型リチウム電池で 「CR18650」て規格です。(参考ページ

 この手の電池は高価なわりに、機材を酷使していると すぐに他界してしまいます。

 掃除機と同じ手を使って 装換してみたいんですが・・・

 この通り、ニッケル水素電池のようにアバウトな作りではありません。
 充電特性がシビアなもので、定電流・定電圧用の制御回路が組み込まれています。

 一般に リチウム電池は製品ごとに充電特性が異なるため、完全に同一仕様のセルでなければ装換できないといわれています。
 が、改造系のサイトでは 異なる容量のセルとの装換も 成功例が紹介されているんですよ。(参考文献その1)・(参考文献その2

 オリジナルの制御回路を生かして 近い電気容量のセルを組み込めば良いのでしょうが、リチウムセルって ジャンク品でも高いんだよな〜。

 筆者の工作技術は電話級の時代から進化していないし・・・


というわけで リチウム電池編に続く???

次回は 難易度が高いといわれるリチウム電池の入れ替えに挑戦します?

果たして 管理人のデジカメは蘇るのでしょうか?
それとも 煙とともに全損事故となるのでしょうか??

次回予告

感動巨編
禁じられた電池遊び
リチウム電池編

ただし 公開未定


注意

電源改造は アブナい大人のための娯楽です。
全て自己責任で楽しみましょう。


 

 

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電池改造系 リンク

今日の必ずトクする一言 ニッケル水素電池の装換が取り上げられています。
FAST&FIRST ニッケル水素電池のほか 鉛蓄電池も改造しています。
THINKPAD LOVE バッテリー改造の知識が 詳しく書かれています。
Libretto M3 爆走改造ページ シロートが 真似をすることではありませんが・・・
我が家の鉱物の部屋 NECノートパソコン用バッテリーを改造しています。
現品.COM 大概の電池は そろっているようです。
ノートパソコン用バッテリー掲示板 皆さん いろいろ 試しています。
松下電池工業 OEM向けページ 技術スペック満載・まにあ必読
E-One MoliEnergy リチウム電池のスペック掲載