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お買い得な双眼鏡を考える

 前回は双眼鏡の値段について、仕入れ値を参考に考えてみました。
 割引率だけで双眼鏡のお買い得感が判断できないのは前に述べたとおりです。

 一流メーカーの、それも私たちが食指を誘われるような双眼鏡は大幅な値引きは期待できません。
 私たちが気に入るような双眼鏡は、お近くのお店に置かれていないことがほとんどです。
 注文取り寄せの商品は定価販売のことがありますし、通販では送料や振込み手数料が馬鹿に出来ません。

 逆に考えれば、国産一流メーカー(ニコン・フジノン・キャノン・ペンタックス)の双眼鏡 それも中型以上の商品では20%以上割引されていれば非常にお買い得感が高いといえるでしょう。
  (注:ミノルタが一流メーカーではないという意味ではありません。手元に正確な資料がないため現時点では判断不能なためここでは除外いたします。オリンパス・ビクセンにも素晴らしい双眼鏡がありますが、一部に安売り目的の機種があり一概に判断できないため除外しています。)

 双眼鏡の利幅は大きくありませんから このような商品は珍しいのですが、幾つかの要因からお買い得な双眼鏡が売りに出されます。
 それはどのような場合なのでしょうか、考えていきましょう。 

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お断り

 双眼鏡はしっかりとした機能が要求される光学機器です。
 最も重視されるのはその性能であり、価格的要求は性能との兼ね合いで論じられなければなりません。
 求める機能を満たす双眼鏡を手に入れることが、長い目で見れば、もっともお買い得な双眼鏡選びなのです。

安さを追求することは正しい双眼鏡選びの妨げになります。

以下の駄文は良い双眼鏡を買うには適正なコスト負担が必要という事実を踏まえて読んでください。


    小型双眼鏡

 「上記メーカーの双眼鏡は2割引が良い線」と書いてきましたが、それ以下で売られている商品は少ないながら存在しています。

 もっとも身近なのは小型の双眼鏡でしょう。
 これらの商品は量販が期待できることから、仕入数量上非常に有利です。
 また、ブランド間で競合商品が多く仕入値自体が低く設定されています。

 これらの要因から 売れ筋の小型双眼鏡(タンクロー・リビノやポケットダハ双眼鏡)は4割〜5割引程度で売られていることが珍しくありません。


基本性能がしっかりした双眼鏡が割安で購入できる
誰にでも進められる優れた双眼鏡の一つ

 このような割引の原動力は 主に仕入数量に依存していますから、大型チェーン店のほうが安くなる傾向が強くでます。
 店舗・チェーン間の価格差も大きく、もし購入を考えるのであれば数店回ってみる価値があります。

 当然、小型双眼鏡でも売れ筋を外れた機種は割高になります。


    型落ち双眼鏡

 次に割安双眼鏡の原因となるのが、モデルチェンジです。

 双眼鏡はほぼ完成された商品で進歩はゆっくりとしたものですが、定期的なモデルチェンジが行われています。
 もちろん、画期的な変化があることもありますが、多くは実用上全く変化がないものです。
 酷い物になると光学系は手付かずで、外表のデザインだけが代えられることすらあります。

 モデルチェンジされた双眼鏡は旧型機となりカタログ落ちしますから、以前のような値段では売らなくなっていきます。
 これらの在庫を抱えた店は処分価格で放出することになり、割安な双眼鏡となります。

 型落ち双眼鏡でよく眼にするのは、ペンタックスのタンクローシリーズでしょう。
 大量生産されている上にモデルチェンジが頻繁なので、割安双眼鏡の宝庫になっています。
 新型の値段の3割安程度で売られていることが多いように思います。

      
旧型と新型
デザインが異なるだけで、光学系は全く同一である

 タンクローの光学系は変更がありませんから、あとはデザインのお好み次第でしょうか。
 ニコン「リビノ」も旧型は半額以下で入手できることがありますが、最近はあまり見かけなくなってきました。

       
旧型と新型
こちらもズーム機以外は光学系は同一である。

 中型双眼鏡ではニコンの「クリモ」シリーズも「アクション」シリーズにモデルチェンジされ、安売りされている商品です。

     
旧型と新型
新型の方がハイアイになっている

 元がしっかりした双眼鏡なので、お好みの光景と倍率が見つかれば入門機には最適です。
 元の定価の半額ほどで売られていることが多いようです。

 モデル更新を理由に安くされるのは 残念なことに 大量生産された双眼鏡が中心です。
 ペンタックスのPCFシリーズが去年モデルチェンジしましたが、あまり出回っていないせいか、安く売られえいるのを見かけていません。


     売行き不振の双眼鏡

 次に、割安双眼鏡の発生源となるのは、需要と供給の不一致です。
 メーカー側が需要を多めに予想しコスト計算をしたのにもかかわらず、売れ行きが芳しくないと値引き幅を大きくしていきます。

 最近の例ではキャノンの10X30ISがこの例に当てはまります。


素晴らしい双眼鏡でありながら売れ行きはいまいち

 防振双眼鏡の普及を目指して、大量生産・安値設定路線がとられました。
 防振ユニットのコストダウンを狙っていたのでしょう。
 12倍以上の機種では極少量生産・高価格設定なのとは対照的です。

 ところが、キャノンの読みは外れ、ISシリーズの人気はマニア層で広がり高級機に人気が集中。
 反面、一般向けと位置付けられた10X30ISは不振を極めます。
 防振ユニットのコストは大量生産を前提としていましたから、数は作らなければなりません。
 こうして多くの店頭で10X30ISが割安な価格で販売されるようになったのです。

 当初、定価65000円で 70%の仕入れ値で卸されていたようです。
 ところが 現在ではメーカーが対策費を投入した結果、安い店では4万円台前半で販売されています。

 メーカーにしてみれば災難ですが、ユーザーにとっては優れた双眼鏡を手に入れるチャンスといえるでしょう。


     キャンペーン価格

 次に、双眼鏡でも需要期になるとキャンペーンが行われることがあります。

 これは全国チェーンのカメラ店の広告です。
 普段でも定価から20%OFFにしている店ですから、そこから更に1割引いては利益が出ません。
 下取りの双眼鏡なんてジャンク品でもいいそうですから、店単独ではこのようなことは不可能です。

 これは問屋筋と連携しての期間限定キャンペーンで、機種に限定はないようです。
 このようなチャンスにめぐり合えれば、高級機ほどお買い得感が高いでしょう。


     まとめにかえて

 更に割安感を追求していくと、海外からの逆輸入や金融物件という手もありますが一般にお勧めできるものではありません。
 なにより、よい双眼鏡は一生モノなのですから、一時の値段に目をとらわれず良い品を選んでください。


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