巷では色々な双眼鏡が売られています。
メーカー・倍率・デザイン。
何が同じで何が違うのか、よく分からない商品のひとつでしょう。
日本は世界一の双眼鏡生産国。これだけの双眼鏡が出回っていても、双眼鏡の種類は基本的に3つしかないのです。
凸レンズと凹レンズを1枚ずつ組み合わせた双眼鏡です。
極めて単純な形ですから、本体は小型で安価に製造できます。
そのため、玩具やオペラグラスではほとんどがこの形式です。
しかし、視野が狭い欠点があり、低倍率のものしか実用になりません。
本格的な双眼鏡でこの形式のものはごくわずかです。
コンサート会場などで売られるオペラグラス
安価なこともあり使い捨てにされることも多い。
こちらはきちんと双眼鏡の形をしている。
ダハ式の双眼鏡に似ているが、実物を見れば違いは明らか。
重さが軽く、作りも単純
玩具やノベルティグッズとして見かけることが多い。
直角プリズムを二つ組み合わせ正立像を得る方式です。
詳しい解説は「双眼鏡の基礎」で図説しています。
歴史に古いプリズム双眼鏡で、最初に考案されたのは1840年代に遡ります。
多分、皆さんが双眼鏡と聞いて真っ先に思い浮かべるのはこの形でしょう。
製造しやすく工学的にも優れた形式で、大口径の双眼鏡も作ることが出来ます。
ダハ型に比べると、本体が大きくなってしまう点が欠点です。
最近ではコンパクトタイプが多数発売され主流になっています。
ボシュロム型(B型)
対物レンズ筒とプリズム部が一体になっている形式です。かつてボシュロム社が多く取り入れていたため、この名前がついています。
製造が面倒ですが、気密性を維持できるため防水式の双眼鏡に採用されています。
ツァイス型(Z型)
こちらは対物レンズ筒とプリズム部が別体になっています。
製造が簡単なため多くの双眼鏡で採用されています。
光学的にはボシュロム型(B型)もツァイス型(Z型)も原理は共通ですから、ユーザーとしては分類する意味はあまり内容に思います。
マイクロ型(M型)・コンパクト型(C型)
ポロ型はダハ式に比べ安価に性能を上げることが出来る代わり、本体が大きくなるのが欠点でした。
この欠点を補うために対物レンズを接眼レンズの内側に配置し、小型化した形式です。
まだ大きさやデザインではダハ式が上ですが、より手軽な価格で高性能な機種を入手できます。
屋根型プリズムを使用して正立像を得る方式です。
プリズムの形は「双眼鏡の基礎」に写真を掲載しています。
本体を直線状に配置できるため、小型でスマートな設計が可能です。
欠点は大口径の対物レンズが使用できないこと・加工に精度と技術が求められること・プリズム面で光の干渉が生じることなどが挙げられます。
最近では大口径のダハ式双眼鏡も発売されています。
コーティング技術により光学的な問題もかなり改善されております。
しかし、ポロ型双眼鏡と同程度の性能を持たせると、高価になってしまう傾向があります。
どの形式を選ぶかは、好みと使用目的によります。
個人的には、小型双眼鏡で携帯性を重視するのであればダハ式を、コストパフォーマンス重視ならポロ型をお勧めします。
中型〜大型ではポロ式のほうが安定した性能が得られやすいのですが、高価な製品ではダハ式でも優れた性能がえられます。
同程度の性能の双眼鏡同士を比較すると、ダハ式はポロ式の2倍程度の価格になります。