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双眼鏡の松・竹・梅

 欧米に比べ日本のメーカーは「市場の要求」に合わせて、細かい商品構成をとっているといわれます。
 自動車を見ると、同じ排気量同じサイズに同一の会社がいくつものバリエーションを用意しています。

 双眼鏡も中型の製品ではいくつもの種類が売り出されており、買い手を惑わします。
 ここでは中型以上の双眼鏡を勝手に分類してみましょう。

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    カップラーメン級

 安価な価格設定を第一目標に設計された双眼鏡です。
 ポロ型双眼鏡で1万円を切る商品がこのクラスあたります。

 コストを切り詰めるために、レンズコートが単層だったりプリズムがBK7だったり、視野が暗くなる要素が入ってしまいます。
 接眼レンズも簡素な形式で、視野の広さやアイレリーフが妥協されます。
 生産国も中国だったり台湾だったり、果てはフィリピン製のものも存在します。
 プリズムの傾きや鏡筒の平行度なども基準がゆるいと噂されています(真偽は不明、少なくとも光軸がJIS基準を超えてずれているようなことはないだろうが)。

 付属品も最小限で、ナイロン平織りのソフトケースにプラスチックの細ストラップなんてことも珍しくありません。
 ストラップは自分でカメラ用のものに交換すればいいだけなんですけど。

 初めての双眼鏡だと分からないかもしれませんが、他の双眼鏡を見てしまうと視野の暗さやコントラストの乏しさに気が付くでしょう。
 昼間なら実用に大きな支障はないでしょうが、長く使うつもりであればもっと上のクラスのほうが最終的にはお買い得でしょう。

カップラーメン級双眼鏡の例

オリンパスDSPR(ラ王級)、ケンコー・バーディークラブ(ベビースター級)

 


    我が家の手料理級 または ファミリーレストラン級

 価格性能比が追及された双眼鏡です。
 明らかに視野を悪くする要素はできる限り排除されてきます。
 ポロ双眼鏡で実売2万円程度、ダハ双眼鏡で4万円程度の商品がここに分類できるでしょう。

 このクラスになるとマルチコート・BaK4プリズムが使用されますが、内部のコーティングは単層だったりプリズムがコート無しだったりします。
 接眼レンズもハイアイ・広角とはいかず、どこかの要素で妥協が見られます。
 ダハ双眼鏡ではフェーズコートなど手間のかかる加工は省かれます。

 それでも、各社の売れ筋商品だけに調整は上級機並みに行われていますし、使い方が性能と一致すれば満足感も高いでしょう。
 初めての双眼鏡だとこのクラスでもそう不満は出ないと思います。

 付属品では実用十分なものがついてきます。
 ストラップも平編みでそのまま使用できるでしょう。

 ただ長く使っていくと視界の狭さや視野の見え味で不満が出てくるかもしれません。
 その頃には自分が双眼鏡に求める要素もはっきりしてくるでしょうから、徹底的に使い倒すのも面白そうです。
 双眼鏡の面白さを知るには十二分な機種がそろっていますから、とりあえず双眼鏡を試してみようという方にお勧めの製品です。

我が家の料理級ポロ双眼鏡の例

ビクセン・アスコット、ニコン・アクションなど
ファミリーレストラン級ダハ双眼鏡の例
ペンタックス・DCF/HR、ビクセン・アペックスなど

 


    地元で評判のお店級

 その時代で標準的な技術が投入される双眼鏡です。
 中型ポロ双眼鏡で3万円から4万円、ダハ双眼鏡で6万円から8万円のお値段になります。

 全面マルチコート、フェーズコート、準広角アイピースと一般的な技術が投入され、双眼鏡グルメでなければ見えに不満を覚えることはないでしょう。
 明るさやコントラストでも若干劣るものの、一流の双眼鏡と比べなければ違いは認識できないはずです。

 付属品も実用性はもちろんデザインや使い勝手まで配慮されたものがついてきます。

 初めての双眼鏡でも、予算が許せば、このクラスの製品をお勧めしたいところです。
 長く愛着を持って使え、趣味の幅も広げられるでしょう。
 使って不満がでることはまずないでしょうし、その時は特定の用途に特化した道具を選べばよいのですから。

 それでも世の中は罪なもので、ここまでの双眼鏡でも上には上があります。
 本当に必要化は別にして、一度でも上級機を使ってみると 辺縁視野が気になりだしたり更なるコントラスト・明るさ・解像度が欲しくなったりします。
 そうなると段々と深みにはまっていくのですが・・・。

行列のできるお店級ポロ双眼鏡
ニコン・7X35E、フジノンMT−SXなど
地元で評判のお店級ダハ双眼鏡
ペンタックス・DCF/WP、ミノルタ・アクティバ8X42など

 


    一流ホテルのメインダイナー級 または 老舗の名門割烹級

 最新の技術をコスト度外視で投入した双眼鏡です。
 ポロ双眼鏡で5万以上、ダハ双眼鏡では10万円超とお値段も超一流です。

 アポクロマートレンズ、広角ハイアイ接眼、軽量ボディーなど考えられる限りの技術が投入され、見え味はそれは見事としか言いようがありません(好き嫌いはあるにしても)。
 防水性・耐久性まで突き詰められ、付属品もよく考えられた見事なものです。
 一度使い慣れてしまうと ほかの双眼鏡が使えなくなるほどの性能があります。

 初めての双眼鏡でここまでの性能が必要かどうかは疑問ですが、鳥見や星見を極めてきたら手に入れたい一品に違いありません。
 違いが分かるようになってからの楽しみに取っておくのも面白いでしょう。

メインダイナー級ポロ双眼鏡の例

ニコン・SEシリーズ ニコン・SPシリーズ、フジノン・FMT−SX、ペンタックス・PIFなど

名門割烹級ダハ双眼鏡の例
ニコン・8X42D CF、ツァイス・ライカ・(スワロフスキー)のドイツ高級ブランド

 


    世界の珍味級

 人間の技術は恐ろしいもので、双眼鏡という完成された商品にも画期的な進化をもたらしています。
 そんな中で 双眼鏡の範疇を超えてしまうほどの製品も生み出されています。

 あとは、それがあなたの感性に合うかどうかでしょう。

絶世の珍味級双眼鏡の例
キャノン・ISシリーズ、フジノン・テクノスタビ

  注意:例にあげた双眼鏡のうちカッコの中に入った双眼鏡は筆者が試したことの無い商品です。


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