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双眼鏡を分解してみたら(1)
ツァイス型双眼鏡の場合
前編

 このようなページを作っていながら、筆者はこれまで双眼鏡を分解したことがありませんでした。
 これまで実用双眼鏡を1台しか持ったことが無かったためなのですが、今回このようなページを作るにあたり一度は双眼鏡の中を見てみたいと思っていました。

 使い物にならない双眼鏡をつぶしてしまうのも手なのですが、分解しやすそうなポロ式では気にいった双眼鏡ばかり。
  ネットで安物の双眼鏡を探していたところ、ちょうど良い物件が某社アウトレットにあるではありませんか。

 品名はズバリ「ジャンク双眼鏡」、単位はダンボール1箱。
 早速購入し、光軸が狂っている1台を分解してみることにしました。

警告
双眼鏡は微妙な調整の上に成り立っている光学機器です。
一度分解すると、形は元通りに直っても正常には機能しません。
お使いの双眼鏡を分解するのは絶対に止めてください。
当サイトは分解に伴う一切のリスクを担保しません。

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    分解する双眼鏡

今回、実際に分解される双眼鏡はクラシックなポロ式双眼鏡。
表示では「7X35」となっています。

   

 作りはツァイス型で分解は簡単そうです。
 レンズはマゼンダコートされています(レンズを再利用するつもりは無いので今回はあまり関係ないのですが)。


    対物レンズから分解

 せっかくのツァイス型なのですから、対物レンズ側から分解していくことにしました。
 対物レンズ筒はねじ込み式になっており、簡単に外れます。

 このレンズは裏側もマゼンダコーティングされています。

 一方、プリズム筒の方はと見てみると、もう第2プリズムが剥き出しになっているではありませんか。

 プリズムは灰色の接着剤で2ヶ所とめられ、その上を板バネで圧迫固定されています。
 この双眼鏡はプリズム面はノーコートで、プリズム筒内の反射止めも全く工夫されていません。
 BK7プリズムを使っているくらいですから、安価な商品だったのでしょう。
 コントラストは低そうです。


    接眼筒も分解

 まずは中心軸の螺子をはずして、左右の接眼レンズを外しました。

次にブランド名が書いてあるプレートを外そうとしたのですが、螺子を全部外しても取れない。
いろいろ試みたんですが、どうやってもダメそうなのでペンチで破壊することにしました。

 で、ここまで壊し出からやっと接眼筒を最後まで外さなければいけないことに気が付いたんです。
 我ながら気が付くのが遅すぎました。
 接眼筒はプリズム筒に螺子止めされているだけで、気が付けば簡単に外せました。

 プリズム筒を覗いてみると、第1プリズムが同じ方法で固定されています。
 この方式だと同型のプリズム4個で正立系が作れるので、コストダウンも容易でしょう。


     プリズムを外してみる

 本体はプリズム筒を残すのみとなりました。
 早速、双眼鏡の命ともいえるプリズムをはずして見ましょう。

 まず、プリズムを押さえている板バネをペンチで外します。
 これは結構強く押さえてありました。

 次に、プリズムを手で強くずらしてみます。
 すると簡単に接着剤がはがれて、プリズムを外すことが出来ました。

 この構造では衝撃に弱いのもうなずけます。

 同じように第2プリズムも外せばいいのですが・・・、


    光軸調整機構

 プリズム取り付け部分を良くみると、小さな螺子がプリズムを支えるように伸びています。

 写真ではプリズム下中央部に小さく螺子が写っています。

 プリズムを両方外してみるともっとはっきりします。

     

 左が第2プリズム、右が第1プリズムの取り外し後です。
 両方とも小さな螺子が出ているのが分かるでしょう。

 これを外から見ると、

 第一プリズムに接した螺子はこんな所に頭を出していました。

 第2プリズムの螺子はと思って探してみると、

 こんな所に。

 この双眼鏡を良く見回してみたら、左の鏡筒の第2プリズムの調節螺子がぎりぎりまでもぐりこんでいました。
 ここが原因で光軸が調整できなかったんですね。

 光軸調節の実際はビクセンのサイトに載っていますので、そちらもあわせて読んでいただけると参考になるのでは。


    中心軸を分解する

 ピント合わせ部分を外してみました。

 ピントリングの軸は大きく螺旋に溝が切られていて、接眼レンズを動かす仕組みになっていました。

 鏡筒本体も左右に分解したかったのですが、専用の工具が必要そうなので今回はパスしました。

 接眼レンズと対物レンズのユニットはまた後日レンズ分解用の工具がそろったところで分解することにしましょう。

 ここまで分解した部品を並べてみると、

 細かい物もありますが、部品自体はシンプルです。

 特にプリズムが同型のもを4つ使っているのには驚きました。
 特殊な形状のプリズムを使うダハプリズム式の双眼鏡より安くできるはずですね。

 皆様も一番興味があるでしょうレンズの分解はまた後日。


 

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