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原作版について
<誕生>
 「仮面ライダーBLACK」の実写版とコミック版の発表一年前に石ノ森氏は「君は仮面ライダーを見たか?」という企画書のような物を書いており(この企画書は双葉社刊の「仮面ライダーEX」で読める)、その中には「風祭竜という青年が愛車グラスホッパーに跨り、仮面ライダーとなりショッカーと戦う」と言う趣旨のものでこの企画書の完成、実写版の製作と前後して企画書で書かれた大筋を整理し、「週刊少年サンデー」1987年41号から連載を開始。実写版のほうも正式に製作が決まる前は初代を80年代の特撮技術を使い、リメイクすると言う企画が考えられてた(初代をその時の特撮技術でリメイクすると言う意図は2005年公開の「the・FIRST」で結実)。
 原作版「BLACK」は「変身忍者嵐
*」同様に意図的にTVと違う物のするという考えが石ノ森氏の中にあったらしい。
*変身忍者嵐:仮面ライダーの時代劇版といった作品。主人公の忍者・ハヤテは父が編み出した化身忍法で嵐に変身。血車党と死闘を繰り広げる。コミックは「少年マガジン連載版」と「希望の友版」と故・石川賢版とがある。
 実写版では裏番組が「ウルトラマンA」だったために視聴率確保のてこ入れとして敵に西洋妖怪を出すなどの設定を組み込んだ。平成仮面ライダーのひとつ「仮面ライダー響鬼」にも影響を与えている(TV後半登場した鬼の鎧が嵐そっくりのデザインだったり、劇場版の敵の名前が「血狂魔党」など)。


<1話の相違>
実写版
 初代1話「怪奇蜘蛛男」を再構築した内容で冒頭は東京と思しいところで(主演の倉田てつをさんの証言によれば冒頭のシーンは新宿・歌舞伎町で撮影したとのこと)光太郎がゴルゴム3神官に追われるシーンから始まる。
 登場怪人は蜘蛛型で初代では恩師が怪人に殺されるが「BLACK」では義父が怪人に殺されると言う描写に。自分の出生を知り義父を敵に殺されたことから人類の平和を守るために「仮面ライダー」としてゴルゴムの連中と戦うことを決心する・・と言う流れ
コミック版
 記憶を失い、ニューヨークの地下水道を彷徨っていたところを取材中だったTV番組スタッフのサムとケイトと出会い、二人をワニ怪人から守るため、変身して怪人を追い払う。事件解決後、サムが上司に掛け合って光太郎を「裏の世界」の製作スタッフ(カメラマン)にすることを話すところで終わる。

<主人公>
実写版
 東星大学人文学部2回生でサッカー部に籍を置いている19歳の青年(昭和ライダーでは一番若く、歴代だと巧や良太郎に次いで若い主人公)。自分自身の宿命に苦悩することもあるが普段は明るく爽やかで子供好きな好青年として描かれてる。後になってくると敵を自分のペースに誘ったりと精神的な余裕を見せたりすることも。
原作版
当初は記憶喪失の青年として登場(なんか翔一君みたい。実写版の光太郎もちょっと翔一君してたけど)。サッカーではなく空手をしていたと言う設定。時折能天気なところを見せる実写版とは違って表情が子供っぽい。

<変身・造形、能力>
変身
TV版では変身ポーズを取って変身してたが原作ではそのような描写はない。体が変貌して変身するという設定は共通するが、少々設定が異なり、実写版では体内に宿る霊石の力で変身。原作では変身の意思を持つと体のDNAが変貌し、緑色のバッタ人間となった後体が黒くなり、完全体となる。(けどBLACKのような肉体変貌系のライダーはすぐに廃れてしまいG3のような強化スーツライダーがメインになってしまった)。
造形
実写版のBLACKは頭部は1号・2号を意識していてマフラー、手袋といった服的な意匠は排除(以降のライダーにも服的な意匠はないが)。原作版はバッタ人間といった風で脇に足がある。この造形がOV「真・仮面ライダー序章」に繋がる。
能力
原作版では超能力の類を使っているシーンが何度か登場したが実写版では超能力の類は使わず格闘主体の戦闘スタイルで戦う(パワーアップしてからは状況に応じて変身形態を変える能力を体得したが)。

<敵>
敵であるゴルゴムの目的が人類を根絶やしにして改造人間だけの世界を作ろうと企んでいるところは原作・実写共通だが、原作版では実写版のゴルゴム3神官やビルゲニアに相当する幹部が登場しない(原作版初代でも幹部が出てきたのは最終話「仮面の世界」だったが)。実写版ではさらに異次元からやってきたクライシス帝国とも戦った

<設定が異なる箇所>
・義父が怪人
実写版では怪人に殺された光太郎の義父・秋月総一郎だが原作版ではオニグモ怪人として登場。ゴルゴムの実態を光太郎に話す前に何者かに殺されると言う設定になっている。
・信彦の彼女
実写版では「紀田克美」となっていた信彦の彼女の名前が「あゆみ」に変更(これは石ノ森氏によれば実写版で紀田克美役だった田口あゆみ(現:萌)さんの名前を拝借したらしい)。京都に住んでたが光太郎を連れ戻すために怪人にされてしまうと言う役どころに。
・杏子の設定
光太郎の義理の妹である杏子は原作版では光太郎のことを「光太郎おにいちゃん」と呼んで慕っている。(実写でも光太郎に想いを寄せていると言う設定だが)。
実写ではシャドームーン=信彦の妹であることからシャドームーン復活を目論むゴルゴムの連中に狙われたこともあったが原作では秋月家の財産を手に入れようとする親族に嫌がらせをされたことがある。光太郎に対する想いが報われなかったのは原作・実写共通。
・光太郎の実の父親の名前が異なる
実写版では「正人」となってた光太郎の実の父親の名前が「光雲」になっている。これは実在する高村光雲(彫刻家)と光太郎(彫刻家・詩人)の親子から?
・変身した信彦の姿が光太郎の変身した姿と同じ
実写版では銀色のボディにロボットのような造形だが原作では全く同じ姿に。もっとも実写版の初期設定でもBLACKとシャドームーンは同じ姿の色違いを想定してたそうだが。

<協力者>
原作版
TV番組スタッフのサムとケイトの二人は怪奇事件を取り扱うTV番組「裏の世界(リバース・ワールド)」のスタッフでニューヨークで光太郎と出会ったことが縁となり世界中で起こる怪事件に遭遇し光太郎に協力する。サムは自分のことを「準主役」とまで言ってる。が、最終回目前で退場。
 もう一人の協力者として登場するのが大門五郎。京都時代の光太郎の先輩で東京でバイク屋を経営しており面倒見のいい性格。光太郎の変身のことを知っても驚かず、逆に自作のスーパーバイク(デザインが実写版のバトルホッパー似)をプレゼントして光太郎に「仮面ライダーとなって戦え」と励ます。
実写版
 自称「インターポールのはみ出し捜査官」と言ってる滝竜介が協力者。元プロサッカー選手で実は光太郎と同じ大学の出身。大学時代は信彦の先輩だった。演じてたのは特撮マニアとして知られ、ウルトラマンなどにも出たことがある京本政樹氏だが、名前は初代に登場した滝和也をもじったものだと思われる。

<実写版よりも壮絶な原作版>
 光太郎の義父や信彦の彼女・あゆみ、信彦の命の恩人クレオパトラ・ジョーンズといった光太郎の身近な人がゴルゴムの手で改造されて光太郎を連れ戻すために送り込まれてくる・・と実写以上に壮絶な展開。
 さらに後半になると何度か未来の世界に呼ばれるというシチュエーションが登場。(そーいや実写版の続編である「RX」でも敵が異次元人という設定のため何度か異次元に飛ばされるというシチュエーションが登場してたか)未来の世界では核戦争で人類の殆どが死に絶え、「魔王」と呼ばれる存在が配下の怪人を使って生き残っている人類を狩っていた。生き残った人類は魔王と同じ力を持つ光太郎に自分達を救ってもらおうとしてた。光太郎は未来世界で魔王と遭遇したが未来の魔王の正体は誰なのかという謎を残すことになりこれが最終回(後述)に繋がる

<最終回は?>
実写版
 ライバルのシャドームーンとゴルゴムの王たる創世王を倒すが、何もかも失い一人旅に出ると言う最後に。(けど、光太郎には新たな出会いと戦いが待ってたりするが)
原作版
 突然1995年に飛ばされた光太郎は人類が滅びかけている世界を垣間見、そこに現れた信彦と戦う羽目に。アボリジニの力で1999年にタイムワープした光太郎は「魔王」となった信彦と対決。光太郎は信彦を倒すが、未来で見た魔王の正体がわからず苦悩する・・・と言う終わり方だった


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