尖閣諸島の領有権問題
我が国の外周離島(外周領域)保全のあり方
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00755/contents/0003.htm
東京財団研究報告書2004-4 我が国の外周離島(外周領域)保全のあり方
(2)南西諸島及び周辺島嶼群
台湾は、南西諸島特に尖閣諸島について、「釣魚台列島を掌握すればわが国の領海を広げることができ、台湾の
海上防衛線が拡張され、国防上大きなプラスとなる。戦略的意義については、釣魚台列島は国際航路に近く、西太
平洋諸島につながり、南西諸島と台湾を結ぶ重要地点にあり、また日本および沖縄よりも、台湾および中国大陸に
近いため、ここを掌握することは、わが国の海洋権および太平洋への進出にも大きな影響を与える。よって、国防全
体を視野に入れた防衛的価値から見ても、海洋権発展の戦略的意義から見ても、欠くことのできない非常に重要な
地域である。」(5)と評価している。また米国は、「沖縄に駐留することは、輸送時間が大幅に短くなり、朝鮮半島や
台湾海峡にもすばやく到達できる。例えば、沖縄から韓半島に航空機により2時間で移動できるのに対し、グアムか
らは5時間、ハワイからは11時間、米国本土からは16時間かかる。また、米西海岸からこの地域に船で移動すると
21日間もかかる」(6)と北東アジアの安全保障上の要的存在と認識している。
ア. 1,000km以上にわたる島嶼線に並行する南西シーレーンの存在
南西シーレーンとは、マラッカ海峡からバシー海峡を経て南西諸島近傍を通過して日本本土に至る経路で、わが国
にとって中東地域からの石油輸送の大動脈である。
イ. 中国及び台湾との接近性
(1)中国の「三次元の戦略国境の追求」構想(注1-6)の直接的影響を受けるおそれがある。
(2)中台紛争が生起した場合、大量の難民が来島する外、沖縄本島以南の各島嶼は軍事的影響を受けやすく、ま
た上記のシーレーンの利用は困難となる。更に、周辺事態法の発動に伴い米軍に対する支援活動の拠点としての
役割が増大する。
(3)大陸棚や尖閣諸島を巡る係争(注1-7)は、漁業、海底資源あるいはシーレーン利用などわが国の安全保障上
多大の影響を及ぼし、また各島嶼の生活基盤を脅かすことになる。
ウ. 多数の活火山離島の存在
西日本火山帯の琉球弧であり、火山フロントは霧島火山から南西側に延び沖縄鳥島付近まで存在している。フロ
ント直下の深発地震面の深さは約100kmである。
(注1-6)中国の「三次元の戦略国境の追求」構想 ※(7)
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図1-2 中国が主張する第1及び第2島嶼線
『解放軍報』に掲載された論文によると、「戦略国境は国家と民族の生存空間であり、戦略国境を追求することは
国家の安全と発展を保証する上で極めて重要である。また、国境は総合的国力の変化にともない戦略的国境線の
範囲は変動するものであり、陸地、海洋、宇宙空間から深海に至るこれら三次元的空間は安全空間、生存空間、科
学技術空間、経済活動空間として中国の安全と順調な発展を保証する戦略的国境の広がりを示すもので、国益は
その拡張された勢力圏の前線まで拡大されており、戦略的には国境線の拡大を意味する」として図1-2のような島
嶼線を表明した。すなわち、第1島嶼線は中国の近海の外縁、第2島嶼線は中国軍が外洋に進出する場合の目標線
として設定した。
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※(7)「解放軍報」(1987年4月3日)に掲載された徐光裕による「合理的な三次元的戦略国境を追求する」の論文を
紹介した(財)平和・安全保障研究所の研究資料(2001年3月)から抜粋
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