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SPACE HARRIER
for GBA
THQ

(画像は取扱説明書)
 携帯マシンシェアのトップを独占し、SPの登場でアダルツのハートをゲッツしつつも大人を満足させるソフトがいまいち揃わないGBA。しかしそんな風潮は狭い島国日本だけの話。大国アメリカでは大のオトナがヒィヒィ言うようなソフトが目白押し!不況の影響で保守的になってしまった日本では考えられない、なんとも羨ましい状況なわけです。
 自由の国アメリカ発!ヤツらはゲーム業界の世界遺産的名作「スペースハリアー」までGBAに移植しちゃいました。大きいことはいいことだ的思想のアメリカとは思えない「スペハリ」のミニマム化。果たしてその出来やいかに。 
・全体的に
 
よく出来てます。さすがは32ビット携帯機。
 ちょっとやった感じでは「すげぇ、ソックリじゃん!」とうっかり思っちゃうこと間違いありません。すごい時代になったもんです。Yシャツのポケットに「スペハリ」。スゲェ。
 
 しかし、真剣にプレイしてゆくと致命的な違和感がぞくぞく現れてゆくという恐ろしい出来。あくまで携帯マシンなので仕方ないんですが、ここは心を鬼にしてヤリ玉にあげて行きたいと思います。
  順を追って見ていきましょう。
 
・グラフィック
  これはもうパッと見クリソツ。さすがです。はっきり言って携帯マシンでここまで再現できれば言うことないですね。あの市松模様が小さい液晶画面に広がる様は感動すら覚えます。
 背景グラフィックや市松模様の色パターンなどは各ステージとも忠実再現。いい仕事っぷりを見せてくれます(ただ市松のドットは若干荒い)。
 また、解像度の違いがありながらも、キャラクターのドット絵やカラーも忠実に再現されており、書き直されているということはないようです。グラフィック完成度の高さが「パッと見ソックリ」と思わせるのに十分な成果を出してます。
 ちなみにキャラクターの影は半透明ではなく、黒一色で表現。大きさもかなり小さめになっています。ハリアー自身の影は表示範囲の関係か、ほんのちょっとしか表示されてません。
取扱説明書より。なぜ日本で出ないのか。
・キャラの大きさ
 キャラの大きさは全体的に忠実。一部のキャラ(ムカデンスや浮遊石など)などはACと全く変わらない印象を受ける所にこだわりを感じます。
 
 しかしながら、一部のキャラがなぜか妙に小さくなってしまってます
 ビンズビーンなんか豆粒のように小さくて、出現しても気づかれないんじゃないかと思うほど。しかもアニメもしなければ音もないというかわいそうなビンズビーン。これなら大きさという点(だけ)でマークIII版ビンズの勝ち。
 小ささが特に目立つキャラ(オブジェ)は、ビンズビーンキノコ正面向きJETなど
 さらに障害物である柱系も、3面以降に初登場する種類のものは全て小さく、画面上部にいれば当たりません
 
 ドラゴン系のキャラ(スケイラやユーライア)も小さくチマチマした感じの動きに。AC版のように大きくてダイナミックな様相は期待してはいけません。スケイラはまさにPCエンジン版を思わせる動き(&大きさ)。

  キャラのアニメもほとんどナシ!キャラでアニメしてるのは、敵弾とトモス、ローリーズ、4面体くらいじゃないでしょうか。
 ドムも正面向いてしゃがんでるパターンのみだし。JETも正面向いたまま空へ消えて行きます(しかも小さい)。
 ドムに関してはムゴイです。AC版では動きによって色が違いましたが、GBA版では全部青一色9面ボスのドムでさえ、青いままです。
 カードリッジのくせに「アウトラン」や「アフターバーナー」までパックにしてしまったため容量が足りなかったんでしょうか。
・動き
 キャラ単位の拡大・縮小を駆使していると思われますが、見てるぶんには微妙。でもそれなりにスムーズなので、8ビット、16ビット時代のスペハリから比べたら雲泥くらいイイ感じ。画面自体が小さいのであまり拡大縮小が気になるもんでもないですけど。
 
描画スピードは速くてスムーズ処理落ちもないです。多分30フレームくらいで描かれていると思います。プレイしてて特にストレスもなく、普通にスペハリってるトコはなかなかスゴイです。
アメリカっぽいイラスト(説明書)。いつかこんな感じのハリアーが出そう。
・ゲーム性
  ゲーム性はもちろん基本的に忠実。しかし違和感もチラホラ。
 全体的にスピードが速く、せわしない感じがします。敵の動きや弾も速く、「今よけただろ〜」的な死に方もあり。ちょっとストレス。まぁ、ハリアーの動きもAC同様速いので、マークIII版やFC版ほどのイライラはないですが。8面以降に登場する「最初から一番手前まで来るトモス」の弾速すぎ!死ぬって。
 
  あと細かいとこでは、地面を走ってても木や草などの障害物がガンガン破壊できるので、走ってる時の怖さみたいのはかなりなくなってます。この辺の感覚はX68k版に近いです。
・音関係
  酷いのは音関係。
 全体的にBGMも効果音も似てて素晴らしい(特に効果音)のですが、曲のカット&変更という悲しすぎる現象が起こってます。
  まず3面のゴダーニではシュラの曲が流れます。ゴダーニの曲はカットされたかと思いきや、メカ系のボス曲がゴダーニの曲に。つまりはメカ系の曲がカットされたということです。
 さらに16面ボス「スタンレイ」の曲もカットされてます。バルダの曲が鳴るのはマヌケ。
 こういった曲のカット&変更は、家庭用移植ではファミコン版のみにしか見られない現象でしたので、32ビットマシンであるGBAでこれはガックリ君。

 さらにムゴイのは、メインテーマ曲に「ジャジャジャジャン・・・」といういわゆる「屋根付きステージ部分」が存在しないということ。では実際の屋根付きステージや10面などではどうなるかというと、何事もなかったかのように普通のBGMが流れます。これにはホントがっかりでしょ。
 さらに、ステージ開始時はどこのステージでもBGMが最初から流れます。考えてみたらAC版でBGMが最初から流れるステージってほとんどなかったのに。

 あと、ボスの吐く弾の音が、火の玉だろうがメカ弾だろうが「シャッシャッ」というハリアーの弾の発射音を少しうるさくしたような音に変更されてます。通常の敵ではきちっとAC同様の効果音が鳴るのに、これは全く必要の感じない変更です。
 ※ただし、スケイラ、アイダ他一部のボスは忠実な音。
・演出とか
 意外と気になるのが演出関連。
 まず一番気になったのが、どのステージもスクロールスピードが変わらないこと。
 これは大幅なクオリティダウンでしょ。3面や13面のように普通のステージでスピードが速いというのがカットされているだけならともかく(それもイヤだけど)、9面や14面のように屋根付き面でスクロールが速くならないのは寂しすぎ。ゲーム性変わる。まぁビンズが小さい時点で既にゲーム性変わってますが。
 あと2面のラストあたりでスピードが速くなる演出なども当然カットされています。
・羅列
 さらにちょっと「変」と思ったトコロを羅列!

「2面のバーバリアンが一発で死なない」
「シュラ系のボスが、画面手前まで近づいてきても弾を吐き続ける」
「ステージの切り替わり時、背景がパッと変わる」
「6面の空中都市のループ間隔が狭く、画面に2つ表示されてしまう」
「7面の骨が壊せない(跳ね返っちゃう)」
「さらにその骨に当たると死ぬ(AC版はコケるだけ)」
「4面体の出現パターンがオリジナル」
「ミスした時『READY?うんぬん』という文章が出ない」

「ボーナスステージの視点の高さが勝手に上下する」
「ユーライアの関節が少なすぎ(4つ)」
「ユーライアから降りる処理が変(一瞬で降りちゃう)」

「ボストモスとオクトパスの動きが同じ。しかもおかしい」
「14面バーバリアンの周りを回っているのがキノコになってる(意味不明)」
「スタンレイが登場した瞬間に破壊できてしまう(破壊しても普通に攻撃は続く)」
「ウイウイジャンボが超能力攻撃をしてこない」
「18面開始時に一瞬通常のBGMが鳴ってしまう」

「最後のハリアーが死ぬと、死んだ瞬間にコンティニュー画面になる(マヌケ)」

 あとタイトル画面のBGMがメインテーマってのもなんかおかしい。マークIIIなどで使ってたあのタイトルBGMを入れるか、容量がないならとくにBGMはなくてもいいと思うんですが。てか、ない方がいい。
 それと、オプション関係ですが、操縦桿の上下設定サウンド(効果音テスト)BGM(または効果音)ありなし設定くらいしかなく、難易度、クレジットの設定などは不可能です。ゲーム中は否応なく1面のみ残タイム設定です。
・ミニスペハリ
 色々残念なところもありますが、いかんせんこれは携帯機の「スペハリ」。そう考えると出色の出来ではあります。他の体感作品とのパックによる容量不足がなければBGMやアニメーションなども再現できたかなぁと思うと少し残念ですが。

 しかし、ポケットからいつでも取り出せて、しかもAC版にかなりソックリな出来の「スペハリ」なんて本当に夢のようなソフトです。日本でもこういうのこそ発売すべきだと思いますね。
SEGA ARCADE GELLERY
THQ(日本未発売)
2003年5月21日発売

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