SPACE HARRIER for X68000 電波新聞社 (画像は取扱説明書) |
・最高峰(当時)マシンでついに登場!
まだ8ビットマシンの(恐怖の)移植版しか登場していなかった当時、最高のアーケード移植マシンとして名を馳せた(その代わり超高価)X68000についに移植された名作「スペハリ」。最高級の力を駆使したその出来は?
・偉大な力を持ってしても…
画面を見ると「さすがX68k!」って感じです。アーケード版同様美しいグラデーションで表現された空、きめ細かいデザインのキャラクター、地平線の風景など、家庭用ゲーム機との格の差を思い知らされます。はっきりいって、X68k買っちゃいます。
さすがに発売された当初は大きな衝撃をあたえました。贅沢な話ですが、やはりアーケード版と比べると、う〜ん。
・気になる点
アーケードとの違いについてはたくさんありすぎます。完全移植というより、「似せた移植」と言わざるを得ません。やはりアーケード版「スペハリ」は偉大なのです。
まず見た目で一番目につくのは地面の市松模様が再現されていない所でしょう。これは横や縦に移動する処理などが難しかったからでしょうか。
地平線の背景が再現されているのは非常に素晴らしいのですが、アーケード版はさらに2重スクロールしていました。残念ながらそこまでは再現できなかったようです。
X68k版のキャラクターはスプライトで表現されていると思われます。拡大縮小機能は無い為、書き換えで処理しているのでしょう。結構高速ですが、拡大(縮小)しながらアニメーションが難しいので、後ろ向きドムがいなかったり、爆発パターンが非常に寂しかったりします。特に爆発はボテッと落ちてすぐ消えてしまうので、爽快感が半減しています。
X68kのスプライト機能は当時にしてはかなり強力でしたが、アーケード版と比べるとかなり制限が厳しかった為、若干キャラクターが小さいです。しかもかなり処理落ちが激しい!ドラゴン系のキャラが迫ってきたときなどは大幅にカクカクしてしまいます。ユーライアに乗るボーナスステージは、ハリアー達がかなりプレーヤーと距離を持ってしまいます。小さい!遅い!
取扱説明書より。各キャラクターもよく再現されています |
・追記
さて、ここでワイアットさん情報提供による追記です。
>X68k版のキャラクターはスプライトで表現されていると思われます。
自分も最初はそう思っていました。が、どうも違うようです。
まずX68Kの画面構成を説明しますと・・・
グラフィック面 ・・・・・4面
BG面 ・・・・・2面
スプライト面 ・・・・・128パターン、BG未使用時256パターン
テキスト面 ・・・・・1面
〜となってまして、スペハリではど〜ゆ〜ふ〜に使ってるかといいますとこちらで調べてみた結果・・・
グラフィック面1 ・・・・各種障害物、敵キャラクターの表示や移動の処理
グラフィック面2 ・・・・背景(地面のスクロール、遠景の表示等)
グラフィック面3,4・・未使用
BG面1 ・・・・残機、スコア等の表示
BG面2 ・・・・未使用
スプライト面 ・・・・ハリアー、敵弾、ハリアーの弾等の表示
テキスト面 ・・・・未使用
ということなんです。
どうやらあの障害物や画面上を動き回る敵キャラは、グラフィック面1枚で表現されていたようです。〜ということは・・・
>X68kのスプライト機能は当時にしてはかなり強力でしたが、アーケード版と比べるとかなり制限が厳しかった為、若干キャラクターが小さいです。
〜とありますがキャラクターをスプライトで処理していない以上キャラクターが小さいのは
1、デカキャラによるメモリの消費量を極力押さえるため。
2、描画速度を可能な限り高速にするため。
のどちらかのほうが可能性が高いと思われます。
非常にありがたい情報です〜!
まさかスプライトを使っていないなんて夢にも思いませんでした。家庭用マシンではグラフィック面というのはあまりなじみがないような気がしますが、まるでスプライトを動かしているかのような処理ですね。やはりスプライトとは違う性質のものなのでしょうか。
ワイアットさんありがとうございました〜!
・こまかいモロモロ
あと気になる点を列挙すると…
「キャラクターに影がない」
「ボーナスステージで地平線が上下しない(低い視点に固定されてしまう)」
「ボーナスステージで破壊できるオブジェクトが1種類」
「ビンズビーンのスピードが妙に速い」
「14面の地面(と天井)の色が変化しない」
「障害物や敵の当たり判定が大きく、破壊しやすい」
「双頭の龍など、弱点が2つあるキャラでダメージの色分けがない」
「ステージ間に読み込みがある」
「6面の空中都市がわけのわからない物体に変更されている」
「ネームエントリーがない」
「ウイウイジャンボ(17面ボス)のバリアを張った状態がカットされていて、しかも飛ばしてくる岩が1種類」
「アーケード版は60Fps、68版は30Fps」
「連射が途切れない」
「ステージが変わるとき遠景が地平線から浮き上がってこない(画面の上から書き換えみたいになっている)」
「地上物を地面を走りながら破壊可能(アーケード版は少し浮かないと破壊しにくい)」
「ステージ7のボスTETRAの出現パターンが違う(アーケード版は遠くから飛んでくるけど68版はなぜか手前から出現します)」
「その場コンティニューができない」
「ボーナスステージで自機の移動がミョ−な感じに制限されてしまう」
「ハリアーの弾には若干ホーミング機能があり、ロックオンしたときの効果音があるはずが・・・ない」
(黄文字はワイアットさんによる情報提供)
ちょっと見ても結構ありますね。ちなみにタイトル画面は青グラデーションの上にマンモスとドムが並んでいるだけになりました。
・X68k版の特徴!
逆にX68k版ならでは!の要素もあります。起動画面ではマークIII版のタイトル画面で流れたBGMが流れます(FMアレンジ!)。そして18面のラストには「ハヤオー(マークIII版オリジナルボス)」が登場!します。ってなんかマークIII版に思い入れでもあるんでしょうか。ちなみに「ハヤオー」との戦闘は凄まじい処理落ちの中で行われます。そこまでしても出したかったんです、ハヤオーを!なぜか!
エンディングもオリジナルのものが用意されていて、キャラクター紹介などがありいい感じです。エンディングのオリジナルBGM「OVER THE HORIZON」はハリアーっぽさを押さえていてなかなか聞き応えがあります。
「スペハリ」の移植で重要なのは、スピード感、空間、空気感などの再現です。X68k版はグラフィックこそ美しく、似ていたものの、その重要な部分が再現しきれませんでした。仕方ありません。いくらX68kが高性能だったとはいえ、アーケード版の性能はその数年先を行っていたのですから。
電波新聞社
発売日未確認 6800円