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SAMURAI SPIRITS
for MEGADRIVE
1994 SEGA
 SFC版の後を追うようにして発売されたメガドライブ版。通好みのマシンMDではなんとセガみずからのブランドで発売されました。ブランド名ではSFC版(タカラ)に完全勝利したと言えるでしょう。ただしMD版の移植開発は「ザウルス」の手によるものです。
 ライバル機SFC版との真剣勝負、果たして勝敗はいかに?
キャラが大きく、迫力あり!
・対抗意識!
 まず見た目で大きなポイントとしては「キャラがでかい」という事でしょう。明らかにSFC版に対抗してます。アーケード版の最大拡大時とほぼ同じ大きさを実現していて、SFC版の画面を見たあとでは確かにインパクトがあります。
 まぁ、対抗意識と言っても発売時期を考えると開発期間的にSFCを意識する余裕があったかどうかは微妙なので、結果として無意識にSFC版に対抗した形なのかも。運命と言うか宿命というか。
 SFC版と同じく拡大・縮小はカットされているので、常にあの大きさです。迫力はありますが、アーケードやSFC版のような広い間合いがとれないので、若干バランスも変わったと言えるでしょう。処理落ちもわりと起きてしまいます。
・倫理的勝利
血もちゃんと赤く、アーケードライク
 他にSFC版に勝っていると言える所を挙げてみましょう。
 まず「剣士が死ぬ」というところが大きいです。不殺のオレンジ血だった良い子のSFC版と違って、ちゃんとコロシます。血はもちろん赤いし、真っ二つになるし(小判も撒き散らす)、血しぶきもあげます。ただし血しぶきは無音です。アーケードの「プシャァァァ」という音はなくて残念。
 細かいところではつばぜり合いの時に指連打マークが出るようになりました。あと勝負が決まった時、黒子は花吹雪こそ散らさないものの、おじぎはします(SFC版はなにもしない)。
 そしてSFCではかなり不満のあった演舞シーンでは、わら人形の出現場所に矢印が出る上、後半ではちゃんと上からも出現。さらに成功時には黒子が立ち上がって拍手します(ただし無音)。
・敗北・・・
 電源を入れ、例のOPが始まります。黒バックに桜の花びらと文字のスクロールだけ、つまり心頭滅却し灯篭を斬る覇王丸のビジュアルは一切ありません。OPがかなり忠実だったSFC版にいきなり水をあけられます。
 ハードの性能から、基本的にはSFC版に劣った出来ではありますが、目立って「これは負けた〜!」という所と言えば、キャラが減ったという点に尽きます。アースクエイクがいません。デカイからでしょう。容量やスプライトの関係で削除となったようです。気がつかなかったとか言わないようにしましょう。容量でいうとSFC版32Mに対してMD版は24MのROMで若干控えめ。その分価格は約2000円安いですが。
 それとすごく目立つところで勝負がついたあとのデモ(ビジュアルイラストとセリフ)がなくなり、通常の勝ちポーズにセリフが出るだけという淡白なものになってしまいました(しかも無音)。なので黒子が死体を運ぶトコロなどは見られません。
 キャラパターンも少なくぎこちないです。技のモーションや勝ちポーズなどかなり使いまわしが駆使されています。中技と大技のモーションが同じなんてザラです。半蔵で言えば、ジャンプ大斬りが振り下ろすモーションから横に斬るモーションになってしまった為、性質自体が変わってしまって違和感があります。ほとんどのキャラがこのように技自体が変わってしまっていて、ゲーム全体に違和感を作っていると言えます(覇王丸の大斬りすら変わっている!)。
 また、忍者の消える煙のアニメなども省略されて、ぱっと消えてしまいます。
(左)いないのはデブですね  (右)勝利後のデモが淡白に!
 拡大縮小機能がないので、天草が登場する中間デモで天草の影が縦拡大で現れるシーンはスクロールで表現されています。
・もろもろ
 アーケード版の背景のグラフィックデータをそのまま持ってきたような美しさのあったSFC版と違い、MD版の背景はハードに合わせて描き起こされたような感じです。明らかに省略して描かれた部分もあったりして寂しいですね。 それと常に拡大時のグラフィックなので、背景グラフィックを広く見渡すことは出来ません。つまりアーケードでいう拡大時の範囲しかグラフィックが描かれていないわけですね。
 グラフィックに関して細かいところでは幻庵の吐く毒霧の色が赤系になっていたり(パレットが爆発グラフィックと共通なのか)、右京のステージの花火があがらなかったりなどの違いがあります。
 その他の演出では、覇王丸ステージで波が打ちつけられなかったり、王虎ステージで雨が降っていなかったりなどの削除があります。逆にナコルルステージではきちんと雪が降ります。あと、背景の木や樽などもきちんと斬れます
・操作が・・・
 アーケード版はご存知のとおり4ボタンでした。そしてメガドラはデフォルトで3ボタン。足りませんね。AC版でさえ強攻撃は同時押しで処理されているのに、さらにボタンの少ないMDではどうするのか。
 答えは「蹴り攻撃を全部同時押しで処理」です。まずA、B、Cがそれぞれ弱斬り、中斬り、強斬りになっています。そして蹴り攻撃は弱蹴りがA+B、中蹴りがB+C、強蹴りに至ってはA+Cです。押せないってば。まともに使う人はいるのでしょうか。ただでさえあまり使わない「蹴り」ですが、これによりさらに使われなかったことでしょう。逆に使わないからそうしたんでしょうがね。あ、もちろんキー設定はできますよ。
・音関係
 このMD版、音関係では書くべき事が多いです。まずBGMですが、かなりショボくなっています。悲惨とも言えます。ある程度音質でカバーできたSFC版とは違い、ツライ状況となっています。三味線バリバリのカッコイイBGMが・・・。あと曲が1ラウンドごとに仕切り直されるのもちょっと違和感があります。
演出もかなりカットされ、見た目に反して厳しい出来
 BGMに使われていたボイス(「イヨォォー」やお経、遠吠えなど)や効果音(波や雷の音など)は一切なくなっています。仕方ないこととは言え、サムスピの特徴的な部分だっただけに残念ですね。
 ボイスですが、掛け声では「いざ尋常に」「勝負!」「勝負あり!」「お見事!」などはちゃんと言います。逆に「〜本目」や勝利者の名前などは言いません。ゲーム中にキャラの名前がボイスで呼ばれることはないです。
 ボイスについてもう一つ、勝負が決まった時の断末魔の叫びがないです。これも寂しい!タムタムの「ネタリロクワカケ〜」ももちろんありません。
 続いて効果音。斬った時の「ズバッ」という音や、刀のはじく「カキィィン」という音はとても良く似ています。拍手!
 1本取った瞬間や勝負が決まった瞬間、アーケード版では「ボン!」という爆発音が鳴りました。MD版ではなぜか「ボボボン!」になっています。特徴的とは言え、意味不明です。あとちなみにボーナスステージではSFC版同様わら人形の「ガコン!」という音はしません
 対戦では5対5のチームバトルができるなどの要素もありますが、いたって工夫のない移植ではあります。ハード的な問題から移植度はかなり厳しいだけに、サービス精神は欲しかったところです。
 この作品、なかなか厳しい評価がされています。簡単に表現してしまえば、「絵がヘボくて音がショボく、バランスも変わってしまったサムスピ」ですから。SFC版との真剣勝負、素直に一本負けといったところでしょうか。それにしてもSFCやMDと同じ16ビットマシンながら、NEOGEOは偉大でした。
セガ
1994年11月18日発売 8800円

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