SAMURAI SPIRITS
for PlayStasion
1998 SNK
メガドラ、スーファミ、3DOと移植されてきたものの、いまいち「移植版が少ない」という印象を受けるのはサターンで出てないからでしょうか。アーケードの移植ならまかせろ(2D限定)!というサターンを差し置いてなんとプレステで出ちゃったんですよね。しかも、他の家庭用マシンには移植されていない「真サムライスピリッツ」とのカップリング!どうなんでしょうこの判断。なぜサターンで出ないのか納得できなかったです当時。
今回は「サムスピ」の部分にスポットを当ててみましょう。2D移植は弱かったPS、とりわけ格闘に関しては主にロード問題、メモリ問題が大きな障害となっていたわけですが、その辺はいかがなもんでしょうか。
・良く出来てる!
さすが32ビット国民機です。意外にも(失礼)ほぼソックリな出来。実際サムスピ移植の最後を飾っただけに、「これ以上のモノはもう作れないぜ」とばかりの気迫を感じます。グラフィック、動き、キャラパターンとも、違いは見られないほどの移植度です。細かいキャラパターンなど「これは違うんじゃ?」というのがありましたら、逆に情報が欲しいです。
血がオレンジな上拡大縮小が削られたSFC版、アース(略)が削られたMD版、動きがぎこちなかった3DO版など歴代移植版の無念を晴らすべく、良い子と良い大人のプレステ版では全てのギミックを忠実に再現しました。ゲーム部分に関してはアーケードと一緒と考えてもらって良いと思います。
うん、良く出来てます。見た目、感覚などは完璧と言えるでしょう。 |
・恐怖のロード時間
でも、やっぱり限界があるようで。っていうか、やっぱりロードが大問題を引き起こしてます。痛々しいほどのロードの連続、下にまとめてみました。
剣士選択画面→ 5秒(専用画面アリ) → 出会いのセリフ→ 3秒(NOW LOADING画面) → 剣士の名前紹介→3秒(画面フリーズ・無音) → 戦闘画面・いざ尋常に!→ 2秒(フリーズ・BGM途切れる) → 勝負! 〜戦闘中〜 勝負アリ → 3秒(NOW LOADINGの文字) → 勝利ビジュアル
むごすぎ!一回のロード時間はそれほど長くないですが、こうたたみかけられるとむしろハラ立ちます。っていうか、「いざ尋常に!」のあとにBGMが途切れてまで起こる2秒のロードはなんだっ!「いざ尋常に!」っていうセリフの間(2秒くらい)に中途半端にBGM流すくらいならそこも無音にして、ロード終わってからBGM鳴り出したほうがむしろ自然でしょう。
ロードの多さが致命的。仕方ないんだろうが。
まぁ、移植人たちは「長いロードを一回入れる」か、「短いロードをたくさん入れるか」で相当悩んだのだと思われます。どう転んでも文句言われるのが目に見えている不毛な思案ですが、同情しないでもないですね。っていうかだからサターン(4M)で出せばよかったのに!
・他にも
他に気になった点を少々。
32ビット移植関係では意外と目(耳)に付く音関係の違和感です。
まず、とにかくSEがうるせえ!しかもクリアーな音質ではないので耳障りです。小判のはねる音や得点計算の音などはうるさすぎ?それでいて勝負が決まった時の「ボン!」というSEに迫力が求められるのは明白であるにも関わらず、音が小さい上に他の効果音にかき消され気味。ていうかほとんど消されます。投げのように他の効果音が鳴らない状態で勝負が決まった時のみ聞こえるって感じ。「勝負が決まった時のSE」って個人的には好きなので頑張って欲しいんだけど、他のSNK格闘移植もなぜかこの部分がアマイものが多いんですよね。
グラフィック面で気になるところはほぼないのですが、1つだけ、「勝負あり!」の文字が表示される時間がアーケード版より短いです。一瞬で消えるため、爽快感が減少気味。
・BGM
あと、ロード問題並にガックリしたことがもう一点。それはBGMがアレンジであるということ。っていうか、他の作品にも言えますが、このグラフィックに生音(っぽいもの)の演奏なんていりますか?むしろ違和感あるような。なんかゲームとBGMが調和してないような本末転倒さを感じてしまうですよ。まぁ、好きずきでしょうけど。PCMの方が雰囲気に合ってるよな〜。アレンジも聴く分には素晴らしいんですが。
・オリジナル要素は?
ここでPS版のモードの数々を紹介しましょう。。
STORY MODE | 普通の1Pゲームです。コンティニューやセーブもできます。 |
VS MODE | 2P対戦モード。キャラ選択に「ランダム」もある。 キャラを選んだら一回のロードで戦闘へ。「いざ尋常に!」のセリフもカットして悪夢の2秒読み込みもなくした。 |
TRANING MODE | トレーニング。カウンターやコンビネーションのお手本が見られたりしますが、肝心のトレーニングに自由度なさすぎ。 このモードの時だけ連続技表示「〜斬」が見れる。「1」でこれが見られるのは新鮮かも。 |
CLASSMATCH MODE | いわゆるサバイバル。体力がなくなるまでに何人斬り捨てられるか。 |
OPTION | 内容は下記。 |
MUSIC SERECT | 一瞬「PCM音源版が選べるのか!?」と思いますが、いわゆるサウンドテストです。各キャラクターの曲や効果音が聴けます。それぞれのキャラのイラスト付きです。珍しくもなんともないイラストなので期待しないように。 |
MEMORY CARD | セーブ&ロードです。ネオジオのメモカが懐かしいですねえ。 |
続いてオプションの中身です。
LEVEL | ストーリーモードでのCPUの強さを8段階に調節できます。当然あるものですが、説明書の記述がちょっとバカっぽいです。 |
PLAY TIME | 対戦時間を「33・66・99・∞」から選べます。ゾロ目に何か意味があるんでしょうか。 |
KEY CONFIGURATION | ただのキーコンフィグです。同時押しボタンがあるのがいいですね。 |
LR CONTROL | 必殺技の簡易入力を使用するかどうか選ぶことができます。 |
POWERMAX | プレイヤーキャラの怒りを常に最大にするかどうかの選択。(ストーリーモード以外) |
DEMO CUT | ストーリーモードのデモ画面カット。ロードは致命的なので。でもカットしたらそれはそれで寂しい気も。 |
まぁ、普通に揃ってるという感じですね。2P対戦はロード時間がわずらわしくないようにという制作者の気持ちを感じました。ありがとう!
※追記
ここで追記です。
このプレステ版、誰でもいいので一回ゲームクリアしてからOPTION選択時にL1L2R1R2を同時に押しながらスタートボタンで隠しオプション画面に入ることができます。
ここでは「NOWAIT」「RENZAN」「ENBUCUT」「STAFFROLL」「TINYSEL」「BGM」の6つの項目があり、「BGM」以外はそれぞれON・OFFスイッチになってます。
驚くべきは「BGM」。ここではなんとBGMをAC版と同様のPCMバージョンに変更できます。上で書いたようにこのPS版ではBGMがアレンジであることがHED的には残念でならなかったのですが、そんな不満も一気に解消!嬉しいサービスです。AC版にはなかった「連斬」表示も出せます。
この隠しオプション、効果の説明が全くないです。上記のように、すぐに効果がわかるものはいいんですが、「NOWAIT」と「TINYSEL」の二つに関してはよくわかりません。「NOWAIT」は良くある「処理落ちナシ」?とも思いましたが、もともとなくしてどうなるような処理落ちはないし、かといって「ロード時間ナシ」には当然ならないし・・・。「TINYSEL」に至っては全く不明。どなたか情報を求む!!
・最後のサムスピ
この作品で一応サムスピ移植には決着がつきました。SNKもうないし。ある意味感慨深い作品。全体的には忠実に移植されており、ファン垂涎の一品でしょう。ただ、出荷数が少なかったのか入手が難しい面もあります。
「剣客指南パック」と銘打たれている事から、「斬九郎」や「天草光臨」の練習版みたいなノリもうかがわせますね。しかし、ファンにとっては「1」(や「真」)が一番好きという人が多いのも周知の事実なわけで、確信犯的移植作品でしょうね。サターンで出なかったけど。
SNK
1998年3月26日発売 5800円