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OUTRUN
for MEGADRIVE
1991 SEGA
  不本意なマークIII版から4年、メガドライブにて雪辱は果たせるんでしょうか。セガの代表的名作は、もちろんブラックボディの16BITにもやってきました。
 当時はこの完成度以上の期待がかけられたのでしょうが、今冷静に見てみるとこれ、よく出来てます!悲惨だったマークIII版の汚名返上にかなり力がはいったのでしょう。移植開発は「シムス」が担当したようですが、アーケードの雰囲気を非常によく再現しているといえます。
・完成度は高い!
名所「ビッグゲート」もこの通り!
 まずグラフィック!奇麗ですね!色使いがちょっと濃い感じでしょうか(自車を見るとよくわかりますね)。MDゲームの色使いはおおにして「濃い」ですよね〜。
 各ステージの特徴は忠実に再現されていて、アーケードライクなドライブが楽しめます。砂浜による波も、ウインドサーフィンも、砂漠の砂も花畑もしっかり再現!少し隙間があるものの「ビッグゲート」も思い切りくぐれますよ!スプライトのチラつきもだいぶ抑えられているのではないでしょうか。
 ステージ最後の分かれ道も点滅することなく再現されていますし、分かれ道のあと次のステージに入る時にもう一つの道が現れ合流する演出まで忠実です。拍手!
 アップダウンもなかなか忠実だし、アザーカーもしっかり斜めパターン(通り過ぎる位置によって車の側面の見え方が変わる)まで再現されています。通り過ぎる音までしっかり鳴るのにはちょっとビックリしました(PCエンジン版は鳴らなかった)。
 BGMもよくできています。もちろん本家と比べればかなり聞き劣りしますが、「再現すべき音」がよくわかってるとてもいい仕事をしています。
・MDならでは!
 単なる移植にとどまらず、MDならではの付加価値もついてます。従来のBGM3曲に加え、「STEP ON BEAT」というオリジナル曲が登場!曲はありきたりな感じでイマイチ…。まぁ、もとの3曲の完成度が高すぎましたからねぇ。
コースは国内版に準じています
 曲の追加には賛否あるでしょう。超完全そのまんま移植なら蛇足ですが、これくらいの移植度ならHED的には新曲があってもジャマには思いません。
 あと、細かい変更点として、ネームエントリーで記入できる文字数が6文字になっています(アーケード版は3文字)。「ENDING」と入力すると、クリアしなくてもスタッフロールが見れます。
・残念な点
 全体的によくまとまった移植ですが、それだけに残念な所も多くあります。
 まず、一番目につくのが「背景のスクロールスピードが異様に速い」。背景とは画面の半分より上、つまり空などが描かれている部分です。カーブなどで左右にスクロールする時のスピードが速くて目障りです。
 空などはゆっくり動いてダイナミックさを表現して欲しいところですが、なぜなんでしょう。しかもスムーズにスクロールしないため、すごく「変」です。一応手前の山などと分かれて2重スクロールしていますが、さらに速くガタガタなので全くリアリティがないです。

ゴールの横断幕がなぜかヘボい
 それとやはり残念なのは拡大縮小処理ができないということでしょう。拡大パターンも多くはないので「スムーズに駆け抜ける快感」は薄れてしまっています。 グラフィックはなかなか美しいものの、動きのガクガクさがかなりマイナスとなっています。前述の背景の必要以上のガクガクさも手伝って、全体的にカクカクした印象を受けます。ただしアップダウンはなかなか良いです。
 ゲームを始めて車が走り出すと一回空が暗転し、入道雲が現れます。これはちょっと不自然です。ステージが変わるときも空の暗転は起こります。
 オブジェクトの長い影が再現されていないため(アーケード版は半透明で表現されていた)、アウトランの特徴だった「太陽の光を感じる」リアルさがなくなっています。
 あと、アーケードでは車が走っているときに走行音(ブゥーーンっていうやつ)が常に鳴っていましたが、それがないので非常に静かな走行です。これはアザーカーの音とは逆に、PCエンジン版では鳴っていました。
 ハードの性能上仕方ない残念な点が多いものの、総合的にはなかなかよくできているメガドライブ版「アウトラン」。偉大すぎたオリジナルに果敢に挑んだ意欲作です。
セガ
1991年8月9日発売 7000円

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