remove
powerd by nog twitter
FANTASY ZONE
for PlayStation2
2003 3D-AGES
 
 薄暗いゲーセンで「やっぱゲーセン版スゴすぎだわ」と、家庭用の無力さに打ちひしがれていた頃からはや17年ですか。そりゃ年も取るですよね。ACゲームが光り輝いていた頃から時代は進み、数々のツラい移植を繰り返してきた名作「ファンタジーゾーン」もセガサターン版の完全なる移植によって家庭用発売の歴史に幕を下ろしたかに見えました。(実際はその後Win版も出ましたが)
 21世紀も3年目となった2003年に、まさかまた新発売の「ファンタジーゾーン」を購入する羽目になるとは夢にも思わなかったですね〜。それも往年のライバル機PS2で。世の中わからないものです。
・SEGAAGES2500
 セガの名作を低価格で手に入れよう!という嬉しいけど経営的に超不安なシリーズ「SEGA−AGES2500」。PS2使って昔のまんまじゃ今の時代では納得しないだろうからリメイクで!という姿勢に賛否両論ありましたが、昔のままなら完全移植が既にされているものはそれをやればいいわけで、単純に何かしらリメイクされてた方が楽しいっつーもんです。
 んで、第1弾(ナンバリング的には「No.3」)から早々と登場したのがこの「ファンタジーゾーン」でした。

3Dグラフィックになって帰ってきちゃったヨ!
・ここが変わった!
 先ほど申しましたとおり、単なる移植じゃございません。2Dドット絵の極致だった原作のグラフィックをすべて3Dポリゴンで作り直してしまいました。見た目にほとんど違いが感じられないのがミソですが、実は動いても大して違いナイっす。良く見たら立体的なような気がする程度なので若干期待はずれでしょうか。もともと2重スクロールを駆使した立体的な画面が魅力的でしたが、ポリゴン使うならオブジェクトそれぞれに距離を設定するとかして目の覚めるような立体風景を期待したんですけどねぇ。2500円じゃ無理ですかね。あ、でもグラフィック自体は解像度など何気に美しくなってていい感じです。
 アーケード版からの移植部分の違い、というかグレードアップした点を、アーケード版を再現したモード「アーケードモード」で見てみると・・・
・背景が若干立体的
・背景の星が回っている。
・キャラの動きが心なしかスムーズ。
・SHOPのパーツが立体的に回っている。さらにポインタを合わせると拡大する。
・スコア表示の部分や、SHOP後のアイテム選択画面が半透明。
・爆発や煙などの処理がリアルに。
 
 と、まぁ地味にグレードアップしております。ほぼ原作と変わらないと思っていただいて結構。BGMも当時の音源のままです。 
 でもこのPS2版、良く出来てるとは思います。ファンタジーゾーンの良さを無くさず、魅力そのままに持ってきた感じで好感が持てます。立体感などはもうちょっと冒険しても良かったんじゃないかとは思いますがね。
 
・オリジナル要素
 さてさて、単にポリゴン化だけのリメイクじゃございません。
 当作品のメインモード「ノーマル」をプレイすると色々新要素が追加された「ファンタジーゾーン」が楽しめます。
 まずゲーム導入部分の演出が3Dを意識したものになります。降りてくるオパオパの周りをカメラが回りこむような感じで始まり、ゲームスタート時に2Dに落ち着きます。スタート3Dデモ(と命名)は1面以外でも各面で採用されてます。6面では雲の間から現れてくるオパオパがなかなか美しいです。
 
 次に、ボス破壊後にコインを拾う「スペシャルステージ」が追加されてます。みんな知ってるでしょうが「スペースファンタジーゾーン」を思い起こさせる完全3D面。奥から3Dボスがコインをばら撒いてくるので、拾いましょう。
 これ、正直言っていらない追加要素ですねぇ、残念ながら。テンポ崩すし、何より意味がわからない。確かに3Dになった「ファンタジーゾーン」の景色は興味深いですが、オブジェクトも少なくたいして迫力ないし。もっとファンタジーな木だの花だのが乱立してるのを駆け抜けられるなら面白いんですが・・・。
 さらに動きがせせこましくて見づらくてイマイチです。 

スペシャルステージ!某「スペース・・」みたい! スタート3Dデモ!なかなかイイんじゃない?

 さらに、「アーケードモード」と「ノーマルモード(PS2リメイク)」の細かい違いとしては・・・
 ・ボスがプルプル震えたり裏返ったりする動きが加わる。
 ・オパオパの上下の動きが立体的に傾く。
 ・SHOP突入時のカーテンの開き方が変わる。
 ・IDA2の動きに回転が加わり立体的になる。
 色々地味に変わってます。
・チャレンジモード!
 さらにオリジナルのモードとして「チャレンジモード」が追加されています。
 このモードでは好きなステージを1面単位でプレイしてお金を貯め、様々なオリジナル要素を購入してゆくと言う、ちょっぴりワクワクなモードです。購入した新要素は「ノーマル」モードに反映されるって仕組みなわけですね。
 購入できるオリジナル要素は・・・
☆オリジナルステージ!
 なんとこのPS2版「ファンタジーゾーン」では4つのオリジナルステージが追加されています。それぞれチャレンジモードで購入すると、「ノーマル」「チャレンジ」でプレイできるようになります。
 んで、出来といえば。結構頑張ってる感じです。「スーパーファンタジーゾーン」くらいのレベルには行ってる。
 でもやっぱいらないなぁというのが結局な感想。どうしても浮いちゃうんですよネ。いや、頑張ってるんですけど。オリジナルの驚異的なセンスと同列にはやっぱり並べられない。淡いパステルカラーが素敵だったオリジナルに比べ地味な色使いだし、オブジェクトのセンスも2歩くらい及ばない感じ。初めからポリゴン意識して作ってるデザインっぽいし。
 オリジナルステージは、初めのうちはもの珍しくてやるけど、だんだんいらなくなってくる。やはり原作のテンポやバランスは絶妙だった。
 あと致命的なのは、ボスが強いんですよ妙に。「ファンタジーゾーン」はボスでてこずるゲームじゃないっしょ・・・。
これがオリジナルステージだ!ボスが余計な強さをかもし出している。
☆オリジナルアイテム
 「ノーマル」や「チャレンジ」で使用できるオリジナルアイテムを購入できます。どんなのがあるかというと・・・

・バリア・・・バリア 
・イビルウィング・・・スピードがロケットエンジンより速い
・14WAYショット・・・後ろと前に7WAYが撃てる。
・ワイルドビーム・・・画面いっぱいに広がるワイドビーム。
・グラビティボムズ・・・16トンが横一列に落ちてくる。
・∞スマートボム・・・スマートボムが無限に(多分)。つうか高すぎて買う気起きない。
 
 ってかイビルウィング速過ぎ。ショットのスピードに追いつきそうな勢いなので、ショット撃ちながら追いかけて行くとバーッと連なって、処理落ちするほどです。これでクリアしたらエライよ、って事なんでしょうな。
 まぁ、オリジナルアイテムはほんとにオマケ程度に考えておきましょう。新要素としてはありがちであり、やはり珍しがって使うのは最初ダケ。
☆連射やサウンドテスト
 題名通りのものが買えます。連射はハッキリ言ってないとやる気が起きないので、最初に買いましょう。年取ったナァ。

 とまぁこんな感じです。あと「チャレンジモード」でたまに敵が赤いコインを出します。それを取得すると、ギャラリーモードでその敵キャラの3Dモデリングが閲覧できます。頑張って全キャラ入手しましょう。
 この「チャレンジモード」は一連のカプコン格闘移植のような「集めていく楽しみ」みたいなのを出そうとしてて好感が持てます。2500円だけどたくさん遊ばせるぞ!という意気込みが伝わってくるじゃあありませんか。
・ここがゲンナリ
 2500円にしてはなかなか良く出来ているPS2版「ファンタジーゾーン」。しかし、やはり長い付き合いのゲームだけあって、ちょっとした違和感にも敏感になってしまうのが人情。色々あったので、見ていきましょ。
 
@オリジナルボスで多いんですが、処理落ち気に食わないですねえ。7WAYでボスをバリバリ撃つと画面が粗くなって(PS2独特の処理落ち)フレーム数が落ちます。そんな難しい処理なんでしょうか。もとは1986年のゲームですよ?大仰なリメイクでもないんですから、処理落ちはカッコ悪いと思いますがいかがでしょ。

A誰もが「なぜ!?」と愕然としたであろう読み込み。各面ごとに読み込みが入ってしまいます。長さもちょっとしたオパオパのデモが入っちゃうくらいの長さなので、当時を知る者にはショック。そのまんま移植なら読み込みは必要なかったでしょうが、ポリゴン使うと色々あるのねぇ。

Bプレイ感覚ですが、違和感を感じる所や攻略法が通じない所があります。
 まず、上下スクロールがせわしないというか、こんな忙しい感じじゃなかったですね。せっかくの背景見にくくしてます。あとオパオパが画面端に行きすぎのような・・・。ヒヤヒヤするよ。
オリジナルアイテムがずらっと 最終面「サルファ」の色使い濃くないデスカ?
他の面は忠実なのに。
C攻略法では、まずクラブンガーのスマートボム3発法が効かなくなってます。それができては簡単になってしまうので無くしたんでしょうか。いまさらそんなミミっちい調整されるより、当時の感覚再現してくれた方が嬉しいですが。
 あと、ポッポーズのタマ切れが再現されているのは素晴らしい(てか当然)ですが、タマが切れたあと、ポッポーズ達はみな同じスピード・間隔で追いかけてきます。ポッポーズの大きさによってスピードが違うことからくる重なり現象がなぜか起こらない。さらに、最終面のポッポーズまでタマ切れしてしまいます(原作ではタマを吐きながら追いかけてきましたね)。
 ポッポーズはもう一つおかしいトコが。弾の追尾性能がおかしいです。本体の真上にいれば弾にあたらないっす(汗)。
 つらつら書いても長くなるだけなので、他のゲンナリ要素を箇条書き。

 ・レーザーが半透明(点滅処理)でイマイチ迫力がない。
 ・ボランダの弱点を破壊してもパッと消えるだけ。
 ・ボム着弾パターンが1種類(AC版は地面着弾とそれ以外の2パターン)。


 こんなとこかなぁ。あと、明らかに調整不足と思われるバグっぽいのもチラホラ。
 例えば、当たり判定が変な時があって、納得行かない死に方したり、BGMが一瞬バグったり。時間なかったとか安いからとか言い訳にならないから!
 当たり判定と言えば、ウインクロンにボム当てにくい感じがしますがいかかでしょうか。あと、コインが拾いにくいような・・・気のせい?

 細かいところを挙げればまだまだあるんでしょうが、キリがないのでこの辺で。もし「コレは書いておかなくちゃでしょ!」というのがありましたら、ご一報下さい。
 
・最後に
 原作が偉大で完成されているだけに、サービス精神の追加要素も結局は蛇足になっちゃうんですよね。もし、本気でリメイクするなら、何かを追加する方向よりも今あるものをゴージャスにする方向しかないでしょ。本文でもあるように、グラフィックをハイエンドCG並みのポリゴン処理で凄まじいファンタジー世界を展開させるとか。そっちの方が想像してワクワクするんですが。なんにせよ低価格ソフトじゃ無理か。
 でも、グラフィックは美しいし、手軽に遊べるので、まぁ、低価格の「名作文庫」的なソフトとしては及第点でしょうか。今でも美しいと感じるセンスには脱帽ですが、21世紀の「ファンタジーゾーン」まではまだ遠いかな。
3Dエイジス
2003年8月28日発売 2500円

「ファンタジーゾーン」トップへもどる