FANTAZY ZONE for FAMICOM 1987 SUNSOFT |
・ライバル機に登場!?
セガの名作「ファンタジーゾーン」が遊べるというのがマークIIIユーザーの大きな誇りであり、宝でした。しかし、その優越感は長く続かないものでした。「いっき」や「アトランチスの謎」といった微妙な名作を生み出した「サン電子」の手によって、国民機「ファミコン」に移植されてしまったのです。この後、セガの名作ソフトが次々とライバル機に移植されて行きました。セガマニアの怨嗟が渦を巻いた時代。ゲーム業界はやはり大人の世界なのです。
・マークIII版をライバル視!?
ライバル機での登場に愕然
ファミコン版のグラフィックはマークIII版のそれに比べてかなり貧弱で、オリジナルの特徴だったパステルカラーを微塵も再現していません。ファミコンの色数にしては頑張っているものの、「ファンタジー」とは遠いバタ臭い色使いとなっていました。
しかし、プレイしてみるとわかるのですが、「どうせ完全移植が夢物語なら、マークIII版で再現しきれなかった部分を優先的に再現してやろう」という意地のようなものを感じる出来になっています。
・どんな点が?
まず、背景が上下にもスクロールするようになっています。なんとなくこじんまりした印象になっていたマークIII版と違い、世界の広さを感じます。
前線基地もスプライトで表現され、生き生きと動くようになりました。さらに基地の位置を表すレーダーも再現されています。レーダーを含むスコア表示などの画面構成がアーケード版に近いですが、ウインドウが画面下部に表示されています(アーケード版は上部)。武器の使用時間は、マークIII版同様数字で表現されています。
4面ボス「クラブンガー」と6面ボス「ウインクロン」も(無理矢理)再現されています。「クラブンガー」はちらつきっぱなし、「ウインクロン」は腕3本(の上にちらつき)という、もはや執念だけの仕事ぶりとなっています。
SHOPのアイテムも大きく再現!
タイトル画面やエンディングの「THE END」もちゃんとラスターします。エンディングの方はオリジナル版にかなり似ています。
以上のようにこのFC版は、その再現性においてマークIII版を凌駕した出来といえます。しかしながらそれ以外の部分で厳しい出来となっています。
・ストレスの溜まるゲーム感覚
FCのスプライト機能を限界以上に酷使した上に、前線基地やクラブンガー(の腕)、ウインクロンを無理に再現した為、画面のちらつきはかなりのものです。
また、オパオパの発射するショットはなぜかそれほど速く連射する事ができません(っていうかしにくい)。その為、爽快感が失われているばかりか、必然的にボムに頼るしかないゲーム性にイライラします。連射パッドを使えばそれなりに連射がききますが。
クラブンガー、ウィンクロンも登場!クラブンガーはかなり強敵です。 ボスを倒しコインを集める場面でもショットが撃てるのがちょっと変です |
マークIII版の2倍にあたる2メガの容量を使用し、国民機の意地を見せた本作。当時の移植戦争を面白いものにしたという多大なる功績を残しました。
サン電子
1987年7月20日発売 5300円