アルゴスの十字剣 for SEGA MARKV SALIO |
マークVに「アルゴス」がっ!当時唯一セガと運命を共にした(そして自分だけ逝ってしまった)サリオが(2本だけ)発売した作品の一つです。はちゃめちゃ大進撃になってしまった良い子のFC版と違って、システムなどアーケードから忠実に持ってきています。
つまり、何も考えず敵をガンガン倒しながら進んで行けばいいわけです。インドラも5つちゃんと出現します。各種ボーナスも(出来る限り)再現されています。敵キャラも(一部を除いて)同じです。BGMも同じ曲です。
このことは当時FCを親の仇のように思っていたセガファンにとっては誇りとも言うべきものでした。でも…
・ でも…
でも、正直出来はツライです。AC版の美しく立体的なグラフィックと比べるのは酷というものですが、性能的に劣っているはずのファミコン版と比べてさえ見劣りするというのはちょっと考えモノです(テクモはFCで作るのがうまかった)。とにかくグラフィックはショボイです。マークVの性能を最大限に活用すればもうちょっとイけそうなものですが。アニメパターンも少なく、ちらつきもヒドイ。妙な処理で死ぬこともあるし。タイトルが変わってしまったところに若干詫びの気持ちが感じ取れます。
名所「滝」もドギツイ出来。
・ 変更点
システムは一応AC版に準拠してますが、マークVならではというか、仕方なく変になってしまったと思われる個所がいくつかあります。
まず大きな点。ステージ構成ですが、AC版では1つ1つのステージをクリアして行くような感じでした。マークV版は数面ごとにボスが設定されていて、倒すことでエリアクリアという風に変更になってます。
1エリアのボスはAC版で夕日の面に登場した大男の戦士(素手)です。ボスに昇格したようです。姿はかなりこじんまりしてしまいましたが。ここではアルゴス名物の「夕日」が見れます。全くスクロールしない固定画面!通常の夕焼け面では夕日は登場しないので、ここで拝むしかないです。驚異のマルチ画面を駆使し立体感を意地で出したFC版と比べて根性のなさを感じます。
その後のボスは変な怪獣のような奴と夕日の戦士などが使いまわされて出てきます(交互にというわけではない所がミソ)。ボスを倒した後はステージクリア画面(スコア加算)になりますが、得点計算が表示されるだけという非常に淡白な画面です(一応BGMはAC版のクリア曲に基づいているみたい)。面ごとにマッチョな像やボーナスのヒントが出てきたAC版に比べると寂しすぎます。なお、通常面はクリアしてもパッと次の面に行ってしまうので、これまた淡白と言わざるを得ません。
夕日のない夕日面。寂しすぎ。 | と思ったらこんなとこに夕日が!ノンスクロール! |
アイテム関係では、星やタイム増加など一応出現します。AC版では戦士の墓標みたいのを破壊してアイテムを出しましたが、マークV版では変な羽の生えたエンブレムみたいなの(しかも浮遊してる)に変更されています。あと、なぜか「天空のインドラ」の効果が逆 になっています。通常時にヨーヨーが真上に飛び、「天空のインドラ」取得後に回転攻撃になります。
ちなみにタイムに関してですが、マークV版ではエリアクリアまでタイムが共通です。つまりボスを倒すまでタイムがリセットされないということです。1ステージごとの緊張感は味わえなくなっていますね。一応タイムアウトキャラは出現します。
もう一つ、画面下部の地下道について。AC版では敵が徘徊しているだけ(地上に這い出てくる)でしたが、マークV版ではなんと、戦士も入れるようになっています。しかも入らないと進めない所が存在する他、なんと地下道にさらに穴が開いていて、落ちると死ぬ所まで存在します。
縦スクロールもあるぞ、エッヘン!
・残念な・・・
「はっ!」「とぉーっ!」「うわぁーっ」ととにかく叫びまくっていたAC版ですが、マークVでは残念ながら一言も音声を発しなくなっています。敵に当たると吹っ飛び、くるくるマーク(ピヨった時のような頭の上のアレ)を出しながら倒れます。ちょっと滑稽チック。ゲームオーバーになると死神が戦士を運んでゆく演出は再現されています。
あと、AC版では画面右下にそのステージのミニマップと現在位置が表示されていましたが、それはなくなっています。
それと最後に一つ。AC版は強力なスプライト機能によって敵キャラが大量に現れ、それをガンガン撃破していくのが爽快極まりなかったですが、マークV版は性能に合わせ敵キャラの出現が少なく、爽快感がかなりダウンしています(それでもチラツキひどいし)。
BGMがなぜかFM音源に対応してなく、独特のPSG音源がちょっと寂しいマークV版アルゴス。正直な感想としては「ツライな」。テンポがいいのは救いですが、それに伴い敵も弾も異様に動きが速くて嫌な感じに難しくなっています。まぁ、コンテニューはいくらでもできる(その場で復活するには裏技が必要)ので根性があればクリアもできるでしょう。
マークV唯一のサードパーティーが1Mのシルバーカードリッジとして発売したテクモ移植作2本ですが、この「アルゴスの十字剣」はユーザーの期待には応えられませんでした。好き嫌いは別にして。
サリオ
1988年3月25日発売 5000円